2017-10- 1  VOL.223IMG_1210

【概要】

 ギグ・エコノミーとは、ネットを通じて単発の仕事を受注する働き方や、それによって成り立つ経済活動のことであり、近年注目を浴びている配車サービスのUBERや、宿泊施設仲介のAirbnbなどがその代表例などと言われています。

 ギグとは、元々音楽関係者などが使っていた俗語であり、小さなライブハウスでの短い演奏やクラブなどで一度だけ演奏することを意味しています。そこから転じ「単発の仕事」のことを指すようになってきたようです。

 本書は、まださほどギグ・エコノミーという言葉が認知されていなかった5年前に米国のバブソン大学(起業家育成に特化、卒業生にはトヨタ自動車の豊田章男氏など)のMBA過程でギグ・エコノミー講座を創設した著者の手によるもの。

 同講座は非常に人気を博し、フォーブスの「革新的なビジネススクール講座トップ10」にも選出されているそうです。

 本書はそんな講座をベースに記された1冊。
単にギグ・エコノミーの概要を解説するのではなく、成功のツールを提供することを目したと著者は記しています。

【所感】

 ギグ・エコノミーの世界で成功するために著者がまとめたのは以下の10の法則です。

 ①みずからの成功を定義する 
 ②働く場を分散させる 
 ③生活保障を設計する 
 ④ネットワーキングをせずに人脈をつくる 
 ⑤リスクを軽減して不安に立ち向かう 
 ⑥仕事の合間に休みをとる 
 ⑦時間への意識を高める 
 ⑧柔軟性のある家計を組み立てる 
 ⑨所有からアクセスに切り替える 
 ⑩老後の資金を貯める

 この10の法則を章立てして解説。各章の終わりにはこれらの法則を実践するためのエクササイズが記された構成となっています。

 仔細は是非本書をご参照いただきたいのですが、個人的に全編を通じ感じたのは、リスク回避に関した記述が非常に多いということでした。
 固定費を抑制する。借入をしない。貯蓄に励む。保険への加入。 などに関する記述は、わりとあらゆる法則の中に散見しています。

 元々個人の貯蓄率が低く、比較的各種ローンに抵抗の少ない米国という背景のせいもありますが、やはりギグ・エコノミーというスタイルは、収入面を含め不安定さは否めないため、リスクに対し柔軟な姿勢を取れるようその備えを促すことを意図しているのでしょうが、すでにこういった体験をされている自営業者以外の読者の方は萎縮してしまうかもしれません。

 とはいえ米国のみならず、我が国においても、非正規雇用者の増加、正規雇用者といえどももはや有り得ない終身雇用制、AIの台頭によりなどで奪われる職業 etc を考えていけば、大半の人々にとってこのギグ・エコノミーは避けられない流れであり、自身の意識を備えておくことはとても大切なことかもしれません。

 その際最も有効と思われるのは①のみずからの成功を定義するという法則ではないでしょうか。
働き方、収入を得る術が大きく個人に委ねられてしまえば、もはやステレオタイプの成功や幸せというものは存在しなくなるのかもしれません。
 
 自身の人生において何に価値を置き、何を成功とするのか? 本書では出口戦略が大切なのだと記されていますが、まさにその通りですね。
そんなことを自問するきっかけとしては、本書は大いに参考になるのではないでしょうか。


                            日経BP社 2017年9月25日 第1版第1刷