2018- 6-24 VOL.261IMG_2446

 あまりノウハウ系のビジネス書は、紹介しない本ブログですが、今回は趣向を変えて、新書新刊からこんな1冊をご紹介させていだだきます。

【概要】
 
 副題にもある「AI時代の新しい働き方へ」。

 AIの進展が、今後、人間の知的な仕事をどんどん代替しようとする中、我々に重要なことは「自分が知りたいことは、一体何なのだろうか?」「自分がすべきことは、一体何なのだろうか?」と思いを馳せること。

 そのために必要なことは「知識」の習得。たとえインターネットの普及で誰でも簡単に必要な知識を手にすることが出来るようになり、その経済的価値は低下しているとしても、その必要性は少しも下がってもいないのだと著者は説きます。

 その理由は二つあるそうです。一つは、新しい情報に接しても、自身のもつ知識が乏しければ何も感じないし新しい発想に繋がらないということ。そしてもう一つは、質問をする力を知識が高めるということ。
 何かを知りたいという欲求は知識から生まれ、質問を発することから探究が始まり、現状を変えようとする行動へ繋がるからだそうです。

「知識」を得るために必要なことは勉強。今や新しい勉強の時代が到来しており、そのキーワードとなるのは「独学」。インターネットの普及や検索技術の発達で、今や「独学」はもっとも効率的な勉強法となっているそうです。

 早稲田大学ビジネス・ファイナンス研究センター顧問、一橋大学名誉教授であり、多数の経済本を記したり、「超」整理法などの知的生産術を紹介してきた著者が、そんな「独学」術について記したのが本書です。
 

【所感】

 10章からなる本書。第1章で、まずは「独学」を始めてみることを提唱しています。
 とかく勉強といえば学校を思い浮かべがちですが、まずはそんな思い込みを捨てて、次の3つの行動を実践するよう促しています。

 ①検索してすぐ調べる(新聞などを見ていて分からない言葉があったら、すぐに検索をしてみる) 
 ②新聞で、第三面までの見出しを毎日チェックする(社会で何が問題になっているかを知る)   
 ③SNSで検索をする 

 つまり何かに興味を抱き、学ぼうとすることが第一歩であり、上記の行動を継続することから自ずと自身が進む方向は見えてくるのだと説きます。

 以降の章では、独学と学校の比較、独学を継続する方法や、自身で勉強カリキュラムを構築する方法など、より具体的な方法論について解説がされています。

 これまでの日本における勉強とは、学歴や難関校卒業という「シグナル」を得るための手段に過ぎず、能力や実力をつけるため継続して行われるべき本来の姿からはほど遠いものになっていたと説く著者。
 社会人、特に文科系出身者などが、企業入社後に、ほとんど勉強をしない現状が、日本の競争力を著しく低下させてきたのだと警鐘を鳴らしています。

 超高齢化が進展。年金受給年齢が引き上げられ、生涯労働期間がどんどん伸びるこれからの日本。
 たえず自身をバージョンアップし、世の中の流れに注意を払い、必要な技術の習得が不可欠でありことは想像に難くありません。何よりその流れや必要な技術が何か疑問を持ち、探究する姿勢こそが重要であることは、冒頭で記した通りです。

 シュリーマン、フォン・ノイマン、フランクリンなど、独学で功を成した偉人達のエピソードも紹介しつつ、モチベーション向上にも考慮した本書。

 人間の本質は勉強にある。なぜなら人間は後天的な「学習」によって能力の獲得をしてきたからであると説く著者。
 「(自ら好きなものを)勉強したい」という本能に導かれて行う独学は大変楽しいものななのだとも記しています。

                       KADOKAWA  2018年6月10日 初版発行