IMG_17192017-12-10  VOL.233

【概要】

 長いタイトルの本書は、神奈川県は綾瀬市にある株式会社吉原精工  http://www.w-cut.com/index.htmlの会長の手によるもの。同社の特徴を端的にタイトルにしています。
 同社の事業はワイヤーカット加工機による金属加工。社員数わずか7名という中小企業です。

 同社の存在が一躍知られることとなったのは、2017年2月3日付の日刊工業新聞のこんな記事でした。https://www.nikkan.co.jp/articles/view/00415929

 社員の平均年収は600万円以上と、日本のサラリーマンの平均給与を優に超え、夏冬の賞与は手取りで100万円を現金で支給。
残業ゼロで週休二日制は当たり前。年に3回は10連休。

 そんな型破りの会社はどうやって生まれたのか?創業会長自身が直接語っています。

【所感】

 1980年創業。金属加工というどこにでもあるありふれた業態。
バブル景気崩壊、ITバブル崩壊、中小企業含め、たくさんの企業が淘汰される中、同社も何度も倒産の危機を迎えます。度重なるリストラを繰り返し最盛期に20名を超えていた社員数も7名まで減少していました。

 そしてリーマンショック。7名にまで減っていた社員。もはやリストラはせず、全員一律月額給与30万円。ボーナスはゼロでこの危機を乗り切ろうとします。
そこで社員に言われた「お金がないなら、時間をください」との一言が吉原会長に大いなる革新を決意させます。

 残業ゼロと言っても、全員が一律定時に帰るわけではありません。
土・日休みのAグループ。日・月休みのBグループ。日・月・火休みの夜間専門社員の組み合わせで、個人の労働時間は1日7.5時間。しかし工場は24時間稼働させることで生産性は上がります。

 さらに残業ゼロ導入に際し、これまで払っていた平均残業手当を基本給に組み込みます。
つまり残業が減っても、給与は変えず社員の生活を守ることから始めます。
 
 そして経営状況の公開。同社は会社に一定の利益があれば、全員一律 夏冬手取り100万円のボーナス支給することを約しています。全員一律ですから、とにかく会社全体の利益が上がりボーナスが出るよう全社員が意識をすることで、さらに生産性や業績は向上するという好循環へ繋がっていきます。

 本書では他にも、朝礼・会議はしない。定年制なし。全社員に部長の肩書をつけた名刺を持たせる。
9つの「ごめんなさい」を記したホームページなど、ユニークな施策が余すところなく紹介されています。

 人材も資金もない。社員数がたった7名の町工場でも、経営者の意識と行動が変われば、ここまで変革出来たという事実は、企業経営者の方のみならず、多くの方に勇気とやる気を与えてくれること間違いなしです。平易な言葉で語られつつも示唆に富んだ1冊。お薦めです。
             
                            ポプラ社 2017年12月4日 第1刷発行