2017- 4-30 VOL.201IMG_0304

【概要】

  GWということで、今週は気楽な一冊をご紹介させていただきます。
これビジネス書なの?とお叱りを受けそうですが、是非お付き合いくださいませ。

  毎週日曜日、夕方5時からTOKYO FM系列で放送されているラジオ番組「NISSAN あ、安部礼司 ~ BEYOND THE AVERAGE ~」http://www.tfm.co.jp/abe/index_pc.php
 

 「この物語は、ごくごく普通であくまで平均的な昭和生まれのナイスサラリーマン安部礼司がトレンドの荒波に揉まれる姿と、それでも前向きに生きる姿を描いた勇気と成長のコメディである。日曜の黄昏時、若さと渋さの間で揺れる昭和生まれのアナタに贈る『鼻歌みたいな応援歌』を、ツボな選曲とともにお楽しみ下さい!」

  とのナレーションで始まる人気ラジオ番組。放送開始から12年目を迎えています。

  本書は、そんな番組から生まれたビジネス書。
ジャンル的にはバラエティ番組となるのでしょうが、最新のビジネス雑誌やビジネス書の内容も引き合いにしつつ、とある中堅商社を舞台にドラマ仕立てで構成されている同番組。上手く折々のビジネストレンドを盛り込んでいます。
  主人公である安部礼司が遭遇する様々な事件や騒動。それらをやりくりする中で生まれた処世訓集とでもいうべき体裁でしょうか。ただそこはバラエティ番組発。どこかクスッと笑える内容になっています。

【所感】

  7章から構成される本書。見開き2ページにつき1つずつ、計60のエピソードが掲載されています。
その内容は、部下や上司、同僚とのコミュニケーション法や、仕事のマインドの高め方など。

  「使える後輩には昼めしくらい驕っておく」「マイナスな報告はいい話題でシメる」「女子の言うことには、あまり逆らわない」etc
正直、取るに足らない内容ともいえますし、基本的にその教えは「ゆるい」ものばかり。でもその「ゆるさ」に不思議と納得感を覚えてしまう本書。

  実は今回ご紹介させていただいた理由は、本書云々よりも、この番組そのものが優れたビジネスモデルではないかと常々考えていたからです。

  著名な出演者が毎回登場するわけでもなく、登場人物は全て架空の存在です、演じる声優陣もさほど有名ではないように思います。その一方で、帯にあるように推定リスナーは180万人とも言われ、登場人物の結婚式を模したイベントを開催すれば2,000人ものファンを集めてしまいます。

  その魅力と仕掛けは一体何なのでしょうか。
架空の登場人物や勤務場所ながら、実は緻密な設定をし、しかも劇中には実在の場所やイベントを盛り込むことで、臨場感を持たせています。
  そして肝心要の主役には 安部礼司(AVERAGE 平均)というふざけたネーミングをつけつつも、「あ~ごくごく平均的なサラリーマンってこんな感じだよね~」と多くのリスナーが自分自身を投影しやすい人物像に仕立てていることで、共感を呼ぶのではないかと個人的には考えています。

  またFMラジオ番組ゆえに、多数の曲が流れますが、大半は80年~90年代の邦楽から。
これも想定されるリスナー層が、どこか懐かしくも共感を覚える線を狙ってのこと。当然心くすぐられますよね。

  多くのメディアの中でも斜陽著しいと言われるラジオにあって、なぜ11年間も続く、人気番組となっているのか?その理由に思いを馳せることで、我々の普段のビジネスの参考に出来るところも多いのではないでしょうか。
  とはいえ堅苦しく考えず、そんな番組初めて知ったよという方は、是非一度耳を傾けてみて下さいね。
                     
                                            マガジンハウス 2017年4月20日 第1刷