2022-12-11 Vol.495
【概要】
800ページを超える「辞典」の様な厚み。重たいです。
著者は、ニュースサイト「My News Japan」オーナーにして編集長の、渡邉正裕氏。
日本経済新聞記者、Pwcコンサルティングでの勤務を経て、現在に至る渡邉氏は、これまで1000人を超える現場社員の方へ取材やインタビューを敢行。
自身以上に、業界横断的に社員の労働環境を取材している人物はいないと自負する氏が、本書で問うのは「いい会社」の探し方。
もちろん「万人にとっていい会社」というものは、存在しませんし、たとえ「いい会社」と思って選択した会社であっても、本人のライフステージやキャリアステージの変遷により、そぐわないものになっていくのかもしれません。
職業選択において、自身が譲れないポイントは何なのか。優先順位はどうなのか。多数の会社を客観視可し、的確な選択をするために必要な判断基準を分かりやすく提示した1冊となっています。
【構成】
著者が提示する基準となるのは、3つの軸と9つの視点。それに合わせ、全3部、9章で構成されています。全てを読む必要はなく、自身が関心のあるところを読む「辞典」的な使い方を推奨。
よって本書中でキーになる図表を、巻頭にカラーページで集約して掲載し、ここから関心のあるテーマへ進むことが出来るよう体裁に。また巻末には主要150社を10業種に分類し、9つの視点で評価した一覧も付記されており、業界横断の比較も出来るよう工夫されています。
【所感】
【構成】でも記した「3つの軸と9つの視点」は、下記の通りです。
第1の軸は「仕事」 視点は①「やりがい」②「キャリア」
第2の軸は「生活」 視点は③「負荷」④「勤務環境」⑤「人間関係」
第3の軸は「対価」 視点は⑥「報酬水準」⑦「カーブ・分布」⑧「査定・評価」⑨「雇用」
各視点は更に1~2の「条件」(全体で12)に分けられ、例えば①の「やりがい」では「年齢に関係なく仕事を任されるか」「自律的に仕事内容を選択できるか」と付されています。
さらに各条件には3~5の基準(全体で37)も提示されており、自身の関心があるテーマに、早くアプローチ出来る構成はさすがです。
著者が本書を一番手に取ってほしい読者は、これから就職活動をする高校生、大学生とその親御さん、進路指導を行うキャリアカウンセラーと記されています。
なるほど、自身がこれからどんな仕事につきたいのか、どんな業界に行きたいのか、どんな会社に行きたいのか、漠然としたイメージしかない学生の方にとって、本書が一つの拠り所となることは、間違いほどの情報が盛り込まれています。
しかしそれでも、せいぜいアルバイト程度しか労働経験のない、大半の若い読者にとって、それでも納得する選択を出来るかどうか難しいように思います。
個人的に、著者が真に想定している読者は、第二新卒であったり、20代から30代前半といった若手の様に思います。まずは就業し自身の実体験を踏まえ、改めて仕事や自身のキャリアプラン、ライフプランについて考えるとき、より本書で記された内容が理解できるように感じました。
また中小企業経営者の方々や、採用担当の方々も、是非本書を一読すべきと考えます。
どうしても上場企業などの事例が多く、我々には関係ないのでは?と捉えがちですが、就業希望の若手は、案外価値観が多様化しており、決して企業規模や、給与、福利厚生のみを求めている訳ではないように思います。
むしろ自己成長や自己実現が可能な職場なのか、労働負荷、人間関係は健全なのか、案外そんな点に重きを置いているように感じます。労働人口が減少し、採用がより困難になる中、いかに自社の魅力を訴求し人材の確保をすべきか、参考になる点も多いのではないでしょうか。
こう記すと、なにか機械的な分類に終始しているのでは?との印象を受ける本書かもしれませんが、各社固有のエピソードも豊富に盛り込まれており、飽きることなくページを開くことの出来る好著でした。
ダイヤモンド社 2022年11月29日 第1刷発行

【概要】
800ページを超える「辞典」の様な厚み。重たいです。
著者は、ニュースサイト「My News Japan」オーナーにして編集長の、渡邉正裕氏。
日本経済新聞記者、Pwcコンサルティングでの勤務を経て、現在に至る渡邉氏は、これまで1000人を超える現場社員の方へ取材やインタビューを敢行。
自身以上に、業界横断的に社員の労働環境を取材している人物はいないと自負する氏が、本書で問うのは「いい会社」の探し方。
もちろん「万人にとっていい会社」というものは、存在しませんし、たとえ「いい会社」と思って選択した会社であっても、本人のライフステージやキャリアステージの変遷により、そぐわないものになっていくのかもしれません。
職業選択において、自身が譲れないポイントは何なのか。優先順位はどうなのか。多数の会社を客観視可し、的確な選択をするために必要な判断基準を分かりやすく提示した1冊となっています。
【構成】
著者が提示する基準となるのは、3つの軸と9つの視点。それに合わせ、全3部、9章で構成されています。全てを読む必要はなく、自身が関心のあるところを読む「辞典」的な使い方を推奨。
よって本書中でキーになる図表を、巻頭にカラーページで集約して掲載し、ここから関心のあるテーマへ進むことが出来るよう体裁に。また巻末には主要150社を10業種に分類し、9つの視点で評価した一覧も付記されており、業界横断の比較も出来るよう工夫されています。
【所感】
【構成】でも記した「3つの軸と9つの視点」は、下記の通りです。
第1の軸は「仕事」 視点は①「やりがい」②「キャリア」
第2の軸は「生活」 視点は③「負荷」④「勤務環境」⑤「人間関係」
第3の軸は「対価」 視点は⑥「報酬水準」⑦「カーブ・分布」⑧「査定・評価」⑨「雇用」
各視点は更に1~2の「条件」(全体で12)に分けられ、例えば①の「やりがい」では「年齢に関係なく仕事を任されるか」「自律的に仕事内容を選択できるか」と付されています。
さらに各条件には3~5の基準(全体で37)も提示されており、自身の関心があるテーマに、早くアプローチ出来る構成はさすがです。
著者が本書を一番手に取ってほしい読者は、これから就職活動をする高校生、大学生とその親御さん、進路指導を行うキャリアカウンセラーと記されています。
なるほど、自身がこれからどんな仕事につきたいのか、どんな業界に行きたいのか、どんな会社に行きたいのか、漠然としたイメージしかない学生の方にとって、本書が一つの拠り所となることは、間違いほどの情報が盛り込まれています。
しかしそれでも、せいぜいアルバイト程度しか労働経験のない、大半の若い読者にとって、それでも納得する選択を出来るかどうか難しいように思います。
個人的に、著者が真に想定している読者は、第二新卒であったり、20代から30代前半といった若手の様に思います。まずは就業し自身の実体験を踏まえ、改めて仕事や自身のキャリアプラン、ライフプランについて考えるとき、より本書で記された内容が理解できるように感じました。
また中小企業経営者の方々や、採用担当の方々も、是非本書を一読すべきと考えます。
どうしても上場企業などの事例が多く、我々には関係ないのでは?と捉えがちですが、就業希望の若手は、案外価値観が多様化しており、決して企業規模や、給与、福利厚生のみを求めている訳ではないように思います。
むしろ自己成長や自己実現が可能な職場なのか、労働負荷、人間関係は健全なのか、案外そんな点に重きを置いているように感じます。労働人口が減少し、採用がより困難になる中、いかに自社の魅力を訴求し人材の確保をすべきか、参考になる点も多いのではないでしょうか。
こう記すと、なにか機械的な分類に終始しているのでは?との印象を受ける本書かもしれませんが、各社固有のエピソードも豊富に盛り込まれており、飽きることなくページを開くことの出来る好著でした。
ダイヤモンド社 2022年11月29日 第1刷発行
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