2018-3-18 VOL.247IMG_2098

【概要】

 みなさんはAPIという言葉をお聞きになったことがありますか。
 APIとは「Application Programming Interface」の略称のことです。「あ~あのスマホとかにインストールするアプリのこと?」と思われた方は、当たらずも遠からず。
 APIを簡単に言うなら「ソフトウェアの機能を別のソフトウェアやサービスなどと共有する仕組み」だそうです。

 たとえば、私たちがどこかお店を探すときには、しばしばネット検索をします。お目当ての店を見つけ、そこへの行き方を調べるとき、Googleマップが表示されるケースが少なくないですよね。
 これはGoogleがその仕組みをAPIとして公開しており、誰でも自由にそのAPIを利用し自社のサイトで同社の地図サービスの表示をさせることが可能となっているから。

 近年、このように自社が保有する機能や開発したサービスをAPIとして積極的に提供する動きが高まっています。そんな状況はAPIエコノミーと呼ばれ多くの企業から着目を集めています。
 米IBM社の試算によれば、その市場規模は2018年で2兆2,000億ドル。日本円にして約250兆円が見込まれているそうです。

 もはや大半の企業や個人にとって避けることが出来ないAPIへの取組。
本書はそんなAPIの概略からすでに取り組みはじめている企業事例までを紹介した入門書とでも呼ぶべき1冊。今後、大きな潮流となりそうなAPIの世界を分かり易く解説しています。


【所感】

 3章からなる本書。APIの必要性を知ること、APIの活用法を知ること、API市場の役割を知ることといった内容で構成されています。

 APIとは「ソフトウェアの機能を別のソフトウェアやサービスなどと共有する仕組み」と言われてもなかなかIT系の企業以外の方はイメージがつきにくいかもしれません。
 ただどんなビジネスでも、事業を拡大していく際には、優れたパートナー企業と提携
し新しい商品やサービスを創り出すことは往々にして行われています。

 これと同じように自社のもつ機能や仕組みをAPIとして提供をする。逆に他社が提供するAPIを自社のビジネスモデルに取り込み、新しい展開を行うといった動きに変じていくと考えるとよいかもしれません。

 たとえば金融機関がもつ審査機能を利用し、自社の与信管理や決済業務に使用をする。自社の取引履歴をデータとして切り出し会計ソフトに取り組むなど、特に金融機関のもつ機能にはAPIに馴染み易いものが多く、本書でも事例として紹介がされています。

 とはいえ、一般の企業にはなかなかハードルの高いもの。そこで整備が待たれるのは、API取引市場。自社のAPIを販売したり、他社のAPIを比較検討し購入するような市場の存在でした。
 おりしも先週3月15日には、日本初のAPI取引所「APIbank,jp」https://www.apibank.jp/ が開設されており今後の発展が期待されているところです。

 ところでこういったICT技術関連の話になると「また日本は遅れている」との話になるのか?と思われがちですが、実はこのAPIの発想は日本人や日本企業にとっては、とても得手な領域になるのではないかと著者は指摘をしています。

 ごく一握りの天才の発想に頼り、市場支配的にビジネスを進めようとする企業が多い欧米に比べ、協業し課題解決をする姿勢をもつ日本企業は、APIエコノミー的だからだそうです。
 APIエコノミーが進展する中では、多くの技術やサービスが公開されていきます。天才的な発想に頼らずとも、丁寧にそれらを元に組み合わせたり、すり合わせをしていくプロセスが肝要となる点が日本にとっては追い風になるのではないか?との推測がなされています。

 なかなか興味深い一冊。
惜しむらくは、具体的にどういった機能やサービスなら、公開や流通の対象になるのか?コストはどれくらいかかるのか?といったより踏み込んだ実務面での内容については、あまり記述がなかったことでしょうか。


                    日経BP社 2018年2月26日 第1版第1刷発行