政府は17日、民主党が16日に提示した平成22年度予算の重点要望を受けて、衆院選マニフェスト(政権公約)に盛り込まれた「子ども手当」支給の所得制限ラインを年収2千万円とする方向で調整に入った。関係閣僚が18日にも協議する。所得制限導入は、マニフェストに反する形となるが、鳩山由紀夫首相は17日、首相官邸で記者団に対し、「柔軟性というものも重要だ。それが求められるのが、まさに政治ではないか」と述べ、マニフェストの完全実施にこだわらない姿勢を示した。
子ども手当の所得制限、「2千万円」で政府・与党が調整、産経ニュース、2009年12月18日


すでにいろいろなところで突っ込まれているけど、2千万円以上の世帯収入があるのは平成20年のデータで約1%です。
今年は高額所得者の年収がドスンと下がっているので、おそらく1%をかなり割り込むでしょう。

所得の分布状況、平成20年調査、厚生労働省
http://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/k-tyosa/k-tyosa08/2-2.html

ということは、子供手当て2万6千円の財源が5兆円弱なので、最大でも500億円弱の削減にしかなりません。
しかし、所得制限を行うことにより子供手当てを申し込む人は源泉徴収表などの提出が必要になり、お役所には膨大な作業が発生します。
申請者の手間とお役所のリアルな人件費の総額を合わせると明らかに500億円をはるかに超えるコストがかかるでしょう。
ITゼネコンに専用システムを発注したらそれだけでかなりの金額がぶっとびます。

ということでこの所得制限の案は経済合理的ではありません。

しかし、正直いって僕はもう何もおどろきません。
郵政再国有化、派遣労働禁止、FTA締結なしの農家所得保障などなど、民主党政権にはずいぶんといろいろおどろかされてきましたから、この程度の経済合理性無視はかわいいものでしょう。
それに今までの民主党の発言や行動をみていれば、このような所得制限の案が出てくるのはむしろ自然な流れだともいえます。

鳩山首相は、所信表明演説でも堂々といっていたように、経済合理性にはこだわらない政策を積極的に実施していくことをよしとしています。
500億円削減するためにたとえば1000億円の経費をかけるのは、どこからどう考がえてもアンポンタンなのですが、経済合理性に反することもどんどんやっていくという当初の目的からいえば、鳩山首相はぜんぜんブレていません。
それが友愛政治なのです。
また経済合理性がなくても、政治的には十分合理性があるでしょう。

民主党政権にとっては金持ち=悪です。
ただし、同じ金持ちでも親からたくさんお金を譲り受けた鳩山兄弟のような金持ちは悪ではないようです。
あくまで自分で稼いで金持ちになる人間が悪なのです。
高額所得者はなんか悪いことをやってお金を稼いだに決まっているからです。
だから民主党政権が天にかわって成敗しないといけません。
こうやって庶民は悪い成金をこらしめる民主党政権を支持するというわけです。
民主党政権は正義の味方です。
少々税金を余分に使ったとしても、金持ちをいじめることで得られる多くの国民の満足感を考えれば安いものでしょう。

またこの2千万円の所得制限は確かに国民である納税者の立場からみれば経済合理的ではありませんが、鳩山内閣にとっては十分合理的です。
まずお役所の仕事をたくさん増やせます。
仕事が増えれば、公務員の人数を増やしたり、公務員の給料を上げる口実を作れます。
公務員は民主党のいちばんの支持団体です。
また高額なシステムの発注によって民主党と仲のいい官僚も報われます。
何百億円のシステムを発注すれば天下りポストを何個作れるのでしょうか。

こうやって考えると、民主党議員、官僚、ITゼネコン、公務員、精神的な満足感を得られる多くの国民、みんながハッピーになれるわけです。
これはやらない手はありませんね。

次は民主党政権からいったいどんなことが飛び出してくるのでしょうか。
派遣労働禁止は本格的に決まりそうですね・・・

日本は氷山にぶつかったタイタニック号なのかもしれませんね。
なんとなく今年の衆院選が氷山だったような気がします。