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【概要】

 最近話題になることの多い「デジタルレイバー」。
一般的には「仮想知的労働者」と日本語訳されることが多いようですね。
 これまで人の手でしか出来ないと思われていた作業の大半をコンピューター上で処理をするソフトウェアのことを指します。
 このソフトウェアを構築する上で中心技術となるのがRPA(ロボットによる自動化)。こちらの名称の方が耳に馴染があるかもしれません。

 あえて「デジタルレイバー」と擬人化して呼ばれるのはその汎用性の高さかもしれません。
 エクセルなどのデータの入力や複数の業務ソフトからなるデータの整合や精査といった作業。そんな作業を自身に変わって代替してくれ、教えることでその業務範囲を拡大していく様は、あたかも新しい人材を採用したかのような印象を与えるのかもしれませんね。

 少子高齢化、働き方改革が声高々と叫ばれる日本。今後、労働人口が減少し労働時間も厳しく制限される中、働く一人一人が生産性を高めていかなければ、企業は存続もおぼつきません。
 そんな一助となるのが「デジタルレイバー」。
本書はそんな「デジタルレイバー」や「RPA」などについて理解を深めたい方の入門書としてぴったりの一冊。「デジタルレイバー」が求められる背景から、具体的な機能の紹介。導入事例も含め分かり易く解説がなされています。

【所感】

 5章17節からなる本書(4章だけは未来シミュレーションということで体裁がちがい、節はありません)。各節ごとに要点のまとめがついており、まずは手っ取り早く本書の内容を知りたいといことであれば、この要点だけをざっと読み、関心のある節から読み始めてもよいかもしれません。

 なかなか具体的なイメージがつかない方も多いかもしれませんが、「デジタルレイバー」の中心技術である「RPA」がもつ機能を知ると、イメージがつきやすいかもしれません。

「RPA」には7つの中心機能があります。
それは ①項目指定&操作 ②入力 ③コピー&ペースト ④繰り返し ⑤メール ⑥条件分岐 ⑦コマンド実行。

 みなさんが、卓上のパソコン上でやっている作業を思い出してみて下さい。複数のソフトウェアを使いつつ、やっていることは概ね上記の様な作業ではないでしょうか。
 「RPA」はその操作手順を記憶し、我々の代わりに作業を代行をしてくれます。
休むことなく、正確に、文句も言わず・・・・・・。

 本書では上記内容の他、導入時の留意点や必要とされる人材像、組織の在り方も含め、幅広く網羅をしており、非常に参考になる1冊でした。

 本書でも触れられていますが、おそらく多くの企業が「デジタルレイバー」導入をする際に妨げになるのは我々の意識。特に日本人としての労働に対する価値観かもしれません。

 ややもすれば、長い時間をかけ、コツコツと積み上げるような仕事の姿勢が評価され、働く側も自身が提供する時間が労働の対価と考えがちです。しかしもはや「デジタルレイバー」の導入で、ルーティン作業における時間あたりの生産性では敵うべくもありません。
 
 自身の労働時間が直接対価とならなくなった時、我々はどんな働き方をすればよいのか。
人間にしか出来ない創造的な仕事とは何か。改めて考えさせられます。
 
                    日経BP社 2018年2月20日 初版第一刷発行