犬の鼻を持ったなら▼o・ェ・o▼ 犬の鼻はたいへんだー!

化学物質過敏症という聞き慣れない病気になり、非日常の日常が始まった。気が付けば、はや15年。当初より症状は軽減してきているものの、隣家の香りの洗剤や近隣の工事などに翻弄される日々。そんな時、老親の世話が始まった。 過去記事も含め、いただいたコメントにはお返事するようにしますが、体調次第で遅れる場合があるかと思います。悪しからずご了承下さい。

化学物質に過度に反応してしまう症状を抱えてしまった私の嗅覚は鋭敏になり、まるで犬の鼻のよう。くんくんくんと何でも嗅いでみる。自分の身の安全を確保するために五感を駆使して見る世界は、皆の見ている世界とは違ったもののようである。
同病の方で情報集目的でいらした方には申し訳ありませんが、あくまで個人的な体験を書いているということをご承知いただいた上で、お読みください。

父の入用介助をして下さる方の香りが風呂場の暖房の中にまで付着してしまった。介助の方が帰った後も風呂場だけではなく、暖房機の中にも香りは残る。その日の晩の入浴は地獄だ。風呂場なので高温多湿。最悪な条件。その中での入浴となると、目はチカチカすし入浴中に頭痛が起きてくる。動悸がしてくるのは不安や緊張のせいなのか化学物質のせいなのか。

ケアマナージャーさんには事情を説明して、父の入浴介助の件については改善策をとってもらえることになりそうだ。しかし、12月いっぱい、つまりあと1か月はなんとか我慢しなくてはならない。

しかし、我慢したくないという事で、対処法を探した。

さすがに暖房器具にしみついた香料の香りを消す方法の情報では探しずらいので、単に衣類の洗剤の香りを消す方法で探したが、以前に比べ、情報量が圧倒的に多くなっていることに驚いた。情報が増えることが有難いことだが、それだけ、衣類の洗剤の香りに困っている人が増えていると思うと喜んでばかりはいられない。

参考になったサイトを記しておく。
【柔軟剤の匂いを消す5つの方法】ドライヤーを使って匂いは消せる? -

【保存版】柔軟剤の臭いを落としたい!効果的な6つの消し方を徹底解説|はうすごもり
こちらのサイトは、香料の害、化学物質過敏症や香害、移香のことも分かりやすく書いてあり、発症していない人にも、是非、読んで欲しい記事でした。

プロに聞く「柔軟剤の頑固なニオイを消す方法」ネットで話題の方法とも比較! | 東京ガス ウチコト
こちらは洗濯のプロの方による方法。
こちらの記事の中に「柔軟剤の中には熱や衝撃を受けてカプセルが溶けるタイプもあります。こうしたカプセルの場合、ドライヤーの熱風の熱や衝撃で、カプセルが溶け、ニオイの主成分の気化を促進してくれる可能性があります」との記述があった。

他に、逆の発想で、「柔軟剤の香りが消えてしまう、薄れてしまう」という検索では、乾燥機を使うと香りが弱くなったり消えてしまうという情報を得ることが出来た。

今回は、衣類に付着した移香ではなく、風呂場の暖房機の中に付着した香りをどうするか。一番有力な情報としては、熱で香りが消えるというものということになるだろう。暖房機の内部がどのくらいの熱さになるか分からないが、とりあえず、一番高温に設定して暖房を点けた。風呂場内は、尋常ならざる状況になったので、急いで窓を全開。毎日1時間ずつくらい高温で暖房機を運転し、2~3日で暖房機からの香りは消えてきた。風呂場の壁や床、天井に香りが付着しないか心配だったが(風呂場を掃除するのの自分なので)カプセルが溶けて放出された香りの成分も揮発してしまったようで、掃除中に具合が悪くなるという事は起きなかった。

とりあえず、香りを消す(完全に消えているかどうかは分からないが)方法は手に入れたが、入浴介助は週に1回。風呂場の残香を消すのに2~3日、消えたと思うと、次の入浴介助の日がやってくる。
しかし、次の父の介護計画の見直しの時までの我慢なので、あと3~4回。なんとか頑張ります!

母の介護計画のための話し合いのことでケアマネージャーさんから電話連絡が来た。母の話し合いの日に、介護スタッフの方の衣類の香料のことでケアマネージャーさんに話したいことがある旨を伝えた。

今までにも何度か化学物質過敏症と思われる症状を抱えていて、スタッフの方の香料で具合が悪くなることは口頭では伝えている。しかし、親の介護のことでお世話になっている手前、どの程度、どのように伝えればよいのかと、かなり遠慮をした言い方しかしてこなかった。伝わらなかったのは、私の説明不足だった部分も大きいと思う。もし、自分ではなく親が化学物質過敏症だったら、積極的に説明や説得をしていたと思うが、自分に関しては、症状が緩和されてきていることもあるため、ある程度なら我慢すれば済むことなら事を荒立てたくなかったのだ。

しかし、介護はいつまで続くか分からないうえ、状況が好転していくことはない。このままどんどん家の中に衣類の洗剤類の香料が蓄積されていけば、いずれ私はこの家に住むのは難しくなってしまうだろう。もし、運よく他に住む場所が見つかったとしても、親の介護に通わなくてはならない。他に住んだとしても、結局は、この家に入らなくてはならない。ならば、そうなる前に、きちんと説明して、対策をとるべきだ。

ケアマネージャーさんも香りがする。話していると、目がチカチカする、のぼせる、喉元が苦しいなどの身体症状の他、脳みそがバグって言葉が見つからなくなってしまったりする。しかし、自分以外に説明してくれる人はいない。

ということで、説明するのに資料を用意することにした。

まず、化学物質過敏症がどういう病気なのかの説明。そして、介護チームの方の持ち込む化学物質の中で一番困っているのが香料で、香料によってどのような問題が生じるのかを説明しなくてはならない。

化学物質過敏症の説明は、化学物質過敏症支援センターのサイトの「化学物質過敏症とは?」のページをプリントアウトして用意した。
香料の問題については、化学物質過敏症支援センターから定期的に送られてくる会報の第130号の「香害」についての記事をコピーして用意した。
どちらの資料にも、最低限、ここだけは読んで欲しいという部分に赤でアンダーラインを引いた。

そして、会報の第81号の「体の異変を自覚したとき」という記事のコピーも添えた。化学物質過敏症支援センターの窓口に寄せられた相談事例の載っている記事だ。万一、発症してしまったらどうすればよいかが書いてある。

誰にでも発症の可能性のある病気であることを知って欲しいのと、常にあれだけの強烈な香料を身に付けている介護スタッフの方々が、万一、化学物質による不調を生じてしまったら、少しでも早く気づいて対処して欲しいと思ったからだ。

私は彼らの持ち込む香料で苦しんでいるが、彼らを恨んでも始まらない。彼らは普通に売られている製品を使っているだけなのだから。悪いのはそういう製品を作っている企業で、彼らはその害について知らずに使っているだけなのだ。そして、この病気は実際に発症しない限り、どのような苦しみがに見舞われるかは想像するのが難しいだろうし、努めて発症者に寄り添って苦しみを分かってくれようとしたとしても、あくまで発症している「あなた」の問題であって、誰にでも発症する可能性のある「自分」の問題として捉えることはなかなか出来ないと思う。でも、もし、自分や自分の近しい人が発症した時、少しでもこの病気のことを知っていればこじらせずに済むかもしれない。

自分が苦しいので改善をして欲しいというだけでなく、一人でも多くの人にこの病気のことを知ってもらい、「あなた」の問題ではなく「自分」の問題でもあることを知ってもらいたいと思っている。

母が骨折して1年が経とうとしている。母に続けて父も骨折し、二人とも要支援となった。
ケアマネージャさんはじめ、介護スタッフの方々にはお世話になっている。その点に関しては感謝している。しかし、ほぼ皆さん、強い香りのある衣類の洗剤をお使いのようで、彼らの訪問によって家の中に化学物質が持ち込まれる。当初から、私が化学物質過敏症であることを何度か伝えているにもかかわらず、「大変ですね。」と気の毒そうに言ってくれるに留まっている。

夏の間は、窓を開け放っていたので、彼らの滞在中は自分の部屋のドアを閉め切って、家中の窓は全開にして対処していた。しかし、それでも、家に居られず私が外出せざるを得ないこともあった。もちろん、彼らの帰った後は残り香が半端ない。しかし、親の世話をしていただいている手前、強く改善を要求することは躊躇われていた。

寒くなり、私が我慢をしてやり過ごすということでは対処できない事態が生じていることが判明した。

父が一人で入浴できなっくなったため、入浴介助をお願いしている。介護士の方ではなく、男性の看護師さんが入用介助をして下さりに来て下さる。数人でローテーションで来て下さるのだが、全員、かなり香る方。うちの風呂場には冷暖房の設備がある。父の入浴介助は勿論、日中だが、このところ気温が下がり寒くなっているので、前回の父の入用介助時に暖房をつけた。ガスを使っているが、エアコンのような暖房機で風が出る。

その日の晩、私が浴室を使ったところ、浴室に入っただけでいつも以上に残り香を強く感じた。あまり深く考えず、暖房を付けて浴室を使っていると、どうもおかしい。いつもより辛い。何が辛いのか、最初、気づかなかったが、どうらや暖房機から吹き出す風のせいで具合が悪くなってきている感じなのだ。めがチカチカしてくる、息苦しくなってくる。どうやら暖房機が汚染された様子。

このまま対処せずに香りの方に父の入浴介助を継続してもらったら、おそらく、私は浴室を使用できなくなるだろう。

介護スタッフの定期ミーティングなどは、父の寝ている部屋で行う。他の訪問者の対応もその部屋だ。私はスタッフの方が来て下さるときは、廊下からドアを開けてちょっと顔を出し挨拶するくらいで、その部屋にはめったに入らない。入るのは掃除をする時くらいだが、掃除をする時は窓を開け話して掃除をする。今日、来客があり、久しぶりに締め切ったその部屋に入った。部屋中に来訪者たちの残り香がしみついていた。来客の方は、私の事情を知っている方だったので、その部屋で10分くらい話をしていて、もう無理だと思い、私は廊下に出てドアを開けたまま話をさせてもらった。

古い木造家屋で、壁は土壁。壁を水拭きすることも出来ない。しみついた化学物質(香料)を消すことは無理だろう。介護スタッフが家に来る時は、逃げることばかり考えていて、家がここまで汚染されていることに気付かなかった。浅はかだった。

私が家を出てしまうのが一番良いのだろうが、化学物質過敏症でも住める場所を探すのさえ難しいのに、他の体調不良も抱えている上、仕事の関係もあり、住めるアパートを探すのは困難だ。
そして、私は化学物質過敏症であるという診断はおりていない。というか、発症後、病院を受診していないし、受診して診断をしてくれる病院へ行くことも出来ない。つまり、「自称 化学物質過敏症」ということになる。

介護の始まりの時に話した化学物質過敏症についての説明から再度、やり直さなくてはならない。今までは話しただけだったが、資料を用意しての説明の必要があるだろう。暴露して具合が悪くなっている状態でそれをやるのは、なかなかにしんどい。しかし、やらなければ、状況はますます悪化するだけだ。まあ、説明をしたところで、改善は望めないかもしれないが、まずはやってみるしかないだろう。

一番良いのは、香りの洗剤が販売されなくなることだ。香りの洗剤で体調不良を訴えている人は急激に増えているというのに、どうにかならないものだろうか。

夕方、暗くなってしまったので医院に母を迎えに行った時、母の足元を照らすためと、車を運転中のドライバーに「ここに歩いている人がいますよ」ということを明かりで知らす目印のために懐中電灯を持って行った。

懐中電灯は乾電池式のもので、光源は豆電球。昔の懐中電灯はこういうものでした、という典型的な懐中電灯。一応、買った当時は、防災用も兼ねて買ったものだと思うが、いつもは、家の中で使っていた。箪笥の後ろに何か落ちてしまった時に照らしたり、夜にブレーカーが落ちてしまった時など、ごく狭い範囲に光を当てるような用途でしか使っていなかった。

そして、その懐中電灯を夜に外で使うには、照らす範囲が狭すぎるし暗すぎることが分かった。最初、電池の残量が足りなくて暗いのだろうと思い、家に帰ってから電池の残量を確認してみた。しかし十分に残量はあった。

夜道で使えるものを買っておかないとと思い通販サイトでいろいろと見てみると、ほぼLEDの懐中電灯。確かに、LEDの懐中電灯は明るい。手にすっぽり入るくらいの大きさのものでもかなり明るい。そして、照らす範囲を狭くしたり広くしたりできる機能の付いている懐中電灯もあることを知った。

そして、不安になった。そういえば、防災用と思っていた家にある一番大きな懐中電灯も暗いように感じていたことを思い出した。これは、家にある懐中電灯を点検して、LEDのものに買い替える必要があるな。

防災用として置いてあるので、定期的に電池切れと電球が切れて点かなくなっていないかは点検していた。しかし、明るさまでは注意が及ばなかった。

通販サイトで見ていると、照らせる範囲の切り替えの他、明るさ調整、点滅機能、防水機能、衝撃に耐えるなどなど、様々な機能が付いているものがたくさん出てくる。防災用にあれも出来るこれも出来る、便利だ、と、思いながら眺めていた。

しかし、機能が多くなればなるほど操作が複雑になってくる。うちの親に使わせるのは無理だと気づいた。うちの親にとってはスイッチは一つで、「点ける」か「消す」のどちらかという理解しか出来ない。大きさ的にも小さすぎては操作しずらい。スイッチは大きくて押しやすい必要がある。そして、大きすぎても重くなってしまう。自分が使う前提で選ぶ時と、親が使うことを想定して選ぶのとでは、いろいろと違ってくる。

電話機にしても、ドアフォンにしても、高齢者向けのものを選んだにも関わらず、何度説明しても最低限の機能を使えるようになるのにさえ時間がかかった。高齢者といっても、身体機能、認知機能のレベルは様々だ。家電メーカーが高齢者向けとして設計、製造してくれても、使いこなせる高齢者とそうでない高齢者(うちの親)がいる。メーカーが「高齢の方でも使える」と宣伝しているものを選べば済むという話ではない。

今、家にある古い懐中電灯は災害時に使うには暗すぎるだろう。とりあえず、寝る時に親が枕元に置いておく用は親でも問題なく操作できるようにon とoffのみのスイッチでそこそこ明るさのあるもの、夜間外出時用は私が操作する前提で選ぶとするか。

結構、選ぶのは面倒なので、やることが増えてしまったのは嫌だなーと、思うものの、今、家にある懐中電灯は防災用には暗すぎることに気付けたのはよかったのだろう。


私は車に乗れない。移動は徒歩か自転車が基本。
母が骨折をして車の運転を止めた(止めさせた)ため、両親も移動手段としての車を失った。しかし、親の通院は、以前より増えている。私が車に乗れないので、送り迎えが出来ない。

親の交通手段として車を使う場合は、福祉タクシーを使っている。福祉タクシーといっても、普通のタクシーより安いだけで、お金はかかる。母は使いたがらない。遠くの病院への通院や雨の日の外出には福祉タクシーを使わざるを得ないが、問題は微妙な距離にある医院への通院だ。筋力低下を防ぐため、歩行の訓練のためと、シルバーカーを押して通院するのはいいが、真夏の昼間でも出かけてしまう。雨が降りそうな時でも出かけてしまう。家族としてはとても困る。

昨日も通院の日。夕方の予約だった。治療が終わる頃には暗くなっている。夜間にシルバーカーを押して車の通る道を歩くのは危ないからと、福祉タクシーを使うように言って、私は外出した。外出から戻って見ると、玄関に置いてあるはずのシルバーカーがない。福祉タクシーを使わずに医院へ行ったのだ。シルバーカーがあっても、福祉タクシーを頼めば、シルバーカーは折りたたんで運んでくれる。しかし、母はそれをやらない。自分が傍から見てどれだけ危なっかしいか理解できていない。

仕方がないので、懐中電灯を持って母を迎えに行った。医院はかなり混んでいたようで、私が医院に着いた時には、母はまだ診療室にいた。待合室で待つしかない。消毒薬などの病院独特の化学物質の気配はさほど強烈には感じなかったが、遅い時間にもかかわらず、待合室には患者さんたちがそこそこいる。じわじわと体が何かに反応して緊張をし始めるのを感じる。ちょっと息苦しくもなって来て目にも不快感を感じ始める。受付の人に事情を話しで外で待とうかと迷っていると、よたよたしながら診察室から母が出てきた。やはり歩行の様子は第三者から見たらどう見ても「大丈夫ですか?」と手を貸したくなるレベル。とりあえず、私の限界が来る前に母の診察が終わってよかった。会計を済ませて外へ。私が来た時より暗くなっている。これからの時期、暗くなり始めると一気に暗くなる。まだ6時前だったが、暗さはほぼ夜道。

多分、私が迎えに来なかったとしても、母は一人で暗い中、シルバーカーを押して帰って来ただろう。母が通院、他、外出の時に使う道は、犬の散歩に使う人が多い。昔からある道で道幅は広くない。自転車でも車が来たら道の脇によけて道を譲らないと危険なくらい。迎えに行くから医院からうちに電話しろと言ってもしない。携帯電話は持っているのに持ち歩かない。もっと言うなら、買った後、一度も使っていない。何のために買ったのか?みんなが持ってるから自分も欲しいという事だったのだろうか。理解に苦しむことが多い。

少し前、夕方、自転車で外出することがあった。もちろんライトは点けて走っていたが、店舗の明かりなどがあるメインの通り以外の道では、所々に街灯があっても道の端を歩いている人に気付くのが難しいと実感した。まだ運転免許を持っていた頃、更新の時の講習で夜間の運転の注意点のビデオを見せられた。暗い色の服を着た人は近づくまで見えずらいと教わったが、自転車の運転時でさえそうなのだから、車を運転している人には本当に気づきずらいだろうと思う。それに、ドライバーも、まさかそんな遅い時間(暗くなってから)高齢者が一人でシルバーカーを押して外出しているとは思わないだろう。

ドライバーにとっても母にとっても、どちらにとっても危険。母も少し前までは車を運転していた人なのだから分かりそうだが、分かってくれない。

どうしたものか。

先日、いつも利用している郵便局の前を通ったところ、何やら建物の周りに足場を組んでいる。嫌な予感。足場の様子から、外壁工事の準備なのだろうと思ったが、特に外壁が劣化しているようにも思えなかったので、何が始まるのだろうと不思議に思っていた。

そして、今日、先日の足場のことなど忘れて、その郵便局へ行ってしまった。案の定、外壁工事をやっていて辺りはペンキ臭。すぐに済む用事だったし、建物の中に入ってしまえば少しましかと
思い、意を決してい中へ。

すると、中も様子がいつもと違う。掲示物が全てはがされているし、テーブルの上に並べられていたパンフレット類もない。手続きに必要な用紙とその記入に必要な最小限のものしか置いてない。

もしかして、郵便局がなくなってしまって別の店などが入ることになるために外壁の塗り替えをしているの?移動手段が徒歩か自転車のみなので、ここに郵便局がなくなるとかなり困る。どうしよう…。軽く頭の中がパニックになる。

ちょうど局長さんがお客さんのフロアの方に出てきたので、あれこれ尋ねると、20年ごとに外壁工事と内装工事をすることになっていて、今年、その郵便局がそれに当たるとのこと。外壁工事だけでも中で働いている人たちは、換気扇を回しっぱなしにしたりしてペンキ臭の対処に苦慮しているというのに、「この後、天井と壁のクロスの張替えがあるんですよ。」と困った顔をしていた。会社の方からの指示なので従うしかないようだ。

内装工事は土日で終わらせ、月曜日からは普通に営業するという。今どきの建物なので、採光のための窓で開け放てる窓はほぼない。つまり、換気が難しい。

私は外壁と建物内の化学物質の揮発が収まるまでその郵便局を利用しないという選択ができるが、中で働いている人たちは、毎日、長時間その中に居なくてはならない。内装工事に関しては、以前に比べれば建築材が害の少ないものになっていると思うが、郵便局の人たちの健康が心配だ。

簡易郵便局で、局員さんは少ない。局長さんも含め、みんな顔見知り。健康を害して欲しくない。

局長さんと話す中で、化学物質過敏症のことに少し触れた。気を付けてくださいと、伝えたが、もし、何らかの症状が出た場合、どう対処すればよいかについては、喚起をしてください以上、何を伝えられるだろうか。どこの医者に診てもらえるかを伝えることもできない。発症してしまったら、どう対処するか、どういう代替品があるかの提案は出来るが、この場合、私は彼らにどのようなアドバイスができるのか分からない。でも、自分と同じ地獄は知り合いには経験して欲しくない。

親が電話の声が聞き取りずらいと言う。電話機は高齢者向けのタイプで、音量を大きくしてある。私が使うには腕を伸ばして受話器を耳から遠ざけてもガンガン響いてくるくらいだ。

日常での会話は、近づいて大きな声でゆっくり話さないと理解できない感じだったが、聞こえずらくて聞き取れていないのか、内容を認識する力が弱っているせいなのか、それともその両方なのか?という感じだった。無理に補聴器をすすめても素直に使うとは言いださないと思っていたので、一応、資料は集めておいたが、本人が言い出すまで強くはすすめなかった。

今日、自分から補聴器を買うにはどうすればいいか聞いてきた。とりあえず、持ちの資料で説明した。その資料を入手した後、別の所でも補聴器を購入できることが分かったので、そのことも伝えると、そちらの資料も欲しいとのこと。その店まで話を聞きに行ってきた。

私は体調を崩してから車に乗れなくなってしまった。親も要支援となり、車は廃車にした。親の移動手段はシルバータクシーなので、その都度、料金がかかる。資料集めや事前に説明を聞きに行くのは私の役目。発症後、化学物質が怖いので、知らない場所(店など)には行きたくない。人が多い場所にも行きたくない。自分の用事であっても、市役所や銀行など、不特定多数の人がいて待ち時間がある場所には行きたくない。でも、親の用事を変ってやってくれる人はいない。行きたくなくても行くしかない。

今日、行った店は発症後、何度か行ったことがある。今までの経験上、混んで人が多くなければ何とかなる。店員さんも店にいる人で洗剤の香料の強い人に当たったことはなかったので、問題は混んでいるかどうかだった。

夕方だったせいか、客は私一人。担当してくれた店員の方も香料のない人。よし、これで安心して話が聞ける。必要なことを聞いて、ついでに自分のことで聞きたかったことも聞けて、よしよし、と、帰ってきた。

家に帰り、着替えをしていると、ないはずのニオイが襲ってきた。洗剤の香料のニオイ。家を出た時から帰ってくるまでを頭の中で再生する。しかし、どこでも洗剤の香料を嗅いだ覚えはない。着替えをしていて香ってきたという事は、服が原因か?脱いだ服を嗅ぎまくる。こういうことをしていると、もう一人の自分がそういう自分を冷静に見ていて「全く、なにやってるんだか・・・」と、いつも苦笑してしまう。

さて、ニオイの原因はパンツだった。しかもお尻の部分。原因は椅子だ!

歯科医院に行ってくると服の背中側が香料のニオイに侵されている。診察室の椅子に座っている時点で臭っているので気付きやすいが、椅子の場合、座面だけなのでうっかりしていた。しかも、店にいる間は椅子の座面の香料のニオイに気付かなかった。メーカーの言う香りのカプセルとやらに香りが閉じ込められていたせいなのだろう。座面から臭っていたら気付けたのに。

気付かぬうちに、他人の服に付いていた香りのカプセルが他の場所に移動し、そしてそれが別の人の衣類などに付着し、また別の場所に移動する。どれだけ香りのカプセルは拡散されているのか。CSを発症している人は勿論のこと、その香りが嫌いな人にとっても迷惑極まりない。

洗濯をする時に出る排水にも香りのカプセルは含まれているだろう。それらによる汚染も進んでいるだろう。問題になるまで放置しておいていいわけはないと思う。

香料の害による健康被害の報告も年々増加しているし、香害という言葉の知名度も上がってきているというのに。

今年もまた、CSs支援センターの会員の更新の時期が来た。

発症してすぐに会員になったので、更新の時期と、発症した時期(月)が同じであるため、この時期は、感慨深い。

窓から木々の色が変わり始めた山を見ていると、発症当初のことがまるで昨日のことのように思えてくる。あれから10年以上が経過している。世界中、どこへ行っても吸える空気がないように思われた時期を脱して後も、生活には不便が付いて回っている。そして、いつしか普通でない生活が普通になってしまった。目の前にいる普通の人たちに対して、彼らとの間に見えない溝があるように感じることもある。普通の人たちと遠い所に自分はいるように感じることもある。

発症当初は、物質からの疎外感を強烈に感じた。経験のない人には物質からの疎外感など想像もできないだろう。身の回りの全てのものが私に対して敵意をむき出しにして、おまえはここにいるな!ここはお前のいる場所ではない!出て行け!と追いつめる。こんな経験は、出来れば他の人にはして欲しくないと、知人や友人に読んでもらうためにこの病気のブログを書き始めた。

10数年の間に、この病気は病名認定された。しかし、未だに診療してもらえる医師は不足している。そして、人々を取り巻く化学物質の状況もよくはなっていない。むしろ、香りの洗剤のせいで、この病気を発症する人が増えている。

登下校の時間、家の近くにある中学校の前を通ると、通り過ぎる子供たちからは強烈な香料のニオイが発せられている。生徒の中に、化学物質過敏症の子がいたら…と思うと、やりきれない。元気な子供たちも、今、「いい匂い」と思っているそのニオイが、彼らに敵意をむき出して襲ってくる日が来ないことを願う。洗剤は子供は選べない。親が洗剤のニオイを単なる嗜好の問題としてではなく、健康に関する問題として捉えて欲しい。どうすれば、そういう重要な情報が必要な人に届くのだろう。

日が暮れるのが早くなった。この病気を発症したものとして、自分に出来ることは何なのだろう。秋の夜長、いろいろと考えてしまう。

週に数回、親のどちらかが病院へ通っている。私は病院への送迎や付き添いは出来ないので、送迎は福祉タクシーを使ってもらっている。母は一人で診察を受けられるので一人で行っているが、父の付き添いは母が行っている。送迎も付き添いも本当は私がやるべきなのだろうかと負い目を感じているが、自分自身も体に問題を抱えているし、生活の全てを親のために使う事は難しい。出来ないものは出来ないと、割り切るしかない。

うちが利用している福祉タクシーのドライバーさんたちは、皆さん、とても丁寧で親切だ。しかし、香る人が多い。私自身も母の入院時に、父と一緒に何度か乗せてもらったが、乗車中、苦しいだけでなく香りがこびり付いてしまい降車後も香りが付いたまま取れない。

長時間、待合室で待たなくてはならない病院もある。待合室には、様々なニオイが溢れている。病院に行った親たちは、様々な「いいニオイ」が入り交じったニオイを体中から漂わせて帰ってくる。玄関から離れた部屋にいて、親がドアを開けた音が聞こえなくても、ニオイで帰宅したのが分かる。「ただいま~」と言いに親は私の所まで来るが「匂うので近寄らないで」と言うしかない。本来なら「お疲れさま」とか「(診察は)どうだった?」と言うべきなのだろうが、「近寄るな」は、正直、申し訳ないと思うが、近寄られると、私にまでニオイが移ってしまうのだ。

香りの洗剤を使っている人たちは、それぞれに理由があって使っているのだろう。単にいいニオイだからというだけでない場合もあるだろう。そういう製品が存在する以上、使っている誰かを責めて始まる問題ではない。

ネット上には香りの洗剤の害を訴える情報がかなり出回るようになった。しかし、香りの洗剤を勧める情報も同様に溢れている。香りの害に困っている人は、害を訴える情報を読むだろうし、香りを楽しんでいる人は香りを勧める情報を読むだろう。香りの洗剤を愛用している人は、自分の身体に異常が生じるまでは害があることを訴える情報にアクセスすることがないだろう。一番、情報が届いて欲しい人には情報が届かない。

このまま香りの洗剤が野放しにされていれば、化学物質過敏症の人が増え続けるだけだろうと思うと気が重い。

こちらは台風の直接の被害はなかったが、被害状況をニュースで目にすると心が痛む。台風に限らず、自然災害が頻発するようになっている昨今、他人事とは思えない。

自分一人ならまだしも、高齢の親二人を抱えている。二人とも足元がおぼつかず、介護度の認定の時に、そのことがポイントとなっていたくらいだ。しかも、私は車が運転できない。もし、避難となった時、どうやって親を避難所まで連れて行けばよいのかと不安になる。

特に今回、必要だったわけではないが、備蓄食料として買ってあった乾パンがかなり古くなっていたため、缶を開けた。当たり前だが、乾パンは固い。入れ歯の高齢者が食べるのは難しい(と言うより無理)。砕いて他の食材と混ぜてみたりもしたが、やはり難しい。「保存食=乾パン」という考えだった母にはちょっとショックだったようだ。まあ、今は、固くない保存食もあるので大きな問題というわけではないが。

うちの両親は普通ではない状況になると、総状態になるかフリーズしてしまうかのどちらかだ。これは高齢になったからというより、以前からの問題なのだ。しかし、高齢になって、いろいろと判断力も鈍ってきているようで、この二つが重なると、いろいろと困ることも生じる。台風の進路にあたる地域の警報などを自分の地域のことと思ってしまうようで、バタバタと不要な備え(?)を始めて、日常生活に支障が生じる。しかし、必要な備えはやらない。物事の優先順位というものがめちゃくちゃなのだ。

そうでなくても、巨大低気圧の接近で体調が大きく崩れてしまう身としては、彼らをなだめつついろいろ調整するのは疲れる。

被災地で高齢の家族や障害を持った家族を抱えている人たちは、どれほど大変だろうと案じる。自分自身も、化学物質過敏症があるため、避難所での集団での生活は無理だろう。
災害が起きるたびに、不安が募る。

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