2017-12-24  VOL.235IMG_1761

【概要】

 企業経営者の方なら、一度はその社名を聞いたことがあるのではないでしょうか?
 株式会社武蔵野 www.musashino.co.jp/ ダスキンレンタル商品の取扱いを主事業に、近年では経営サポート事業へも進出し、多数の中小企業の経営支援も行っています。

 同社を牽引するのは、代表取締役である小山昇氏。
15期連続増収の達成や日本経営品質賞を2回受賞するなど、そのユニークな経営手腕はよく知られるところであり、多くの著書も上梓されています。

 そんな小山氏の手による本書は、経営者向けに「数字」の活用方法を説いた1冊。
挑発的なタイトルですが、そこには「社員にとっては、お金を持っている社長、数字に強い社長だけが人格者」であり、それはいざという時に困らないだけのキャッシュをに会社が持っていること、そして経営者は、その作り方を理解していなければならないとの意味が込められています。

 「足し算引き算ができれば専門用語などは知らずとも、要所を押さえるだけで、誰でも数字に強くなれるのだ」と語る著者のノウハウの詰まった1冊となっています。

 
【所感】

 5章からなる本書。1章ではなぜキャッシュが大切なのかを説き、2章では金融機関への対処も含めた借入についての解説を。3章ではB/S(貸借対照表)を見るポイントと活用法について、4章ではP/L(損益計最書)の構成要素である、売上増、粗利増、経費削減のポイントが解説されています。
そして最終章では、数字を使って人材育成や管理をするノウハウで締め括られています。

 個人的に、本書の要諦は1章~3章にあると思います。
 会社が倒産するのは、赤字だからではなく、キャッシュがなくなってしまうからだというのは、よく知られているところであり、本書でも、そのあたりの重要性は繰り返し説かれています。

 ただ守りに徹するために、キャッシュが必要なのではなく、攻めのため機会損失を防ぐためにもキャッシュは必要なのだと著者は説きます。

 それではどこを攻めればいいのか(どこに投資をすればいいのか)?
それは①お客様の数を増やす ②社員教育 ③インフラ整備 の3点だそうです。
そしてその資金調達には銀行借入をすればいい。
  
 端的に言ってしまえば、本書の主題はこれだけです。

「そうか、お金を借りて手持ち資金を増やし積極投資をすればいいのか・・・・・。」
しかしそんな単純な話ですまないのは、皆さまご周知の通りです。そこで問われるのはバランス。

 そのため3書でB/S(貸借対照表)についての解説を加え、上手くキャッシュ管理の重要性をまとめているのはさすがだと思いました。

 身近な増収増益のポイントという点では、ページ数も多く読み応えもある4章が一番関心を引かれることと思いますが、個人的には1~3章の理解だけでも本書は十二分に元の取れる内容と言っても過言ではないと思います。

 ただ同社で経営支援サービスを行っていることもあり、同社の営業ツール的な要素が無きにしも非ずなところや、同社支援先が実名登場するのはどうか?と思う部分もある本書ですが、全般の内容に比せば十分容認できる範囲でしょう。


                         ダイヤモンド社 2017年12月13日 第1冊発行