February 06, 2008

安南―愛の王国/クリストフ バタイユ/辻邦夫

安南―愛の王国/クリストフ バタイユ/辻邦夫

1787年、故国で王宮を追われたヴェトナム摂政グェン・アイン(阮福映)は長子で皇帝のカン(景)をフランスに派遣し、ルイ16世に表向きキリスト教の布教の名の下に軍隊による支援を請うが、弱冠7歳の幼帝カンはヴェルサイユで客死する。
それが契機となってピエール・ピニョー・ド・ブレエーヌ司教がヴェトナム布教のために貴族達から巨額の基金を集め、宣教師の一団と軍隊を組織、彼らは2艘の船でヴェトナムに出向する。
1789年5月彼らは念願のヴェトナムに到着するが、諍いの後に船乗り、軍隊、宣教師の一団に組織が分裂する。船は去り、軍隊はサイゴンを目指すが道のりは険しく病やヴェトナム人の襲撃によってあえなく全滅してしまう。宣教師の一団(修道士5名修道女4名)はパ・ジェン村で布教活動に励みその村はキリスト教の一大拠点となっていくが、故国フランスではフランス革命が勃発しヴェトナム遠征隊は見捨てられる。
1800年グェン・アインは自力で復権するが息子を死なせ援軍すらしなかったフランスへの復讐としてパ・ジェン村の宣教師とキリスト教徒を虐殺する。偶然、その数日前に安南を目指して旅立ったドミニク修道士とカトリーヌ修道女は以後布教には専念することもなく密林の村の片隅で現地人に習って生活をしながら互いの肉体に溺れていく。

20歳の青年が書いた処女作とは思えないような老成した感のある美しい物語。西洋文化に精通した辻邦夫を翻訳者に得て詩情豊かな作品に仕上がっている。
ただ、宣教師を受け入れる立場のヴェトナムの村人や自然描写が臨場感に欠けていて物足りなかった。 1760年生まれのヒロインが1800年以降の性描写で若い女と形容されるのにも違和感。


グェン・アイン(阮福映)
フランス革命

kazeki_gisyo at 23:17│Comments(0)TrackBack(0)小説 

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