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【概要】

  韓国平昌で次月より開催される冬季五輪。みなさまはボブスレーという競技をご存じでしょうか。
2~4人乗りのソリに乗って氷上のコースでタイムを競う、氷上のF1とも言われる競技です。

    2011年。東京は大田区の町工場が集まって、このボブスレー競技に使用するためのソリを製作し五輪出場を目指すプロジェクトが誕生しました。

 いわゆる「下町ボブスレー」 http://bobsleigh.jp/ プロジェクト。ボブスレーの製作を通じ、大田区の町工場がもつ技術力の高さをアピールし、航空宇宙産業など、新しい需要を掘り起こすことを目しスタートをしました。
 
 多くのメディアにも取り上げられ、NHK-BSでドラマ化もされましたので、ご記憶の方も多いのかもしれません。

 残念ながら、前回2014年のソチオリンピックでは、日本チームが使用するソリには採用をされない結果となりました。

 プロジェクト自体も終了してしまったのかと思いきや、次の平昌に向けて再チャレンジが始まっていた・・・・・。

 2013年に同プロジェクトを追った「下町ボブスレー」という書籍が上梓されており、本書はその続編ともいえる位置づけの1冊です。

【所感】

 ソチ五輪での不採用にめげることなく、平昌五輪での採用を目指し再チャレンジを始めるメンバー。
しかし平昌五輪の選考会でも落選。二度の大会にわたる日本チーム不採用。さすがにここまでかと思いきや、彼らが目をつけたのは国外のチームで採用してもらうことでした。
 
 その国はジャマイカ。
25年ほど前、常夏の国から冬季五輪のボブスレー競技出場を果たすまでを描いたコメディ映画「クール・ランニング」 https://youtu.be/f_LMqmcz1Tw をご記憶の方も多いかもしれません。

 本書前半では、平昌五輪不採用までを、後半ではジャマイカチームの正式採用と平昌五輪直前の取組までで構成をされています。

 本書は、大田区の中小企業の「下町ボブスレー」への取組を追ったドキュメントであり、ビジネスノウハウや経営指南を授けてくれるものではありません。

 衰退する地場産業をなんとかしようと、奮闘されている行政機関や地域企業、またそういったプロジェクト自体は珍しいものではないかもしれませんが、なぜ「下町ボブスレー」は継続し、衆目を集めるのでしょうか? 

 大田区の応援、巧みな情報発信、プロジェクトリーダーの手腕 さまざまな要素が考えられますが、全編を読んで感じるのは、結局はプロジェクトに参画するメンバーの思いの強さではないかと考えます。
 二度の不採用にも関わらず、次の目標設定をする。多少でも可能性があると思えば、僅かな伝手を辿ってでもキーマンを探し出す。機会があれば臆せず飛び込んでいく。

   メンバーの大半は企業経営者ですが、本業を抱えながらも飽きなき挑戦するそんな姿勢が、多くの人の賛同を生むのかもしれません。

 現時点では、ジャマイカチームの本選出場は決定しておらず、「下町ボブスレー」が五輪デビューを果たすのかは不明ですが、素晴らしい結果となりますことを祈念して、今週は締めくくりたいと思います。

                                                                                                                                                           朝日新聞出版 2017年12月30日 第1刷