2017- 9-17 VOL.221IMG_1126


【概要】

 ものの売れない時代。自社の製品やサービスをブランド化し、販促につなげたい。多くの消費者に支持をされたい。ビジネスをされている方で、そのことを考えない方はいないのではないでしょうか。 

 いわゆるブランド構築に関する書籍は星の数ほど出版されていることからも、非常に関心の高いジャンルであることがうかがいしれます。

 スマホの普及、SNSの台頭。消費者を取り巻く環境はこの数年で大きく変わってきており、本書タイトルにもあるような「一体こんなもの誰が買うのだろう」という商品やサービスが、大人気となることが、しばしばあります。
本書でも冒頭に、今話題の「うんこ漢字ドリル」を引き合いにしています。

 今や誰でも、どんなものでもブランド化できる時代がやってきたと言っても過言ではないのかもしれません。本書は大阪を本拠地にブランド・ブティックや経営塾を主宰するブランド・クリエイターの手による1冊。
本書表紙にあるような多彩な事例を紐解きながら、ブランド構築のあり方につき提言をしています。

【所感】

 巷にある商品やサービスで「ブランド」になるかならないかの差は一体どこにあるのでしょうか?
著者はその差を「熱」「世界観」「共感」だとしています。
 この商品やサービスを世に出したいとの強烈な情熱。その情熱と提供する世界観に、共感する人があらわれる。そんな人たちがゆるくつながりはじめ、エコシステム(生態系)を形成していく・・・・・。
 
 SNSの普及により、今や人々は多くの人同士でつながり、そこにはいくつものコミュニティが存在しています。
その中のごく一人に響く商品やサービスがあれば、そのつながりを介し、広く伝搬していく可能性を秘めています。
 人には、それぞれ異なる趣味嗜好があります。その極めて細分化された琴線にふれることが出来れば、今やどんな商品やサービスでもブランド化することができるのかもしれません。

 より具体的な話については本書を是非ご参照いただきたいのですが、個人的に本書で一番興味を引いたのは第4章で語られる「大学に学ぶブランドのあり方」という内容でした。

 ここで言う「大学」とは、「論語」と並ぶ四書五経の一つで、「大人になるための学」いわゆる帝王学の基本図書の位置づけとなるものだそうです。

「大学」には三綱領と呼ばれるメインテーマがあり、それぞれ①明徳を明らかにする ②民に親しむ ③至善にとどまる とされており、ブランドのあり方をこの三綱領にあてはめ解説をしており、これはなかなか他のブランド本では見ない手法であり、非常に面白いものでした。
何事も突き詰めて整理をしていくと、最後は古典に帰着するものなのでしょうか。 
 
 そんなユニークな観点でも記されている本書。事例が豊富で手に取り易くも示唆に富む1冊でした。
 
 今ほど商売人にとって素晴らしい時代はないと説く著者。
「資本がない、知名度もない、歴史もない、資本力もない。そんな会社や個人が、資本力に勝る老舗と遜色なく堂々と渡り合って商売が出来るのだから」と。
その鍵はどこにあるのか・・・・・。みなさんはもうお分かりですよね。

                         日本経済新聞出版社 2017年9月8日 1版1冊