2017-11-12  VOL.229IMG_1542

【概要】

 クラウドファンディングとは、不特定多数の人からインターネットを介して資金を集め商品開発や事業などを達成する仕組みであり、近年にわかに注目を集めている資金調達方法です。

 日本国内にもいくつかのクラウドファンディング支援サービスを行う企業や団体が存在していますが、その中でも日本最大級と言われているのが本書著者である中山氏が代表を務める株式会社マクアケ。http://apply-product.makuake.com/ 

 2013年5月にサイバーエージェント・クラウドファンディング(後に社名変更)社として設立。
 当初はなかなかその仕組みが理解されず苦労を重ねますが、徐々に軌道に乗り始め、これまで1,000万円以上の資金調達に成功したプロジェクトは60件以上。なかには1億円もの資金調達に成功したプロジェクトもあるそうです。

 本書は、これまで同社が支援した事例を紹介しつつ、単なる資金調達手段にとどまらないクラウドファンディングの魅力と可能性について記した1冊となっています。

【所感】

 4章で構成された本書。中でも中心となるのは、2章に跨り紹介される同社の支援事例。
 腕時計、ジーンズ、パーカーといったファッション関係からティーバッグ、チーズ、日本酒といった食品や飲料。ホワイトボード、ペーパーナイフなどの文房具。電動バイクなどの他に、飲食店そのものや、アニメ映画製作まで、多岐にわたるジャンルの製品やサービスが紹介されており興味を引きます。

 またこういった事例を紐解きながら、クラウドファンディングは単に資金を集める機能だけでなく、テストマーケティングにも活用可能であること。
 いやむしろ資金調達にさほど苦労していない大手メーカーであっても、クラウドファンディングに関心を示してくるのは後者に魅力を感じてのことであり、資金調達に苦労する中小企業や個人が利用するものというイメージとは随分異なることが分かります。

 著者はクラウドファンディングにおいて、プロジェクトが成功するためには、次の3点が必要であると説いています。
 ①自分たちの製品や店の「特徴」をはっきりさせ ②その製品や店を魅力的だと思う人たちを「ターゲット」として明確にし ③ターゲットが実際に製品や店を使った「体験」をイメージすること。

 実はこれ、クラウドファンディングに限らず、どんな商売でも当たり前のことですよね。
ただ現物を見せずに支持者を集めることが必須ですから、通常の商売以上に、きちんと伝えることの大切さを説いているのでしょうね。

 さて本書で個人的に魅力を感じた紹介事例は2点。
クラウドファンディングの成功を呼び水に、金融機関からの資金調達もやり易くなり、事業拡大により潤沢な資金を準備できる機会が増えつつあること。

 そして莫大な金額の研究開発投資をする大手メーカーには、保有するも眠っている技術が少なくなく、クラウドファンディングを介し製品化していこうとする機運が高まっていることです。
これは元の技術が確かなだけに、大化けする製品が生まれる可能性も少なくなく非常に楽しみな領域ではないかと感じた次第です。

 平素な言葉で、クラウドファンディングの魅力を綴った本書。入門書として読むにも最適ではないでしょうか。


                           PHP研究所 2017年11月6日 第1版第1刷