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 あけましておめでとうございます。
当ブログもこの7月で5周年を迎えます。本年もよろしくお付き合い下さいませ。

 さて新年最初は、こんな一冊をご紹介させていただきます。

【概要】

 江副浩正氏と聞いても若い方はピンと来ないかもしれません。
2013年に逝去。経営の一線から退いて30年近くなりますから、仕方がないのかもしれませんね。

 そんな方でも、リクルートホールディングス(リクルート)の名前を知らない方は、まずいないのではないでしょうか。

 2014年東証1部上場。上場わずか3年で売上高は54%増の1兆8399億円(2017年3月)。時価総額は上場時の2.5倍。
ゼクシィ、フロムA、じゃらん、スーモ・・・・・と言った雑誌やサイトのCMでもお馴染みですよね。

 江副浩正氏は、同社の創業者。

 類まれな経営センスから「東大が生んだ戦後最大の起業家」「民間のあばれ馬」とたたえられながらも、昭和末期、政界・官界・経済界へ未公開株が譲渡された、いわゆるリクルート事件により贈収賄罪で起訴。有罪となり、経営の一線から身を引きます。

 本書はそんな江副浩正氏の評伝。
 リクルート事件の印象ゆえ、そのずば抜けた先見性や、優れた経営手腕が正当に評価されてこなかったのではないか?そんな思いから生まれた本書。 
かつて江副氏と共に働いた経験をもつ著者達の、思い溢れる一冊となっています。

【所感】

 全21章。500ページ近い大作ですが、東京駅で転倒し江副氏が亡くなるまでの数日を追った第一章から一気に引きずり込まれます。

 とにかく面白いんです。構成の良さ、著者たちの筆力もさることながら、なにより江副氏自身の魅力によるものが大きいのかもしれません。

 親の情愛に飢え、経済的にも貧しく、取り立てて目立つことのない地味な少年だった江副氏。
誰も期待しないなか、受験者の少ないドイツ語を選択し東大へ合格。

 そこで東京大学学生新聞会のアルバイトを始めたところから、大きく彼の人生が展開をし始めます。
知恵を絞り同新聞の広告営業で絶大な成果を上げた江副氏は、あるヒントを得ます。

 就職の際、誰もが目にしたことのあるリクルートブック(今で言えばリクナビでしょうか?)の前身となる冊子「企業への招待」の発刊がそれでした。
今から50年以上も前に創刊された同誌から、同社の大躍進は始まります。

 個人的に一番好きな章は、第六章「わが師ドラッカー」の章でした。
学生起業ゆえ、既存の価値観に染まっていなかった江副氏がドラッカーとの出会いにより、その経営手腕を確立し、自由闊達で、社員が高いモチベーションを持ち続ける組織風土が生み出される様には、ゾクゾクさせられるような高揚感を味わいました。

 しかしそんな江副氏も、不動産事業への傾倒。気づけば独善的なふるまいが目立ちはじめ、リクルート事件へと転落していきます。

 眩いばかりの成功と、手痛いしっぺ返し。その強烈な対比が、江副氏の人物像をより浮かび上がらせるとともに本書の面白さを揺るぎないものにしています。

 本書につきお伝えしたいことは、まだまだありますが今回はこのあたりで。
新春に是非読んでいただきたい素晴らしい一冊でした。お薦めです。

                            日経BP社 2017年12月25日 初版第1刷