2018- 5-13 VOL.255IMG_2287

【概要】

 なんとなくタイトルに惹かれ、手にとった1冊。
みなさまは本書のタイトルを見て、どんな印象をお持ちになったでしょうか? 少々胡散臭さを覚えた方も多いかもしれませんね。

 JTから外資系コンサルティング会社を経て、事業調査会社を主宰する著者の手による本書は、日本の未来予想と、個人や組織に変革へのアクションを促した1冊となっています。

 近い将来、間違いなくやってくるであろう日本の財政破綻。
財政破綻は、現役世代にとっては、悲報ではなく朗報だと説く著者。その理由は、大きな変革のきっかけになるからだと語ります。
 
 万事先送り感。停滞感漂う現在の日本。それでも我々はこの国の未来に賭けるしかありません。
 変革とは危機でもあり、同時に機会でもあります。変革の方向をどう捉え、どう行動をすればよいのか。そんな示唆を与えてくれる内容となっています。

 著者の主宰する調査事業会社は、ITを活用した膨大な情報解析から、未来シナリオを描き、経営の意志決定を支援するサービスを提供しており、本書の内容も、その未来シナリオに沿ったものとなっています。

【所感】

 4章からなる本書。

 第1章では、遅くとも2025年までにやってくるであろう日本の財政破綻について言及をし、残る3章では、財政破綻後生まれるであろう新ビジネス、日本方経営の未来と個人のキャリアの考え方、日本企業の変革について1章ずつを充てています。

 まず第1章で綴られるのが、財政破綻のシナリオ。日本の財政は過去ほぼ80年周期で破綻しており、早ければ2018年、遅くとも2025年には破綻をする公算が高いこと。ただ現役世代や若者にとっては、高齢者や地方への過度な優遇が是正され、朗報なのだと説きます。
 そして破綻後、変革の担い手となるのは、企業と現役世代であるとし、次章以降へと展開されていきます。

 2章では、今後のビジネス県境について言及しています。財政破綻で大きく影響を受けるのは、シニア市場、ヘルスケア市場、自治体。またファストファッションやLLCの台頭や、ウーバー、エービアンドビーなどシェアビジネスの勃興など、現在の消費者の嗜好は「お金の掛からないもの」へ移行をしていること。
 その中で必要な発想は「逆張り」であり、意思決定の早いベンチャー企業にチャンスがあることなどが記されています。

 3章では、大半の日本型企業では中高年のコア人材が変革の妨げとなっていること。専門性の高い人材をまとめるチームマネジメントが重要であること。高度派遣ビジネス、上位派遣ビジネスが伸びる素養が大きいこと。知名度や規模の大きさに囚われず「強い会社」に所属することの重要性が説かれています。

 終章では、大手企業の変革事例は成功確率が1割もないという現実。
利益重視ではなく。雇用重視となっている日本企業型経営は、組織の成長を志向するしかなく、そのために必要な、思想、原理、プロセスにつき言及しています。
 
 各章ごとに、2ページずつのまとめがついていますので、全容を理解するために、まずはここから読んでみることも良いかもしれません。

 全編通じてまず感じるのは、痛烈な批判。日本企業が没落したのは、停滞した中高年男性が原因。中高年同士で雇用を庇いあっておる現実が、企業の生産性をを上げず、変革を妨げる諸悪の原因となっていると言い切っています。また大量の不要社員を産んだのは、戦後民主化の失敗とまで言及をしており、このあたりは賛否両論分かれるところでしょうね。

 個人的には、つぶさに日本企業の経営課題や提言などをまとめた本書は小気味よく、豊富な図表も相まって興味深く読めた1冊でした。変革を妨げている?世代ではありますが(笑)




                        文響社 2018年4月17日 第1刷発行