June 26, 2005

雨がしとしと降る日には、好きな詩集なんぞを綾織るといい

  雨の降る日にひとりしんみりと、中原中也の詩と、

  

     骨


ホラホラ、これが僕の骨だ、
生きてゐた時の苦労にみちた
あのけがらはしい肉を破つて、
しらじらと雨に洗はれ、
ヌックと出た、骨の尖(さき)。

それは光沢もない、
ただいたづらにしらじらと、
雨を吸収する、
風に吹かれる、
幾分空を反映する。

生きてゐた時に、
これが食堂の雑踏の中に、
坐つてゐたこともある、
みつばのおしたしを食つたこともある、
と思へばなんとも可笑(をか)しい。

ホラホラ、これが僕の骨――
見てゐるのは僕? 可笑しなことだ。
霊魂はあとに残つて、
また骨の処にやつて来て、
見てゐるのかしら?

故郷(ふるさと)の小川のへりに、
半ばは枯れた草に立つて、
見てゐるのは、――僕?
恰度(ちやうど)立札ほどの高さに、
骨はしらじらととんがつてゐる。

  
   
 
   こんな音楽。
 
  Tyuya


kazekaoru at 22:53│Comments(5)TrackBack(2)clip!楽曲 

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1. 中原中也の骨  [ Doors open at 10 p.m. ]   June 27, 2005 12:42
ホラホラ、これが僕の骨だ、生きてゐた時の苦労にみちたあのけがらはしい肉を破つて、しらじらと雨に洗はれヌックと出た、骨の尖(さき)。 それは光沢もない、ただいたづらにしらじらと、雨を吸収する、風に吹かれる、幾分空を反映する。生きてゐた時に、これが食堂の雑踏の
2. 中原中也詩集  [ ほっこりの法則 ]   June 29, 2005 16:08
中原中也詩集 中原 中也, 吉田 ヒロオ なんども読み返しても、心に響いてくる言葉たち。 読むときどきで、まったく違う印象を与えてくれる。 ゆっくりと、おいしいお茶とともに 読んでほしい詩集です。 かなり前に、中原中也と金子みすゞのポスターが 2つ並べて

この記事へのコメント

1. Posted by 回廊   June 27, 2005 13:14
こんにちは、お邪魔します。
中也の詩は、曲にのせやすい、ですよね。
いまはすっかりオバサンですけど、昔はパンクでロックな(←死語ですか?)お姉さんでした。大好きな中也の詩を、やはり私も曲をつけてライブで演奏していました、懐かしいです。なんども声に出して読んでいるうちに、ピタッとハマるメロディーがしぜんに出てくるように思います。いろいろやりましたけど、いまでもときどき口ずさんでいるのは『失せし希望』で、「…今もなほ。」という余韻の残し方が、m7系を呼び寄せ、次の「暗き空へと…」でサビに転じる、ぐーっと盛り上げていきます。これがウソみたいに盛り上がります。たぶん誰が曲をつけてもイイカンジになるのじゃないかしら? 中也の詩は、ほんとにすごいと思います。
風さんが取り上げてくださった『骨』は、私のいちばん好きな詩です。無機質な感じと、雨がそぼ降る感じが、とても、好きです。

2. Posted by 風友人   June 29, 2005 06:06
回廊さん、度々のコメント、誠に有難うございます。中也の詩は、常々、さみしいよな、と想っております。そうして悲しいよな、とも。抽象的な美文で褒め称えるべき詩ではなく、何か、人としてのほっと溜息混じりに想う感慨に最もふさわしいような・・・。そうしてどこか懐かしい匂いが、する、と申しましょうか?、暖かい、何かがそこには横たわっているような気も、します。
 
3. Posted by 風友人   June 29, 2005 06:06
  回廊さん、かつて中也の詩に曲をつけ、演奏されていたのですね。ある種、刺激的な青春、ではないですか?(笑)。羨ましい。私には曲をつけるなどという才能は全くありませんので、中也の詩は、もっぱらこの心の中で、繰り返し読む、ぐらいです。
 煩瑣なことがあると、どこか中也の詩を想い出す、私がおります。「おまえは何をしてきたのだと 吹きくる風が私にいう」それはつまり、私に対するささやかな私的エールでもあります。踏みとどまらず、息を止めず、歩んでいけ、という私に対するエール、声援です。風友人
4. Posted by Ry   January 03, 2006 08:04
2002年に、又は2005年に中原中也の「山羊の歌」と「在りし日の歌」を英訳して、出版しました。私のホームページで「骨」の翻訳を読むことができます。是非、見てください:http://www.nakaharachuya.com

私はつい最近、友川の音楽を見つけました。特に秋田のライブCDを気に入った。今年、友川のライブへ見に行きたいな。。。
5. Posted by 風友仁   January 03, 2006 10:18
ライ・ベヴェル さん、初めまして。コメント、誠に有難うございます。風と申します。私が中也に関する記事をものする。あなた様がそれら記事を目にされた。そうしてあなた様のサイトへの扉を開かれた。これはまさしく運命のいざない。私は真摯に受け止めて、大変嬉しく想いました。そちらのサイトに伺わせていただくと、ただならね労力を感じますね。僭越ながら、ひじょうに素晴らしい、と感じ入りました。私、誠に勝手ながらあなた様のサイトにLINKさせていただきます。今後ともどうぞ宜しくお願い致します。風友仁

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