January 17, 2006
アレキサンドライト
宝石を見るときに光は必要不可欠なものです。光を考えるときに2つの要因を考えないといけない。(光源1)ルビーをタイやスリランカの太陽の下でみると恐ろしいほどの赤に輝く。蛍光という特徴もあるけど、この部分は今回は除外です(笑)そしてサファイヤは曇りの日の日陰で見ると、幻想的な青になる。蛍光灯や白熱灯では宝石の見え方は全く違う。光の要因その一・・・それは色の温度。温度の高い光は青の要素が多く含まれ、青い石を輝かせる。特に高いのは曇りの日の日陰でよくスカイライトと記載されている。そして低い温度は、赤の要素が多い。ろうそくの光がその典型である。この要因はケルビンという単位でよく見かける。高級デジカメでは色温度をこのケルビンで指定できるものもある。(光源2)2つ目の要因は、普段あまり考えないけれど、白い光っていうのは一見同じでも作られ方が違うってこと。全ての光が太陽のように全てがバランスよく入っているわけではない。ある色を多く、あるいは少なくという感じで結果として白に見えるというのが一般的な人工の光である。同じ白で、同じ温度でも時としてグリーンの要素が多かったりブルーの要素が多かったりする為、宝石の見え方を変えてしまうのである。(光源3)
さて、なぜこのような話題を初めに書いたのかというと、これはアレキサンドライトの見方への重要要素だからである。アレキサンドライトはエメラルドのようなグリーンからルビーのようなレッドというように昼と夜で表情を変える宝石と言われる。しかしながら完全にそういった色変わりをする石は滅多に見ない。正確にはそれほどの色味のものは存在しない。アレキサンドライトの産地は、ロシア・ブラジル・タンザニア・スリランカ・マダカスカル・インドが主たる産地であろう。ロシアは伝説的な産地で19世紀の中旬以降はほとんどその産出がないとされているが、稀に最高品質ではないものの海外のショーには出品される事があるし、オークションで還流品として出回る事がある。その数は極めて少なく最上級のロシア産アレキサンドライは、最上級のカシミールサファイアよりも遥かに見る機会が少ない。
そんな中1987年に宝石業にとって重大な事件が発生した。ブラジルのエマチータ鉱区の発見である。
私自身この事実についていろいろ調べてみたが、過去の書物から探すのは極めて困難であった。ほかのWEBからの情報ではわずか1ヶ月の間に採掘された分がそのほとんどを占めると書いてあったが、実際には現在でも採掘されているはずである。他のWEBでエメラルドマイン社が3人の経営で採掘を行っていたが、現在はほとんど採れていないと書いてあった。そして、現状は1人のみで経営しているらしい。この地区の権利者を一人知っているが、彼がこの話での経営者の1人かは確認していない。
そして彼は昨年その鉱区の権利を手放している。しかしながら、ここのアレキサンドライトで大粒のものはかなり高額にはなるが、現在でも入手する事は可能である。ロシア産に匹敵する色味と透明度を併せ持つエマチータ産のアレキサンドライトはまだまだカシミールサファイアのようには伝説ではなく、実在しているのである。えらそうに書いたものの実際にロシア産の最上級のアレキサンドライトは写真と博物館で見たのみであり、実物としては10カラットのものを見させていただいたが、最高級かどうかの判断はできなかった。様々な光源で確認しないと実態が見えてこないアレキサンドライトにおいて、私のロシア産アレキサンドライトの知識は皆無に等しい。したがって私の知識ではエマチータ産の最上級のものを最上級と考えるしかない。
アレキサンドライトの価値判断の中で最も重要なのは、やはりアレキサンドライトがアレキサンドライトであるための条件でもある色変わりであろう。そしてその色目である。どちらが重要と言われてもこればかりはそのバランスになると思う。以外に思われるかもしれないが、アレキサンドライトの最上級のものはそれほど地味な宝石とは個人的には思っていない。
かつて諏訪恭一氏の書かれた宝石という本を見たとき、そこに掲載されているアレキサンドライトの写真に釘付けとなった。なんという美しさであろうか?
アレキサンドライトに限らず、宝石は自ら輝くことは決してない。まるで人間と同じように周りの環境によって輝きも変わる。
アレキサンドライトの色について、私の解釈は多少一般論と異なるかもしれない。自分で持っている人は気づいているであろうがグリーンからレッドに変わると言われるアレキサンドライトは2色に単純に変わるという宝石ではないと感じる。人工的な蛍光灯の下では、わざとらしいほどの人工的な色に変化して、自然光の下では、優しげな色に変化するように感じるのである。自然光の下では、優しげなブルーグリーンでエメラルドのように深く澄んだ緑ではないけれど、魅力的な落ち着いた色。蛍光灯の下では、グラブとかで飛び交うようなネオンに近い、ブルー。時として他の光が入ると、その地色に怪しげなパープルが顔を出す。蛍光灯の下でアレキサンドライトの指輪をはめて、タバコを吸うためにライターの火をつけたりすると、その火に反応してもわもわ〜とレッドパープルのセクシーな色が湧き上がってくる。赤の要素が多い光の下で見た怪しげなレッドパープルのアレキサンドライトと蛍光灯の下で見たときに湧き出る、ネオンブルー。完全に色が1色の状態ではなく、ネオンのようなグリーンブルーの中に、怪しげなレッドパープルをたたえた状態が私の一番好きなアレキの素顔である。
アレキサンドライトはそれほど魅力的に感じない人も一日中アレキサンドライトを身につけて見るとその魅力に気づくかもしれない。わずか3ヶ月しか多くは採れなかったと言われるエマチータ産のアレキサンドライト。
アレキサンドライトは所有した人しか、その全ての魅力を理解できないであろう。
(写真は加工して色を変化させています。)
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この記事へのコメント
1. Posted by もずく January 17, 2006 20:14
>アレキサンドライトは所有した人しか、その全ての魅力を理解できないであろう。
そうですよね。とりあえず一つは高品質なものが欲しいという理由で以前購入したのですが、購入して初めて、宝石としての評価の高さに納得しました。
私も風さんと同じで、インディコカラー中にレッドパープルがゆらめく状態が好きですね。
そうですよね。とりあえず一つは高品質なものが欲しいという理由で以前購入したのですが、購入して初めて、宝石としての評価の高さに納得しました。
私も風さんと同じで、インディコカラー中にレッドパープルがゆらめく状態が好きですね。
2. Posted by serenite_bois January 17, 2006 23:54
アレキは光源によって色々な表情を見せるので楽しいですよね。
私は、ガーネットのような赤に変わったところが好きです。
これがまた、見れる場所が限られてるんですよね〜。
アレキのリングをしているときは光に敏感になります。
私は、ガーネットのような赤に変わったところが好きです。
これがまた、見れる場所が限られてるんですよね〜。
アレキのリングをしているときは光に敏感になります。
3. Posted by 風 January 18, 2006 16:28
こんにちは、もずくさん
そうなんですよね。初めは物珍しさから購入するんですが、高品質のものは単純に綺麗でもあると思います。
>インディコカラー中にレッドパープルがゆらめく状態
楽しいし綺麗だし、結構こういった完全ないろじゃない状態を楽しめますね。他にはそういった宝石は少ないですしね。
そうなんですよね。初めは物珍しさから購入するんですが、高品質のものは単純に綺麗でもあると思います。
>インディコカラー中にレッドパープルがゆらめく状態
楽しいし綺麗だし、結構こういった完全ないろじゃない状態を楽しめますね。他にはそういった宝石は少ないですしね。
4. Posted by 風 January 18, 2006 16:30
こんにちは、セレニテ・ボアさん
>私は、ガーネットのような赤に変わったところが好きです。
家での食事も外食もローソクの光しか入らないようにすれば大丈夫です(笑)バーなんかでろうそくがおいてあったりすると凄くいい感じの色味になるでしょうね。
アレキを見ていると、色温度の理解は早まりますね(笑)しかし、諏訪貿易さんの本って・・・どうやって撮影してるんでしょうね〜。
>私は、ガーネットのような赤に変わったところが好きです。
家での食事も外食もローソクの光しか入らないようにすれば大丈夫です(笑)バーなんかでろうそくがおいてあったりすると凄くいい感じの色味になるでしょうね。
アレキを見ていると、色温度の理解は早まりますね(笑)しかし、諏訪貿易さんの本って・・・どうやって撮影してるんでしょうね〜。
5. Posted by もったん January 18, 2006 16:42
私は太陽光の下での緑色がとても好きです。
ハロゲンヒーターの光では鮮やかでどぎつい(笑)パープルレッドになります。
白熱球色の蛍光灯で曖昧な色になっていたりすると、
なんだか石が悩んでいるみたいで愛おしくなりますね。
ハロゲンヒーターの光では鮮やかでどぎつい(笑)パープルレッドになります。
白熱球色の蛍光灯で曖昧な色になっていたりすると、
なんだか石が悩んでいるみたいで愛おしくなりますね。
6. Posted by chie January 18, 2006 23:09
筆舌し難いアレキを所有(我褒めですね)>スカイライトでも蛍光灯の下でも、見事に赤紫/青緑の煌きがみられます。是非、風様に見て頂きたい・。濃い暗闇の中で青緑と赤紫にフラッシュのような煌きが同時に見られるさまはただただ見惚れるばかりで・・見れば見るほど惹かれてしまいます。
遠い王国の貴婦人の気高いイメージで絶対に成就しない恋のような・捕らえられない感覚でしょうか。「一番好きな石」と言って、筆頭には挙がる石ではないけれど、一番魅かれる石であって、私は、この石(アレキサンドライト)で完全に「小宇宙の世界」に嵌ってしまいました。
遠い王国の貴婦人の気高いイメージで絶対に成就しない恋のような・捕らえられない感覚でしょうか。「一番好きな石」と言って、筆頭には挙がる石ではないけれど、一番魅かれる石であって、私は、この石(アレキサンドライト)で完全に「小宇宙の世界」に嵌ってしまいました。
7. Posted by 風 January 19, 2006 09:33
こんにちは、もったんさん
こうやって皆さんの嗜好を聞いていると面白いですね。優しい色味から官能的な色味、はたまた曖昧な感じなどいろいろね変化がいろいろな魅力を作っていますね。
良し悪しの差ではなく違った魅力を併せ持ってるみたいな感じで、「違い」と認識するのが良いのかもしれませんね。
こうやって皆さんの嗜好を聞いていると面白いですね。優しい色味から官能的な色味、はたまた曖昧な感じなどいろいろね変化がいろいろな魅力を作っていますね。
良し悪しの差ではなく違った魅力を併せ持ってるみたいな感じで、「違い」と認識するのが良いのかもしれませんね。
8. Posted by 風 January 19, 2006 09:37
こんにちは、chieさん
>筆舌し難いアレキ
なんともそそられる表現ですね。
>風様に見て頂きたい
おお〜〜〜見たいみたい!綺麗なものを見るのは大好きです。
>濃い暗闇の中で青緑と赤紫にフラッシュのような煌きが同時に見られるさまはただただ見惚れるばかりで・・・
これはわかるような気がしますね。赤系の色に変化しているときは色そのものも単純に美しいかもしれませんが、色の深いアレキサンドライトはブルー系では反射の色はどの宝石にもない美しさだと思います。
いや〜〜見てみたい(本気で)
>筆舌し難いアレキ
なんともそそられる表現ですね。
>風様に見て頂きたい
おお〜〜〜見たいみたい!綺麗なものを見るのは大好きです。
>濃い暗闇の中で青緑と赤紫にフラッシュのような煌きが同時に見られるさまはただただ見惚れるばかりで・・・
これはわかるような気がしますね。赤系の色に変化しているときは色そのものも単純に美しいかもしれませんが、色の深いアレキサンドライトはブルー系では反射の色はどの宝石にもない美しさだと思います。
いや〜〜見てみたい(本気で)

