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2018-10- 7 Vol.276

 二週間ぶりの三連休。皆様、どうお過ごしでしょうか? お休みの方も多いかと思いますので、今週は気楽に読める少し毛色の変わった、こんな一冊を紹介させていただきたいと思います。

 地元名古屋の市立大学大学院准教授が筆を取った一冊です。

【概要】

 

 名古屋市立大学大学院経済学研究所で准教授を務める著者。

 日々湧き起こる様々な経済事象。一見すると新しい概念や考え方が誕生したように見えて、実はそんなことは、とうの昔に理解されていたり、対処がされていた......。
そんな事例というのは案外少なくないそうです。

 どう対処しようかと悩む前に、まずはちょっと歴史を紐解く習慣を身に付けてはどうですか?というのが本書の狙いと言ってもいいのかもしれません。

 なぜなら歴史は、考えるヒントの宝庫だからと著者は語ります。
歴史は結果が歴然であり、そこにどんな原因や理由があったのかを理解し、参考にすることは、無駄な思考の時間を節約したり、思わぬ気づきを得るきっかけと成り得るからだと、個人的には理解をしましたが、いかがでしょうか?
 

【所感】

 

 7章で構成された本書。

「貨幣」「インセンティブ」「株式会社」について触れた前半3章が基礎編。「銀行危機」「取引コスト」「プラットフォーム」「教育」について触れた後半4章が応用編となっています。

 歴史に学ぶ経済というと、経済史という学問領域がありますが、本書はそこまで難解なものではありません。
 紐解く事例も、鎌倉・室町時代に流通した中国銭に、ビットコインの原型を見出してみたり、織田信長の施策、加納楽市令に、プラットフォーム戦略を見出すなど、バラエティに富んでいます。

 学生時代の教科書で、読んだことのある事例も多いのですが、当時は史実として読んだり覚えたりしただけのことであり、なかなか経済という目線で見ることは少なかったと思いますので、改めてその背景や意図に気づく事例も少なくありませんでした。

 ちょっと拡大解釈の面がないとは言い切れませんが、いくら歴史は繰り返すとは言え、まったく同じと言うことはないのだから、一見無関係に見える事象の中に、過去にあったエッセンスを見出そうとするのであれば、それも致し方ないのかもしれませんね。

 著者も、ここに挙げた事例が全てというわけでなく、取りあげてない事例も多くあるので、それは読者の手に委ねたい旨の記載があります。
 これは本書にはなく、私の個人的な感想ですが、日々接する様々な経済事象につき、用語+歴史というキーワードで検索する習慣づけが結構有効ではないかと感じた次第です。
 従前であれば、同様の調べをし関連性などを見出すのは、非常に難しく、相応の基礎知識が必要でしたが、今やネット時代。検索の容易さ、関連する事例を紐解くハードルの低さは現在ゆえ。

 本書趣旨とは、異なるのかもしれませんが、そんな示唆を受けた一冊でした。
 
                            東洋経済新報社 2018年10月4日発行