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【概要】

  鳥取県。47都道府県の中で人口、県総生産とも最も小さな県です。
そんな鳥取県にある澤井珈琲 http://www.sawaicoffee.co.jp/ 
 
  同県米子市で創業し35年。コーヒー豆の卸小売を営む同社は、現在鳥取県を中心に、9店舗、3工場を構え、約160名を雇用。年商は約27億円に達するそうです。

    実は同社の売上の8割近くを稼ぎ出すのは、ネット販売。
鳥取県という地方都市にあり、コーヒー豆という非常に差別化しにくい商品を扱いながら、なぜここまでの成長を遂げることが出来たのか。

  本書は、創業者のご子息にして、現在同社の常務取締役を務める著者の手による1冊。
ネット販売で大躍進を遂げる原動力となった同氏の取組や思いを明かしています。

【所感】

 楽天市場11年連続ショップ・オブ・ザ・イヤー、3年連続ベスト店長賞。
2016年には、楽天市場の他にもYahoo!ショッピングモールやボンバレモールを含め12冠を達成。

 1982年に両親が脱サラをし、自宅を事務所に無店舗でコーヒー豆の卸売をスタート。
両親の懸命な努力により、著者が入社をした1994年頃には複数の店舗を展開するまでになり、年商も3億円ほどの規模に達していたそうです。

  実店舗の1店を任されていた著者。ライバル店などの登場もあり、売上が伸び悩む中、ネット販売に進出したのは2002年のことでした。
まだ今ほどネット販売が市民権を得ていない時代、創業者である社長からは、既存ブランドの評判を落とす懸念から、別ブランドを使用することを条件に進出を許可されます。
それから15年程で、先ほど挙げたような数々の受賞を受けるまでに、大きく売上を伸ばしてきました。

  その秘訣はどこにあったのでしょうか。

   HPのつくり方さえ分からず、扱う商品の選定にも迷う。当初はデロンギのエスプレッソマシンと自社焙煎豆をセット販売も、極端にデロンギ製品の低価格販売を行ったことから、取引停止の憂き目に。
それでも楽天市場での合宿や、コンサルタントの指導を受け、徐々にコツをつかみます。

 〇ターゲットを明確にし、見つけていただきやすいレイアウトにする
 〇トップページでアクセスユーザーの注意を引く
 〇お得感を徹底的に演出、安心して買っていただけるようにする
 〇また利用したいと、と思っていただける工夫をする

  その手法は決して奇をてらったものではなく、まずは認知されること。そしてリピート率や転換率をいかに高めていくのか。そんなことに重きが置かれています。

  ただ結局、同社躍進のきっかけとなったのは、2005年秋、楽天市場で60万円(当時の著者の4ケ月分の給与だったそうです)の広告枠を買ったこと。
そこで認知度を一気に高めたことがターニングポイントであったと語っています。

  所詮、楽天市場等で広告枠を買わなければ、駄目なのか?
そんな印象を持たれた方も多いのかもしれませんが、やはりネットの世界ではそれが現実。同社でも利益の6~7割を広告費に費やしているそうです。
  認知していただいたお客様をいかに繋ぎとめていくのか。それは実店舗であっても同じこと。商品を販売するのに営業マンが必要なように、ネットの世界ではそれが広告枠を購入することなのだという意識の転換が出来ない方には、なかなかネット販売での成功はおぼつかないのかもしれません。

  楽天市場メインであるということを割り引いて読む必要はありますが、これからネット販売に本腰を入れたい方、既に取り組んでいるものの、思わぬ成果が上がらない方には参考になる点もあるのではないでしょうか。

 章ごとに、美味しいコーヒーの淹れ方などのコラムも掲載されていますよ。

                
                                               宝島社 2017年6月30日 第1刷