2017- 4-23 VOL.200IMG_0174

 いつもお付き合いいただきありがとうございます。 
4年前に始まった弊法人の公式ブログ。個人的に毎週1冊の新刊ビジネス本をご紹介させていただくこととし、今週で晴れて節目の200回目を迎えることが出来ました。

  200冊目として、今回ご紹介させていただくのは、日本の近未来(2030年)シミュレーションをテーマにした一冊。
  人口減少で、今後確実に労働力を失っていく日本。我々は、その課題にいかに対峙すべきなのか?野村総合研究所在席の著者達がそんなテーマに迫っています。

【概要】

  本書のベースとなっているのは、野村総合研究所内の2030年研究室で取り組んできた未来予想プロジェクトです。
   2030年までに約700万人の労働力人口を失うことが確実視されている日本。不足する労働力の担い手となる可能性があるのは、「外国人労働者」と「デジタル労働力」。

  本書はこの2つの労働力に関する考察を基軸に下記内容の6章で構成されています。

  ①日本の人口減と労働力不足の現状 ②外国人労働者獲得の可能性と現状 ③人工知能技術の概要と既に代替が始まりつつある事例の紹介 ④イギリスのオックスフォード大学と共同で行った、人工知能による日本の職業代替可能性の検証 ⑤小売・物流・医療の3分野における未来シナリオ ⑥デジタル労働力がもたらす個人、組織、社会の変化の方向性

【所感】

  個々の章の内容が比較的独立していることから、関心あるテーマから読み進めることも、著者達は推奨をしています。
興味深い内容が多いのですが、個人的に関心を覚えたのは、外国人労働者獲得の可能性と現状に触れた2章でしょうか。
  例え広く門戸を開き、外国人労働者を受け入れようと思っても、既に日本の給与水準は国際的に高いとは言えなくなっていること、日本でのビジネス慣行、日本語での日常生活を余儀なくされることを勘案すると、日本での労働は諸外国と比較しても非常に魅力が乏しいこと。
   またスイスのとあるビジネススクールの調査では、「労働市場として魅力ある国か」との問いに対し、調査対象の61ケ国中52位という惨憺たる結果となっているそうです。
 著者達は、イギリスやスウェーデンの取組などを紹介しつつ、日本に限らず今や先進国の大半が、今後人口減、労働力不足となることは自明のことであり、いかに自国に来てもらうのか各国がしのぎを削って取り組む現状を明らかにしています。
 
    正直、もはやこの領域で日本がリカバリー出来る可能性はかなり低いとの印象を持たざるを得ませんでした。
著者達も明言はしていませんが、そんな印象なのかもしれません。
事実、最終章で語られる個人、組織、社会の変化の方向性も、デジタル労働力活用を前提としたものと個人的には理解をしました。
 
    社会においては、教育改革は必須とし「レゴ型人材」育成が急務であり、更なる雇用の流動化が必要であること。組織においては業務のデータ化と組織構造の変革が不可欠であるとしています。

  ならば個人はどうあるべきなのでしょうか?
〇日本人は過去と比較して長く生きる 〇労働力減少の日本では、今後ますます一人当たりの負担は重くなる
〇日本が過去に経験した成功体験は繰り返されることはない 〇新しい技術は持たざるものにとってチャンスであり続ける 〇デジタル労働力は登場する

 などのフレーズを掲げた後で、「選択をする力をもつことが生き抜くことである」と結んでいます。

 「選択」とは「痛み」であり、日本はこれまでその「痛み」を避け続けてきた社会であったと。
今までと同じにやればいい。行政や企業、その経営者や上司、OBや株主の言うとおりにやればいいという選択のもたらす結果は相当期待値の低いものになるとしています。
 
  各人が知恵を絞り、自身の意思で「選択」をすること。
それこそが、労働力不足という未曽有の危機に向う日本で、我々がサバイバルする唯一の方法と言えそうです。


                                             東洋経済新報社 2017年4月20日発行