2021-12-19 Vol.444
【概要】
デフレから脱却できない日本経済。利益率は上がらず賃金も増えず。この20年間の賃金上昇率はわずか0.4%。
2019年における日本人の平均賃金(年収)は38617ドルで、米国(65836ドル)のおよそ6割。かつて途上国というイメージの強かった韓国でさえ、42285ドルありますから、気づけば、もはや貧しい国になりつつある日本。
今後かつてない人口減少社会に突入する日本では、当面経済の低迷が続くことは想像に難くありません。今後想定される過酷な環境下で、現在の生活を維持したいと思うのであれば、これまでと発想を変え、新たな生活設計をし直す必要があります。
そこで本書著者が提案するのが「脱日本」。これは日本を捨てて海外に行くという意味ではなく、諸外国の経済が順調に拡大するのであれば、その富をいかに自身の生活に取り込むことを考えなくてはならないということです。では具体的にどんな方策が考えられるのか。そんな指南をしたのが本書です。
【構成】
全4章で構成された本書。序章で、日本の行く末について論じたあと、投資、副業、本業、移住と4つのテーマについて解説をしています。
【所感】
富裕層向けというよりも、なかなか年収の増えないサラリーマン向けといったところでしょうか。
あまり奇をてらったり、扇動するような内容ではなく、その指南はシンプルです。
投資については、海外株式を長期分散で購入することを推奨。銘柄については超有名企業を選び、相場に一喜一憂しない。投資信託や不動産の直接投資は避ける。投資先はやはり米国が最適と記しています。
副業については、日本で「ヤフオク!」や「メルカリ」を利用するように、eBayを利用して海外の利用者に直接、販売する方法を紹介。具体的な手続きについても詳細に記しています。
本業については、いきなり海外で就職を考えるのではなく、日本国内で外資系企業への就職をまず考えることを提唱。英語力よりも日本での学歴や職歴や重要であること。またアジア系企業も選択肢に入れることなどを薦めています。
終章の移住では、本格的に海外で就業する方法として、特にビザ取得の重要性を強調。就労ビザには意外と日本の大学卒以上の学歴を求める国も少なくないこと。リタイアメントや就学での取得の可能性についても言及しています。
えっこれだけのこと、そんなこと知ってるし。そんな声も聞こえそうですが、では実践出来ているかと言えば、こと投資すら出来ていないという方も多いのかもしれません。
実はネットの普及で上記の様な取り組みを始めることは、従前に比べ格段にハードルが下がっているように感じます。各段にチャンスは広がっているのに、なかなか行動出来ない日本人の背中を押したい。そんな思いも著者にはあるのかもしれません。
デフレ続く日本では、外食や衣料品、日用雑貨など低廉なものも少なくなく、さほど生活困窮は感じないのかもしれませんが、やはり収入の絶対額を増やすべきだと著者は説きます。
個人的にも、それは大いに賛同出来ます。とかく日本、日本人の生産性の低さが諸外国からも指摘を受けますが、その要因は結局低賃金であり低所得。それを生み出すのは、廉価を求めすぎる日本人消費者の志向。適正対価を払い、企業が適正な利益を計上し、雇用者へ還元する。そのサイクルが壊れてしまっているのが、現在の日本であると言っても過言ではないかもしれません。
とはいえ、それは非常に大きな課題であり、一個人の努力でどうこうなるものではないのかもしれません。しかしその状況を甘んじて受け入れることなく、個人レベルで出来ることから、所得増と資産形成を意識すること。そんな行動を促す一冊でした。
文藝春秋 2021年12月10日 第1刷発行
デフレから脱却できない日本経済。利益率は上がらず賃金も増えず。この20年間の賃金上昇率はわずか0.4%。
2019年における日本人の平均賃金(年収)は38617ドルで、米国(65836ドル)のおよそ6割。かつて途上国というイメージの強かった韓国でさえ、42285ドルありますから、気づけば、もはや貧しい国になりつつある日本。
今後かつてない人口減少社会に突入する日本では、当面経済の低迷が続くことは想像に難くありません。今後想定される過酷な環境下で、現在の生活を維持したいと思うのであれば、これまでと発想を変え、新たな生活設計をし直す必要があります。
そこで本書著者が提案するのが「脱日本」。これは日本を捨てて海外に行くという意味ではなく、諸外国の経済が順調に拡大するのであれば、その富をいかに自身の生活に取り込むことを考えなくてはならないということです。では具体的にどんな方策が考えられるのか。そんな指南をしたのが本書です。
【構成】
全4章で構成された本書。序章で、日本の行く末について論じたあと、投資、副業、本業、移住と4つのテーマについて解説をしています。
【所感】
富裕層向けというよりも、なかなか年収の増えないサラリーマン向けといったところでしょうか。
あまり奇をてらったり、扇動するような内容ではなく、その指南はシンプルです。
投資については、海外株式を長期分散で購入することを推奨。銘柄については超有名企業を選び、相場に一喜一憂しない。投資信託や不動産の直接投資は避ける。投資先はやはり米国が最適と記しています。
副業については、日本で「ヤフオク!」や「メルカリ」を利用するように、eBayを利用して海外の利用者に直接、販売する方法を紹介。具体的な手続きについても詳細に記しています。
本業については、いきなり海外で就職を考えるのではなく、日本国内で外資系企業への就職をまず考えることを提唱。英語力よりも日本での学歴や職歴や重要であること。またアジア系企業も選択肢に入れることなどを薦めています。
終章の移住では、本格的に海外で就業する方法として、特にビザ取得の重要性を強調。就労ビザには意外と日本の大学卒以上の学歴を求める国も少なくないこと。リタイアメントや就学での取得の可能性についても言及しています。
えっこれだけのこと、そんなこと知ってるし。そんな声も聞こえそうですが、では実践出来ているかと言えば、こと投資すら出来ていないという方も多いのかもしれません。
実はネットの普及で上記の様な取り組みを始めることは、従前に比べ格段にハードルが下がっているように感じます。各段にチャンスは広がっているのに、なかなか行動出来ない日本人の背中を押したい。そんな思いも著者にはあるのかもしれません。
デフレ続く日本では、外食や衣料品、日用雑貨など低廉なものも少なくなく、さほど生活困窮は感じないのかもしれませんが、やはり収入の絶対額を増やすべきだと著者は説きます。
個人的にも、それは大いに賛同出来ます。とかく日本、日本人の生産性の低さが諸外国からも指摘を受けますが、その要因は結局低賃金であり低所得。それを生み出すのは、廉価を求めすぎる日本人消費者の志向。適正対価を払い、企業が適正な利益を計上し、雇用者へ還元する。そのサイクルが壊れてしまっているのが、現在の日本であると言っても過言ではないかもしれません。
とはいえ、それは非常に大きな課題であり、一個人の努力でどうこうなるものではないのかもしれません。しかしその状況を甘んじて受け入れることなく、個人レベルで出来ることから、所得増と資産形成を意識すること。そんな行動を促す一冊でした。
文藝春秋 2021年12月10日 第1刷発行
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