2017- 4-16 VOL.199IMG_0158

【概要】

  代表は暴走族の元総長。社員は元ヤンにチーマー。
そんな彼らが従事する千葉県にある農業生産法人 株式会社ベジフルファーム。http://www.vegefru-farm.jp/

   その異色の組み合わせから、これまでも様々なメディアで取り上げられてきており、何かの機会にご覧になったことがある方も多いかもしれません。
  「なぜ、今農業なんですか?」「なぜ、元ヤンが農業なんですか?」
そんな質問を絶えず投げかけられる同社。
   本書は、そんな質問に対する回答書であり、「農業は最高!一緒にやろうぜ!」という提案書でもある。と著者である同社代表が冒頭で語っています。

  4章からなる本書。
元ヤンが農業に向く理由。著者自身の半生と農業生産法人立ち上げから現在までの経緯。自身の仕事術などから構成されています。

【所感】
 
    第1章で語られる元ヤンが農業に向く理由の数々。
元ヤンは負けず嫌いだから、根性が座っているから、仲間を大切にするから. etc
確かにそういった側面はあるかもしれませんが、「元ヤン」をアピールするのは、認知度を高めるための戦略の一環なんでしょうね。
事実、同社が行っているのは不良少年を更生させ、農業に従事させることではなく、あくまで純粋なビジネスとしての農業。

  高校卒業後、家業である青果市場の運営会社に勤めた著者。
30代前半、産直開発で産地を回るようになり、日本の農家の現状を知ります。
このままでは日本の農業は衰退していくという危機感。その一方で長く仲卸に従事した経験から、販路を開く自信はあり、家業の関連で配送やパッケージングを行うノウハウもある。
  自身が生産者になることで、中間マージンを排除した一貫した流れができ、十分に利益をあげることが出来るはず。 成功例をみれば、必ず新規参入が増え、日本の農業は活性化するようになる・・・・・。

  同氏は、徒手空拳で参入したわけではなく、家業のグループ会社の一つとして創業しており、恵まれた環境下にあることは、自身も記しています。とはいえ、そのことが同社の価値を貶めているわけではありません。
 「元ヤン」社員募集。Tシャツの作成。社歌の作成 https://www.youtube.com/watch?v=aa1ITr6hu1E。そんな社歌を聞かせ栽培した「メタル小松菜」の生産。

  一風変わった施策の数々も、自社と自社生産物のブランド化を図ってのことであり、その狙いはスバリ「価格決定権」を農家が取り戻すこと。
  価格決定権を持てないゆえに、産業として希望が持てず、衰退の一途しかなくなるのだという著者の主張は全く同感出来るものでした。
  
 キワモノっぽさを演じつつも秘められたしたたかな計算。それでもあまり嫌味を感じさせないのは、真摯に、そして楽しみつつ生き生きと取り組む様子が、本書から醸し出されてくるからかもしれません。

  いつの時代も、世の中を変えていくのは、「ヨソモノ」「バカモノ」「ワカモノ」。
異端の新規参入者が増えることが、衰退著しい日本の第一次産業を活性化していくのではないか?そんなことを予感させる一冊でした。


                                              宝島社  2017年4月28日 第一刷