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【概要】

 血みどろの戦いが繰り広げられる既存の市場(レッド・オーシャン)を抜け出し、競争自体を無意味なものにする未開拓の市場を生み出す戦略。それがブルー・オーシャン戦略です。

 同戦略は ①競争のない市場空間を切り開く ②競争を無意味なものにする ③新しい需要を掘り起こす ④価値を高めながらコストを押し下げる ⑤差別化と低コストをともに追及し、その目的のためにすべての企業活動を推進する などを特徴としています。

 同戦略名をタイトルにした書籍「ブルー・オーシャン戦略」。
2005年に発売された同書は、44か国語で出版され、世界で360万部以上も売れたベストセラーとなっており、一読された方も多いかもしれませんね。

 同書出版から10年超。本書はその続編とも呼べる1冊。
前作発表後、世界中で取り組まれてきたブルー・オーシャン志向事例を、研究分析してきた著者たちが、更なる考察を加え、より実践的な内容にまとめた1冊。

 ブルー・オーシャン戦略の重要性を理解しつつも、具体的な行動を起こせない我々に変革を促す1冊となっています。

【所感】

 ブルー・オーシャン・シフト(移行)を試みるなかで、多くの人が感じる、どんなにアイデアや変革努力が独創的であったとしても「人をどう動かすか」という問題に対処しない限り、その実現はおぼつかないということ。

 ブルー・オーシャン・シフト(移行)を成功させるためには3つの鍵 ①ブルー・オーシャンの視点(視野を広げ、事業機会の所在についての考え方を改める)を持つこと ②市場創造ツールと活用指針を持つこと ③人間らしいプロセスを持つこと があるそうですが、ここでも「人」が重要な要素であることが改めて、定義づけられています。 

 さて大きく二部構成された本書。

 第一部では、主としてブルー・オーシャン戦略の概要と、前掲した成功のための3つの鍵の解説。第二部では、ブルー・オーシャン・シフトを実践するための5つのステップが明かされています。

 5つのステップは、①準備に取り掛かる ②現状を知る ③目的地を思い描く ④目的地への道筋を見つける ⑤戦略を絞り込み、実行に移す の順で構成されており、併せて ①PMSマップ ②戦略キャンパス ③買い手の効用マップ ④非顧客層の3つのグループ ⑤6つのパス ⑥4つのアクションといった6つのツールを実例とともに紹介することで、ブルー・オーシャン・シフトへ取り組む手順や手法が分かり易く解説されています。

 とはいえ個々のテーマは深く、6つのツールを埋めていくには、相応の労力が必要な事は想像に難くありませんが。

 各ステップを見て感じるのは、
ブルー・オーシャン・シフトは決して限られた天才的な人物が着想を得て、いきなり起こるものではないということ。
 各ステップに皆を巻き込むような展開をすることで、各自の叡智を持ち寄り当事者意識を醸成すること。それこそ、ブルー・オーシャン・シフト成功の鍵の1つである「人間らしいプロセスを持つこと」に通じるのかもしれませんね。

 ほかにも、多くの示唆に富んだ本書。全てのビジネスパーソン必読の戦略本と言っても過言ではないのではないでしょうか。

 最後に「ブルーオーシャン戦略の市場投入と展開は、大ヒットを目指してミュージカルを製作するような気持ちで取り組むつもりで考えるとよい。」と結ばれています。

 観客は「早く見たくて、ウズウズする。」と言い、製作に携わった者は「上演が待ちきれない。」と語る。練り上げたストーリーに、舞台装置、照明や衣装、音響を整える。初演に向けた余念なき練習。そして初演が始まっても、細かな手直しは続く・・・・・。

 それこそ本書の内容を一番端的に表した言葉かもしれません。
 





                    ダイヤモンド社 2018年4月18日 第1刷発行