IMG_2622

2018- 8- 5 VOL.267

 

【概要】

 

 AppleiPhoneiPadを使い、気になることはすぐにGoogleで検索。欲しいものがあれば、amazonで最安値の商品を探す。知り合いの近況はfacebookで確認・・・・・。

 

 このような行動パターン全てではないにしても、一つや二つ心当たりのある方って、かなり多いのではないでしょうか?

 

 本書タイトルであるGAFAとは、GoogleApplefacebookamazon4つの頭文字をつないだ造語であり、世界規模で個人データを圧倒的な規模で集めている勝ち組企業のことを指します。

 

 これらのIT企業は我々を幸せに導く聖なる四騎士なのか? はたまた地上の1/4を支配し、剣、飢饉、悪疫、獣によって「地上の人間を殺す権威」を与えられているヨハネの黙示録に登場する四騎士なのか?

 

 そんな副題のついた本書。

もはや我々の生活には不可欠なGAFAの提供する製品やサービス。

彼らはどのように生まれ、なぜ、これほどの力を得たのか? 彼らは世界をどう支配し、どう創り変えたのか? そして彼らが創り変えた世界で我々はどう生きればいいのか?

 

 自らも9つの会社を起業し、現在はニューヨーク大学スターン経営大学院で教鞭を執り、世界最高のビジネススクール教授50人にも選出された経歴をもつ著者が、そんな考察を試みたのが本書です。

 

【所感】

 

 全11章からなる本書。まずはGAFA4社個々にスポットを当て、誕生からその成長戦略を紐解きます。ただ著名な企業群ゆえ、多数の研究本も出版されており既知の内容が少なくないわけではありません。

 
 
しかしその後の章では、GAFA4社の共通点を整理しつつユニークな見方が展開されます。

 

 例えば、彼らの成り立ちはペテンであること。

他の会社の知的財産を拝借し別の目的に使い、利益をあげ、稼いだところでその知的財産を保護する行動を起こす。あるいは他者が築いた資産を使い、それを開発した人にはできないやり方で、利益をあげるといった狡猾な手段を得意とする。

 

 彼らのサービスから我々が逃れられないのは、その矛先が我々の「脳」「心」「性器」に向けられているから。

 

 またGAFAに続く企業があるとすれば、その企業は少なくとGAFAが共通してもつ「覇権のためのDNA(①商品の差別化 ②ビジョンへの投資 ③世界展開 ④好感度 ⑤垂直統合 ⑥AI ⑦キャリアの箔づけ ⑧地の利)」を有してなければならない。etc

 

 惜しむらくは、多くの方が知りたい、GAFA以降の世界で働く我々はどんな武器を有するべきかという終章の内容でしょうか。

 

 GAFAの台頭は、幾多の産業を壊し、その産業に従事する多数の人々の雇用も損なわれました。

GAFAに所属するごく一部の人々へ富の寡占は間違いなく加速される中で、我々はどのようなキャリア形成をすればよいのか。

 

 著者は、個人の内面的要素としては、心理的成熟、好奇心、当事者意識をもつ重要性を挙げているほか、大学に行くこと、資格をもつことの必要性なども説いていますが、これはごく当たり前のこと。

 何か画期的な提言でもあるのか期待をしましたが、案外凡庸な答えには少々がっかりした次第ですが、現時点では明確な手立てというものは、導き出せないというのが正直なところなのかもしれません。 

 

 ただそれが本書の価値を貶めるものではありません。「GAFA以降の世界について知ることは、これからの必須科目なのだ」と繰り返し記される著者の主張とは、GAFAの動向に絶えず注意を払うこと、有形無形を問わず、その影響を意識し続けなければならないとのある種の警告でもあり、その必要性、重要性は十二分に理解、納得できるものでした。

 

                        東洋経済新報社 201889日発行