2017- 4- 2 VOL.197IMG_0078

    先週に引き続き、今週も長~いタイトルの一冊をご紹介させていただきます(^^)

【概要】

 〇親会社で労務執行委員長に推されるも、29歳~30歳で1,000人のリストラに直面
 〇28歳で生後3日の双子を亡くし、以降子宝に恵まれず
 〇米国子会社副支配人就任も2割の社員リストラ断行を余儀なくされる
 〇米国では2度の胃潰瘍と大腸ガンを発症
 〇帰国後、債務超過の子会社へ出向
 〇出向法人ではNO,2の常務が社員と顧客を引き抜いて独立
 〇6億円の個人保証

 そんな過酷な経験を持つ著者が社長を務める日本レーザー社 http://www.japanlaser.co.jp/
 
 元々は、日本電子という東証1部上場企業の子会社でした。
しかし著者は、自身の退路を断ち、社員のモチベーションを高めるために、日本発の「MEBO」(Management and Empioyee Buyout)を敢行。役員、正社員、嘱託社員の皆が株主となり、親会社から独立を果たします。

  紆余曲折を経て著者がたどり着いた結論とは、
「『人を大切にする経営』の実践こそ、会社を再建・成長させるたった一つの方法である」こと。
そして「『社員の雇用』と『社員の成長』こそが会社の目的」ということ。

   そんな著者の思いと実施してきた施策の数々を明かした本書。
23年間、連続黒字、10年以上離職率0、女性管理職が3割を超える、同社の秘密が公開されています。

【所感】

 〇おかねをかけず社員のモチベーションを高めるのは「社長の笑顔」と「社長の声かけ」
 〇「今週の気づき」と「今週の頑張り」を全員で共有
 〇「社長塾」と「覚悟塾」 小さい会社でも英語力を高め、グローバル人材を育てる仕組
 〇70歳まで再雇用
 〇「2-6-2」の、下20%を切らない
 〇病欠しても給料は支給
 〇女性社員は一人一人と「バラバラ」の雇用契約を締結
 〇採用は通年実施   etc
 
   興味深い同社施策の数々。
全ての施策の根底にあるのは、それが下記の「3つ」の条件のいずれかをカバーするものであること。

   社員が絶対にやめない「3つ」の条件とは

 ①「言いたいことが何でも言える明るい風土がある」
 ②「社員が会社から大事にされていると実感している」
 ③「会社は自分のものだという当事者意識を持てる」
 
  明るい組織風土の醸成と社員の帰属意識を高めること。
それは一見簡単なようで、実は一番難しいことかもしれませんね。なぜならそれはコストをかければ解決するものでないから。
手間ひまかけて、社員との約束を守ることの積み重ねでしか実現する術がないからではないでしょうか。

  本書の事例は稀有なものなのでしょうか?自社では実現不可能なものなのでしょうか?
同社は社員数55名。年商40億円程度のレーザー機器専門商社。上場企業の子会社だったというインセンティブはありますが、典型的な中小企業の一つであり、多くの企業でも十二分に取り組める可能性はあるのではないでしょうか。

  示唆に富んだ本書。惜しむらくは、「しっかり利益が出る仕組み」をつくる大切さを説いた節がありつつも、具体的な計数管理方法など、同社の利益管理施策についてはあまり明かされていないこと。
ただ人という観点から、同社経営の秘密を明かすことを本書の目的とするならば、それは欲張りすぎなのかもしれませんが。


                                             ダイヤモンド社  2017年3月16日 第1刷