2021- 1-17  Vol.395 5E729E04-9397-4A11-BF52-10686643590C
 
【概要】
 
 元日本マイクロソフト代表取締役、成毛眞氏が未来の可能性とリスクについて説いた1冊。ご自身が日本マイクロソフトの代表を退任されたのが、2000年ということなので、ほぼ20年前。
 この20年の変化の速さを思えば、これからの20年は、もっと違った世界になっているのではないか。そんな思いが20年後、2040年の未来と銘打ったタイトルに込められているのかもしれません。

 同社退任後は、投資コンサルティング会社を運営しつつ、数々の著作を出してきた成毛氏ですが、本書を最後にしばらく執筆活動は停止される予定とのことです。

 本書において「未来に適応していくためには、未来に何が起こるかを想定しておくこと。人は想像を超えた現実には太刀打ち出来ないが、最悪の事態を想定していれば右往左往することはない。」と成毛氏は説きます。
 そのために必要なことは「今日」を見つめ、現在起こりつつある様々な事象の萌芽を見落とさず、それが自身の未来にどう影響を及ぼすのか思いを馳せること。その参考のために本書を活用してほしいと記しています。

【構成】

 #chapter1~4と、大きく4つのジャンル(
テクノロジー、経済、生活、災害)に分け、74のテーマで構成で構成されています。
 1つのテーマは短いもので2ページ、長いものでも6ページ程度しかありません。基本的に個々のテーマは独立しており、非常に読みやすい体裁となっています。

【所感】

 成毛氏の私的予測が記されているというよりも、様々な参考文献を引用、要約して紹介をしている印象が強い本書。事実、巻末には5つの書籍、20の新聞雑誌、4つのWebサイトが紹介されています。

 圧倒的にボリュームが割かれているのは、#chapter01で記されるテクノロジーの未来。5Gや6Gといった通信技術に関するテーマのほか、ゲノム解析、再生医療、電池、核融合などについて記されています。
 以降の#chapter2では、日本の年金、税金、医療費、保険、投資。
#chapter3では、食生活、住環境、教育。#chapter4では、飢饉、水害、南海トラフ地震、富士山爆発などが取り上げられています。よく言えば幅広く、悪く言えば雑多なテーマが紹介されています。

 一読し感じるのは、少子高齢化が更に進展し、大きな経済成長も見込めない。今後も大規模災害の見込まれる日本の未来シナリオは決して明るくないということ。成毛氏もそこは認め、唯一期待が出来るのはテクノロジーの発達がどう寄与するかだとしています。

 特にご自身の私見はあまり記していない本書ですが、これから我々が自身の未来を考える上で、必要なことは「国を忘れること」だと記しています。
 これは「日本国民であることを忘れろ」とか「国籍を変えろ」という意味ではなく、くれぐれも「自分の力で日本を変えよう」などと思わないこと。長期安定政権が続こうが、今回のコロナウィルス禍があろうが、日本は本質的には大きく変わっていない。GAFAの様な世界企業が生まれる予兆もない。

 優秀といわれる人材が政治や産業界で昼夜を問わず働いても、この有様なのだから、我々一般人は推して図るべし。それよりも国を忘れ、自分自身がどう生き残るのか、どうしたら幸せな人生を送れるのか。そこに全エネルギーを注ぐべきだと記し、本書を締めています。

 文面通り読んでしまえば、身も蓋もありませんが、他者に依存せず、自身の力で情報をつかみ、判断し行動を起こすこと。自身の価値観を大切にすること。そんな発奮を促すためのメッセージと個人的には捉えましたが、みなさんはいかがでしょうか。

                              2021年1月12日 第1版第1刷発行