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【概要】

   大塚食品の「ボンカレー」boncurry.jp/無題
同社のレトルトカレーを、誰でも一度は口にしたことがあるのではないでしょうか。明日2018年2月12日で誕生から50周年を迎えるそうです。

 そんな節目にありながら、いま同製品のテレビCMをほぼ見かけなくなっていることに皆さんお気づきでしたでしょうか。

 実は同社はボンカレー誕生45周年を迎えた5年ほど前から、テレビCMの出稿を控え、宣伝費を6割減らしたそうです。

 それは同製品が売れなくなってきたから?
いえいえ宣伝費を減らしながらも、実は売上は順当に伸びているそうです。

 テレビCMを通じて多数の人に視認され販売を伸ばしていく。
これまで当たり前のように行われてきたそんなモデルがもはや通じなくなってきているところに、敏感な企業は気づき始めています。
 もはや広告は効かなくなってしまったのか? ならばこれからの企業は、いったいどうやって自社の製品やサービスを認知してもらえばいいのか? 本書はそんな問いに対し示唆を与えてくれる1冊となっています。

【所感】

    TVを見ない人たちが増えているのだから、ネット広告へシフトすればいい。いやいやSNSを重視すべき。いずれも正論に思えますが、そもそもこれは広告であると分かった瞬間に、消費者は回避をする行動に出ます。
 本書でも、バナー広告はほぼ無視されていること。巧妙に本文に広告を滑り込ませても消費者が気づいた時の嫌悪感が企業イメージを損ねるリスクなど、ネットであっても視認されにくくなっていること。SNSですら、発信の方法を間違えれば、しばしば炎上をしてしまいます。

 ならばこれからの企業は、どう消費者へアプローチをすればいいのか?
そこで著者達が提唱するのはPR的コミュニケーション。
 日本ではあまり明確な定義は知られていませんが、米国にあるPR協会(PRSA)によれば、PRとは「広告や宣伝のように何かを売り込もうとするものではなく、企業などの組織と、それをとりまく社会的な存在との間に、好ましい関係性を作ること」とあります。

 最近、雑誌などで記事の体裁ながら「PR」と入ったページをご覧になったり、プレスリリースと称し、自社の商品やサービスを各メディアに提供し記事に取り上げてもらう行為をお聞きになった方も多いかもしれません。
 
 著者たちの挙げるPR的コミュニケーションの要諦は3点。
「第三者」「事実性」「マイクロコンテキスト(小さな社会集団)」としています。
 本書では、この要諦を前提に、これからの企業が消費者と良好なコミュニケーションを築く方法につき考察、解説をしています。
 200ページほどの体裁ですが、端的にまとまっており、個人的には非常に腑に落ちる内容でした。

 PRコミュニケーションが主流になると「信頼性」「透明性」「誠実さ」が重要な基軸になり、資金力の劣る中小企業でも大企業と同等の勝負ができるとしています。

 爆発的にヒットしている愛知ドビー製の「鋳物ホーロー鍋 バーミキュラ」。同製品をお手伝いしたのが著者たちであり、確かに同社のTVCMなど見たこともありませんが、いまや知らない人はいないほど認知されており、その主張にも説得力がありますね。

 今や消費者は「お金でモノを買う」から「信頼でコトを買う」時代に移行をしている。納得です。


                       インプレス 2018年2月1日 初版発行