2024- 2-11 Vol.556
【所感】
豊富なカラー写真の掲載写真も相まって、一見手に取りやすい本書ですが、内容はずっしりと重く、ビジネス書というよりも、哲学書を読んでいるような印象を覚えます。
創業時に製造、販売していた金属製のクライミング用具が、環境に負荷を与えていると気付くや、直ちに代替の材料を探すなど、当初から環境保護を意識した経営を実践する点に驚かされます。
より大きな利益の確保を狙い、衣料品分野に進出も、サプライチェーンからの搾取に留意すると共に、常に環境に易しい素材を探したり、リサイクルを意識した製造にこだわるなど、並みのアパレルメーカーとは一線を画す、その経営姿勢に頭が下がります。
利益の一部で、積極的に環境保護団体等を支援。マーケティングなど過度の販促活動に利益を再投資するのでなく、自社の理念を利害関係者に、しっかり理解してもらい、着実な支援層を確保することで、安定した経営を志す、同社の仕組みが良く分かります。
2022年に、創業家はファミリーがもつ同社株式を、財団へ拠出し、経営をより開かれたものにシフト。近年の同社理念である「私たちは、故郷である地球を救うためのビジネスを営む」に照らせば、同社株主は、地球という究極の結論になるのかもしれませんね。
個人的には、まずはパタゴニアの経営全般の理解ということであれば、巻末チェックリストを参照し、関心ある項目から本文に当たる方法をお勧めします。チェックリストを俯瞰するだけでも、いかにパタゴニア社がユニークな経営を実践しているかが、よく分かると思います。
ダイヤモンド社 2024年1月30日 第1刷発行
【概要】
パタゴニア(パタゴニア社)
アウトドア用品にご関心のある方なら、誰もがご存じかもしれませんね。
1970年に米国で創業されたアウトドア用衣料品メーカーであり、創業者自らが使用するクライミング用品を開発したことが創業のきっかけとなっています。
そのロゴマークは、アルゼンチン南部パタゴニア地方にあるフィッツ・ロイ山をモチーフにしたもの。現在扱っているものは、クライミング用以外に、スキー、スノーボード、サーフィン、フライフィッシングなど多岐に渡っています。
2017年に刊行された 本書著者でもある創業者のイヴォン・シュイナード氏による書籍「社員をサーフィンに行かせよう パタゴニア経営のすべて」は、社員の働き易さを重視する同社の福利厚生制度の手厚さなど、そのユニークな経営が話題を集めましたが、実は同書で一番重きが置かれていたのは環境問題に関する記述でした。
地球環境を保護しつつ、企業や非営利組織は今後、どのような理念を抱き、どのように事業活動を行えばいいのか。創業から50年を経て自社の沿革を振り返りつつ、自らの考えや行動指針などを明らかにしたのが本書です。実は10年前に刊行された底本があり、写真のフルカラー化や内容の追記が行われています。
アウトドア用品にご関心のある方なら、誰もがご存じかもしれませんね。
1970年に米国で創業されたアウトドア用衣料品メーカーであり、創業者自らが使用するクライミング用品を開発したことが創業のきっかけとなっています。
そのロゴマークは、アルゼンチン南部パタゴニア地方にあるフィッツ・ロイ山をモチーフにしたもの。現在扱っているものは、クライミング用以外に、スキー、スノーボード、サーフィン、フライフィッシングなど多岐に渡っています。
2017年に刊行された 本書著者でもある創業者のイヴォン・シュイナード氏による書籍「社員をサーフィンに行かせよう パタゴニア経営のすべて」は、社員の働き易さを重視する同社の福利厚生制度の手厚さなど、そのユニークな経営が話題を集めましたが、実は同書で一番重きが置かれていたのは環境問題に関する記述でした。
地球環境を保護しつつ、企業や非営利組織は今後、どのような理念を抱き、どのように事業活動を行えばいいのか。創業から50年を経て自社の沿革を振り返りつつ、自らの考えや行動指針などを明らかにしたのが本書です。実は10年前に刊行された底本があり、写真のフルカラー化や内容の追記が行われています。
【構成】
全7章で構成された本書。本書の半分程度を割いた第2章で、同社の沿革や経営の特徴を紹介。第3章は、オーナー、株主、社員、顧客などと同社が、利害関係者に対し負っている責任を明確化し、その責任を果たすための具体的行動へと内容が展開されています。巻末には、第3章の内容を細かくチェックリスト化したものも掲載されており、企業の負う「責任」についての深い考察の数々が、本書の要諦と言えそうです。
全7章で構成された本書。本書の半分程度を割いた第2章で、同社の沿革や経営の特徴を紹介。第3章は、オーナー、株主、社員、顧客などと同社が、利害関係者に対し負っている責任を明確化し、その責任を果たすための具体的行動へと内容が展開されています。巻末には、第3章の内容を細かくチェックリスト化したものも掲載されており、企業の負う「責任」についての深い考察の数々が、本書の要諦と言えそうです。
【所感】
豊富なカラー写真の掲載写真も相まって、一見手に取りやすい本書ですが、内容はずっしりと重く、ビジネス書というよりも、哲学書を読んでいるような印象を覚えます。
創業時に製造、販売していた金属製のクライミング用具が、環境に負荷を与えていると気付くや、直ちに代替の材料を探すなど、当初から環境保護を意識した経営を実践する点に驚かされます。
より大きな利益の確保を狙い、衣料品分野に進出も、サプライチェーンからの搾取に留意すると共に、常に環境に易しい素材を探したり、リサイクルを意識した製造にこだわるなど、並みのアパレルメーカーとは一線を画す、その経営姿勢に頭が下がります。
利益の一部で、積極的に環境保護団体等を支援。マーケティングなど過度の販促活動に利益を再投資するのでなく、自社の理念を利害関係者に、しっかり理解してもらい、着実な支援層を確保することで、安定した経営を志す、同社の仕組みが良く分かります。
2022年に、創業家はファミリーがもつ同社株式を、財団へ拠出し、経営をより開かれたものにシフト。近年の同社理念である「私たちは、故郷である地球を救うためのビジネスを営む」に照らせば、同社株主は、地球という究極の結論になるのかもしれませんね。
個人的には、まずはパタゴニアの経営全般の理解ということであれば、巻末チェックリストを参照し、関心ある項目から本文に当たる方法をお勧めします。チェックリストを俯瞰するだけでも、いかにパタゴニア社がユニークな経営を実践しているかが、よく分かると思います。
ダイヤモンド社 2024年1月30日 第1刷発行
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