2023- 1-29 Vol.502
【概要】
「スケール」とは本来「規模」「目盛り」「尺度」という意味ですが、近年は「スケールする」と動詞化され、物事やプロジェクトの規模を拡大するという意味で使われることが多いようですね。
元々はベンチャー企業やスタートアップ企業界隈で使われていたものが、一般的な用語として認知されはじめているようです。
本書で著者は「スケール」とは、単にベンチャー企業やスタートアップ企業が、成長するプロセスを指すことではなく、学校や社会生活の場などで生じた優れたアイデアが、生徒や市民などの少人数のグループ内で埋もれることなく、大規模なグループに拡大し、望ましい成果を上げることも指すのだと説きます。
しかし大半の「アイデア」は大きく成長することなく、失敗に終わります。成功するアイデアと失敗するアイデアの違いは、どこにあるのでしょうか。どうすれば、その成功確率を高めることが出来るのでしょうか。
行動経済学を紐解きつつ「スケールする」ことを科学的に明かそうとするのが本書。シカゴ大学経済学部教授、ジョン・A・リスト氏の手によります。
そして見極めた筋のいい「アイデア」を育て、成功確率を高める方法として4つの施策を紹介しています。それは ①インセンティブ ②限界認識 ③撤退時期 ④スケーリング文化の醸成 の4点。
本書内では、具体的な事例を交えつつ、各施策の内容が解説されています。
「スケール(アップ)」出来ない「アイデア」は、それぞれ異なる理由があるが、出来る理由は、驚くほど似通っているとし、本書で掲げた原理や法則を学習することで、誰でも「スケール(アップ)」は可能なのだと説きます。
そして企業や組織を成長させるためには、必ずしもスティーブ・ジョブズやイーロン・マスク、ジェフ・ベゾスの様なカリスマ経営者は必要ないとしています。
なぜなら「誰がやるのか」ではなく「何をやるのか」が大切であり、いかに優れたトップであろうと、筋の悪い「アイデア」では成功は難しく、そこにトップの人格的要素が及ぼす影響はあまりないとの指摘から。
また著者は「スケール」に関する理解は、企業や組織の代表者のみならず、全ての人が、適切な意思決定をする上で有効とも主張をしています。自身が「スケール(アップ)」を先導する機会は少なくとも、他者の「アイデア」に巻き込まれたり、影響を受けることは少なくありません。その関わり方を判断する際の一助となるのがその理由の様ですね。
さて今回紹介の本書。実は本文内に全く図表類がありません。また原注はあるものの用語解説や監訳者等の解説もないため、正直非常に読みづらさを覚えました。原著の影響が大きいのでしょうが、もう少し系統だった整理や構成が欲しかった1冊でした。
東洋経済新報社 2023年2月2日発行

【概要】
「スケール」とは本来「規模」「目盛り」「尺度」という意味ですが、近年は「スケールする」と動詞化され、物事やプロジェクトの規模を拡大するという意味で使われることが多いようですね。
元々はベンチャー企業やスタートアップ企業界隈で使われていたものが、一般的な用語として認知されはじめているようです。
本書で著者は「スケール」とは、単にベンチャー企業やスタートアップ企業が、成長するプロセスを指すことではなく、学校や社会生活の場などで生じた優れたアイデアが、生徒や市民などの少人数のグループ内で埋もれることなく、大規模なグループに拡大し、望ましい成果を上げることも指すのだと説きます。
しかし大半の「アイデア」は大きく成長することなく、失敗に終わります。成功するアイデアと失敗するアイデアの違いは、どこにあるのでしょうか。どうすれば、その成功確率を高めることが出来るのでしょうか。
行動経済学を紐解きつつ「スケールする」ことを科学的に明かそうとするのが本書。シカゴ大学経済学部教授、ジョン・A・リスト氏の手によります。
【構成】
全2部、9章から構成されています。第1部では、そもそもその「アイデア」が「スケール化」するに相応しいかを確認するチェックリストを5章に渡り紹介。
第2部では、選択した「アイデア」の成功確率を高める施策を4章に渡り紹介する構成となっています。
【所感】
成功確率を高めるには、その「アイデア」が「スケールすべき」筋のいいものかどうかを見極めなければなりません。そこで著者は「スケール」可否の定義づけが大切とし、5つのバイタル・サイン(重要な兆候)を紹介しています。
それは ①偽陽性(思い込み) ②過大評価 ③状況認識 ④スピルオーバー(漏出)⑤コスト の5点。
世の中には、次から次へと我々の関心を惹く「アイデア」が生まれてきますが、自身にとって都合の良い情報だけを鵜呑みにすることなく、5つの視点から、その「アイデア」を吟味することを提唱しています。
全2部、9章から構成されています。第1部では、そもそもその「アイデア」が「スケール化」するに相応しいかを確認するチェックリストを5章に渡り紹介。
第2部では、選択した「アイデア」の成功確率を高める施策を4章に渡り紹介する構成となっています。
【所感】
成功確率を高めるには、その「アイデア」が「スケールすべき」筋のいいものかどうかを見極めなければなりません。そこで著者は「スケール」可否の定義づけが大切とし、5つのバイタル・サイン(重要な兆候)を紹介しています。
それは ①偽陽性(思い込み) ②過大評価 ③状況認識 ④スピルオーバー(漏出)⑤コスト の5点。
世の中には、次から次へと我々の関心を惹く「アイデア」が生まれてきますが、自身にとって都合の良い情報だけを鵜呑みにすることなく、5つの視点から、その「アイデア」を吟味することを提唱しています。
そして見極めた筋のいい「アイデア」を育て、成功確率を高める方法として4つの施策を紹介しています。それは ①インセンティブ ②限界認識 ③撤退時期 ④スケーリング文化の醸成 の4点。
本書内では、具体的な事例を交えつつ、各施策の内容が解説されています。
「スケール(アップ)」出来ない「アイデア」は、それぞれ異なる理由があるが、出来る理由は、驚くほど似通っているとし、本書で掲げた原理や法則を学習することで、誰でも「スケール(アップ)」は可能なのだと説きます。
そして企業や組織を成長させるためには、必ずしもスティーブ・ジョブズやイーロン・マスク、ジェフ・ベゾスの様なカリスマ経営者は必要ないとしています。
なぜなら「誰がやるのか」ではなく「何をやるのか」が大切であり、いかに優れたトップであろうと、筋の悪い「アイデア」では成功は難しく、そこにトップの人格的要素が及ぼす影響はあまりないとの指摘から。
また著者は「スケール」に関する理解は、企業や組織の代表者のみならず、全ての人が、適切な意思決定をする上で有効とも主張をしています。自身が「スケール(アップ)」を先導する機会は少なくとも、他者の「アイデア」に巻き込まれたり、影響を受けることは少なくありません。その関わり方を判断する際の一助となるのがその理由の様ですね。
さて今回紹介の本書。実は本文内に全く図表類がありません。また原注はあるものの用語解説や監訳者等の解説もないため、正直非常に読みづらさを覚えました。原著の影響が大きいのでしょうが、もう少し系統だった整理や構成が欲しかった1冊でした。
東洋経済新報社 2023年2月2日発行
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