小泉・竹中の構造改革と言うのは最近一部の人たちからバッシングを受けていますが、小泉内閣の時代には国民にもっと希望がありましたし経済もずっと好調だったのは事実です。
もちろん、当時は世界経済全体が好況で、輸出産業を中心として日本も大きな恩恵を受けており、経済が好調だったのはすべて小泉・竹中構造改革のおかげと言うつもりはありません。
しかし、当時は既得権益層でがんじがらめにされている日本をひょっとしたら変えられるんではないかと言う期待がありました。

ところでこの構造改革はなぜこれほどバッシングをされるのでしょうか?
それは大きな損失を被る人たちのグループがいろいろといるからです。

さて、構造改革とは簡単に言うと次のようなことです。

1.官から民へ
2.中央から地方へ
3.規制緩和をして自由競争

まず「官から民へ」を見ていきましょう。
要は政府の官僚が国民から税金を召し上げてやってるものの中で、民間の方がうまく出来るものがたくさんあるから、それを民に戻しましょうと言うことです。
経営に失敗すると潰れる民間の会社や、ぼんくらだと首になる民間のサラリーマンの方が、何をしても潰れない官営企業に比べれば、効率がよくなるに決まっています。
だから、警察とか公共事業とか、どうしても政府じゃないとできないもの以外は民間に自由にやらせるべきなのです。
税金も安くなるし受けられるサービスもよくなるしで国民としてはいいことずくめなのですが、官営企業と言うのは官僚の天下りだとか関連企業との癒着とか一部の政治家の票田になっていたりと利権が蠢いているのでなかなかそう言うわけには行かないのです。
最近の日本郵政のたかが社長人事であんなめちゃくちゃな大騒ぎになったのを見れば、300兆円以上の資産を持ち25万人の社員を醸し膨大な数の関連企業を抱える日本郵政が、いったい官僚や政治家にとってはどれだけ美味しかったのか、そしてそれがなくなるのがどれだけ死活問題だったのかと言うのがよく分かるでしょう。

重要文化財の話では、東京駅の郵便局の立て替え問題で一部の政治家があんなに大騒ぎしたのに、はるかに芸術的価値が高いと思われる歌舞伎座の方の問題は完全にスルーです。
石油がたくさん出る中東地域の人権や民主主義と言った問題にはめちゃくちゃ熱心なアメリカ合衆国が、アフリカの貧国で大量虐殺なんか起こってもあまり関心がないのと一緒ですね(笑)。

最近では政策投資銀行と言う明らかに民間でやった方がいい官営金融機関の民営化がドサクサに紛れていっぺんに後退させられました。
しかも、この民営化をやめようとしているのが、あの高らかに「官僚支配の打破」を謳っている民主党なのだからもうめちゃくちゃで呆れるというか笑っちゃいますね。

政策投資銀行完全民営化撤回に呆れる、山崎元

さて、次は「中央から地方へ」です。
現在の日本は霞ヶ関の官僚機構が地方を統制する中央集権国家ですけど、これを地方に戻そうと言うのが地方分権です。
いったん中央に税金が集められて、それが地方の公共事業や学校や福祉に振り分けれると言うのはやっぱり効率が悪いのです。
地方にはそれぞれの事情があって橋を作るよりも教育にお金をかけたいとか中央から見えないことがたくさんあるのに、霞ヶ関のトップダウンでやられても困ると言うわけです。
そして一番大切なことは、税金がいったん霞ヶ関に行って非常に複雑なプロセスを経て地方に戻って来ているので、納税者のチェック機能がうまく働かないと言うことです。
逆に言えば、チェック機能が働かないのは政治家や官僚にとっては非常に好都合な分けです。
まあ、マネーロンダリングと仕組みとしては同じですね。

また、政府の運営として1億2千万人は多すぎです。
今、世界で繁栄しているのはアジアではシンガポールや香港、ヨーロッパではスウェーデンやフィンランドのような小国なのです。
人口は1000万人ぐらいがグローバル経済の中で繁栄する最適サイズのようです。
アメリカがうまく行ったのは、各州がやはり1000万人ぐらいの適度なサイズだったと言うのも大きな理由なのでしょう。
そう言う意味でも日本も道州制みたいにして、各地方の特色を生かしてがんばったほうがいい分けですね。
各地方が政策競争などして切磋琢磨すれば日本全体もどんどん発展するでしょう。
しかし、地方分権は霞ヶ関の官僚の権力を奪うことにつながるので、とうぜんそのような改革は困難なわけです。

最後に規制緩和です。
だいたいどこの先進国でもそうですが、ほとんどの国民は政治に無関心です。
それに自分の一票で結果が変わる可能性はほとんどゼロなので、多くの国民はある意味合理的に考えて選挙に行きません。
結果が同じならわざわざ選挙に行くだけ時間の無駄ですから。
しかし、このように多くの国民が選挙に行かないので、結果的に一部の利権団体が組織票を入れる政治家が簡単に当選します。
こう言った政治家は自分を当選させてくれる利権団体を守るためにせっせといろんな法律を作るわけです。
経済学的に言えば、正しい規制と言うのは自由市場経済がうまくワークして、参加者がフェアに競争できるようにすることを目的にして作るべきものです。
ところが、現実の規制は本来の目的とは真逆で、既得権益を得た利権団体が新規参入者を排除するために作られます。
競争をアンフェアーにしているわけですね。
その結果、国民はモノやサービスを高く買わされたり、新規参入業者が現われないために雇用の機会が減ったりと言う被害を被る分けです。
現在、多くの国民が300円で美味しい牛丼を食べれるのも牛肉が自由に輸入でできるようになったおかげですし、1000円でかっこいいジーンズを買えるのも、企業が中国に工場を作ってそこで作られたものを自由に輸入できるからです。
本来は政府が規制していいのは、環境問題とか市場だけではどうしてもうまくいかないことだけなのです。
しかし、これも多くの政治家が利権団体を代表しているのでうまく進みません。

最近では97%の国民が反対していたにもかかわらずインターネットでの薬の販売が禁止されてしまいました。
これは近くに薬局がない地方のお年寄りの方が大変困るなどいろいろ弊害があったのですが一部の業界団体の利権が優先され規制されました。

ネット医薬品販売への規制は“憲法違反”ではないのか〜シンポジウム開催

郵政民営化のときは過疎地の郵便局が廃止されたらお年寄りが困るとかさんざん大騒ぎしたのに、インターネット販売の方は過疎地の方が困ってもぜんぜんOKと言うわけです。
もう、政治家が言ってることとやってることはめちゃくちゃですね。

このように考えていくと、多くの国民にとって構造改革と言うのは得するものであることが分かると思います。
おそらく95%以上の国民は構造改革で利するのではないでしょうか。

しかし、残りの5%の既得権益層のほうは構造改革が進むと非常に困ったことになるので、めちゃくちゃ必死にがんばるわけです。
ネットに竹中さんとかの悪口をいっぱい書いたり、なんか民営化しようとするとユダヤ人の陰謀だとか騒いだりするわけですね。
もっと洗練された方法では御用学者と言うのを使います。
御用学者と言うのは政治家が勉強会と称してたくさん公演料をあげたり、官僚がなんとか政策委員みたいないかにも権威がありそうな役職を与えて研究費を出したりして取り入るわけです。
それでうまく取り入れられた御用学者は既得権益層に都合のいい本や論文を書いたりします。
たとえば、何か民営化されると困るものがあればもっともらしい反対意見をたくさん書くわけですね。
また、困ったことにテレビ局は日本の最たる既得権益層なので、政治家や官僚とマスコミが結託することも多々あります。

こうやって考えていくと構造改革はいかに困難なものかと言うことが分かるでしょう。
僕が非常に恐ろしいと思うことは、御用学者とマスコミの洗脳によって本来は構造改革で得する人たちも構造改革で損すると思いこまされていることです。

さて、最後に構造改革はなぜそれほど必要かと言う一番大事なことを言うと、それは難しい言葉で言えば日本の潜在成長率を上げるからです。
潜在成長率とは日本がGDPを毎年何%上げることができるかと言う、日本の経済の力を表わします。
この経済の成長と言うのは極めて重要なのです。
これだけ政府は国債で借金をしたのですから、もし経済が成長できなければ、その結果は増税(またはインフレ)と福祉カットしかありえないのです。
雇用に関しても経済が成長しないのは必ず脱落者が出る椅子取りゲームをやらされているようなものです。
マイナス成長だと椅子の数がどんどん減っていく椅子取りゲームです。
椅子がどんどん増えていく椅子取りゲームの方がだんぜん楽しいですよね。

しかし、なんの利権も持たない人が構造改革に反対と言うのは、正直言って脳ミソが溶けているとしか言いようがありませんね。