2018-3-11 VOL.246IMG_2070

【概要】

 おおよそ人であれ組織であれ、他者からの評価が気にならないという方は皆無ではないでしょうか。

 他者からの評価はときにカネよりも価値があり、たとえそれがゴシップであったとしても、人や組織の目的達成に多大な影響を及ぼすのだと著者たちは主張をします。

 つまり実際にどうであるかよりも、外からどう見えるかが、極めて重要だということです。

 はたして評価とは何なのか? なぜ評価には価値があるのか? それはコントロール可能なものなのか?

 レピュテーション(世評・評判・評価)研究の第一人者たちが、そんな疑問に迫った本書。

 トランプ、クリントン、タイガーウッズ、シャラポワ といった著名人や、排ガス不正を起こしたフォルクスワーゲン社や、メキシコ湾で原油流失事故を起こした英BP社 など、個人や組織(企業)の実例を引き合いにしながら、「評価」を制する方法を解き明かしていきます。

【所感】

 大きく2部からなる本書。評価をつくる戦略と最高の評価をつくる実践法から構成されています。本書の原題は帯にある「The Reputation Game」(評価ゲーム)。

 ゲームであるならば、当然そのルールを知らなければなりません。「評価ゲーム」の覇者となる(高い評価を得る)ためには次の3つの要素について、理解をしておく必要があります。

 それは ①行動 ②ネットワーク ③ナラティブ(物語)の3点。

 ①の「行動」は分かり易いですよね。「行動とは他者の期待に応えられるかどうかを示すメッセージ」であり、評価の中核をなすものです。

 そしてその「行動による評価」も伝わらなければ意味がありません。そこで重要になるのが②の「ネットワーク」。どんなネットワークに属し、どのネットワークにどれだけの時間を費やすのか。そのネットワークはオープンなものなのか、閉じられたものなのか。またどんなキーマンと接点をもつかにより、その影響度合いも大きく異なってきます。

 最後は③のナラティブ(物語)。組織や自身をどのように語るのか。また他者にどのように語ってほしいのかも重要な要素です。特に自身が語ることももちろん重要ですが、往々にして人は他者による評価の方を参考にするケースが多いことを考えれば、いかに伝えたくなる物語を紡ぎだすかということも大事な観点と言えます。

 上記の3点以外の要点として、「評価」には「能力」に対するものと「性格」に対するものの2つがあるとの解説がありました。
「能力」に対する評価は、一旦築いてしまえば、よほどのことがない限りなかなか失墜しないものですが、「性格」に対する評価は、これとは真逆に移ろいやすく不安定なものだそうです。

 重大な航空事故を起こしながらも、同社の製造するエンジン自体の評価は揺るぎなかったボーイング社の事例。優れたパフォーマンスを残しながらも、セックス依存症の露見からあっという間に人気の凋落したタイガーウッズの事例など、この定義も非常に分かり易く納得感のあるものでした。

 1部で上記の様な内容に触れたあと、2部では窮地に陥った際の対処や「評価」の貸し借りなど、より実践的な内容が記されており、1部で定義された「評価」につき、その説得力をより深める内容となっています。

 さて「評価」につき理解を深めることで、我々は完全にそれをコントロールし管理する術を身に着けることが出来るのでしょうか。
 著者たちは評価を与えるのが、他者である以上、それは不可能であり、そもそも他者の自分に対する評価は管理できるものとの思い込みは非常に危険な考え方だとしています。
 ならば何が出来るのか? 自身がどう理解されるのかを管理するのではなく、どう理解されるかに影響を及ぼすことができるよう戦略を立てることが肝要なのだと結んでいます。

 今やSNSなどの普及で、些末な言動すら評価の対象となり、あっという間に伝搬してしまう時代。「評価」とは、たとえ完全には管理できないものだとしても、その構成要素を理解し、適切な準備や対応をしていくことの重要性を教えてくれた1冊でした。



                                                                      日経BP社 2018年2月20日 第1版第1冊発行