2013年05月13日

東京国立近代美術館フランシス・ベーコン展

ベーコン展

日本では30年ぶりのフランシス・ベーコン展。大阪には来ないので東京まで見に行ってきた。

ただベーコンは自分の好きな画家であるだけに期待値ばかり高くなってしまい、感想としては正直不完全燃焼ぎみだった。作品を見るたびに「これと同じ主題なら別のあの絵が見たい」、「あの絵の方が素晴らしい」と思わずにはいられなくなるのだった。

例えば、叫びや法王ならこちらの方が良いし。

「ヘルメスの音楽」より1

部屋のなかの裸体のテーマであれば、何故男二人が絡み合っているものが無いのか?
またトリプティク(三幅対)ならこちらの方が良いと思う。

「ヘルメスの音楽」より2

いずれも今回の展覧会には来ていない。

「叫ぶ法王」のタブローは実は「自分のことを法王だと確信しているパラノイア患者」の絵に見える。部屋のなかの丸いベッドは昭和の時代のラブホテルを連想させる。ゴッホを描いたタブロー二点を見られたことは収穫。
性と死と暴力のテーマをより前面に出した作品が来ていないことで、全体に強度が抑えられた、おとなしい印象が残る。

全く個人的な思い出になるが。バルセロナのガウディの建築カサ・ミラの中で行われたベーコンとルシアン・フロイトの合同展(しかも無料!)のインパクトを今回は超えるものではなかった(あのときは頭がくらくらするくらいの衝撃を受けたものだ)。



感覚の論理―画家フランシス・ベーコン論
感覚の論理―画家フランシス・ベーコン論 [単行本]


kay_shixima at 20:00││現場から