民主党は第三の道として需要サイドの成長戦略を思い描いているようです。
しかし、どうも民主党はこども手当などで家計の所得を増やしてやれば、需要が増えるので経済が成長すると思っているようで、そのことに関しては多数の評論家から批判されています。
僕も、そういう手当は、格差を是正するための政府の再分配の機能であって、成長戦略にはなり得ないと思っています。
というのも家計を増やすといっても、その財源は赤字国債の発行で、将来の税金の先食いですし、その先食いした税金以上に再分配された人が付加価値を創出するかといえば大いに疑問です。

しかし、需要サイドの成長戦略というのは、実は、日本経済には非常に重要だと思っています。
そこで、今日は需要サイドの成長戦略というものをいろいろ考えてみたいと思います。
下賤な例で申し訳ありませんが、簡単に理解できるということで、人類最古の商売といわれる売春業と、アダルト・ビデオ産業で考えてみたいと思います。
(ちなみに僕はこの業界にあまり詳しくないので、間違い等があれば指摘していただければ幸いです)

売春業は、合法の国もあれば違法の国もあります。
日本は一応、違法ということになっていますが、ソープランドのように営業がゆるされているものもあります。
ちなみに、ソープランドの法解釈は、客がお風呂で「たまたま」そこであった女性と恋に落ちて自由恋愛によってことが行われるということらしいです。
そんなこといったらなんでもありじゃないかと思われるかもしれませんが、警察に暗黙に許可されていないところで同じようなことをすると、すぐに逮捕されるというなんとも理解しがたい構造になっています。
僕のような素人は、こういう歪な仕組みの裏側で、警察とかや○ざとかにどんな利権があるのかと思うと、おそろしくなってしまいます。
ガクガク(((( ;゚Д゚))))ブルブル

ということで、日本には売春業に対する男性側の需要は非常に高いのですが、このように規制されているし、また、そのような中でいちおう合法的に営業を行っているところも、サービスの質が非常に低い上に国際水準からかけ離れた価格になっているため、あまり利用されていないというのが実情ではないでしょうか。
需要があるところで、それを法律で規制しているのだから、そういったサービスを供給しているのは主に法律を破るのがお仕事の方々ということになります。
しかし、そういったブラック・マーケットの経済活動は、もちろん税収にはつながりませんし、やはり安価で質の高いサービスはどうしても過小供給になりがちです。
そこで、日本で吸収しきれない旺盛な需要は、海外で吸収されることになります。
売春業を合法化し、観光政策の一環として積極的に推進している東南アジアの新興国に、日本の潜在的な需要がすべてうばわれてしまっているのです。

こういった状況を改善して、日本のGDPを成長させ、税収を増やし、きたるべき少子高齢化社会にそなえるにはどうすればいいでしょうか?
非常に簡単です。
売春を合法化すればいいのです。
今の人材派遣会社みたいに、株式会社で売春婦派遣会社を運営してもいいでしょう。
中には上場する会社も現れるかもしれません。
こういった売春会社はお互いにサービスを競い合い、価格競争をするので、それを利用する需要サイドは大いに恩恵を受けるでしょう。
また、合法化することによって、ブラックマーケットの経済活動がすべて表に出てくるので、GDP統計にも反映されますし、もちろん国家の税収にもなります。
さらに、就職氷河期で就職先がなくなってしまった女子の有望な雇用先にもなるので、若年層失業率の大幅な改善も期待できるでしょう。
日本の売春業は、一部の既得権益層を守るために、潜在的な需要が抑えつけられ、国民全体の利益が損なわれているいい例ですね。

さて、次にアダルト・ビデオ産業を考えてみましょう。
その前にまずアダルト雑誌(通称エロ本)の盛衰を考えてみたいと思います。
僕が子供の頃はアダルト雑誌は割といろいろなところで売られていたと記憶しています。
ところがこの5年ぐらいでしょうか。
アダルト雑誌はほとんどみかけなくなりました。
これはいうまでもなくインターネットを通して世界中から無尽蔵に供給される無料のアダルト・サイトに駆逐されたためです。
日本のアダルト雑誌は、IT革命とグローバリゼーションの荒波に飲み込まれ、ひっそりとその歴史的使命を終えたのです。

しかし、日本のアダルト・ビデオ業界は今もしぶとく生き残っているようです。
やはり世界からやってくるコンテンツは十分に日本人の趣向にローカライズできていないし、現代のインターネットのスピードではさすがにフル動画を簡単にダウンロードできないので、そこに勝算があったのでしょう。
とはいえ、僕は日本のアダルト・ビデオ業界が駆逐されるのも時間の問題だと思っています。
日本の規制では性描写で局部を映してはいけないという、グローバルな視点からみるとかなり特殊な規制があります。
国内業者はそういったハンディキャップを背負いながら、世界のライバルと戦わなければいけません。
しかし、それでも日本人の趣向に徹底的にローカライズさせることにより、つまり積極的なガラパゴス化によって、世界と互角に戦ってきたようです。
ところが、ここ数年、そういった日本のマーケットを知り尽くしている業者が世界に飛び出していき、規制の少ない国でコンテンツを製作して、インターネットを通して日本に逆輸入するという、オフショア・ビジネスを展開しています。
僕はこういったオフショア業者が、国内のアダルト・ビデオ業者を駆逐すると予想しているのです。

こういった会社は海外に登記してあるので、日本人に売りさばいて得た莫大な利益から生まれる税金も、やはりほとんどが登記してある国に納められます。
規制の少ない海外から、規制の強い日本にインターネットを通じて商品を売るという、レギュラトリー・アービトラージが活発に行われているのです。

最近、プライベートバンクでとんでもないお金(何百億円とか)を持っているまったく無名の日本人は、こういったアダルト・サイトの運営者がけっこういるみたいです。

ところで、こういった税収を取り戻すにはどうしたらいいかというと、それも実に簡単で、不必要な規制をなくすだけです。
グローバル経済において時代錯誤な規制は、レギュラトリー・アービトラージの餌食にされるだけなのです。

このように潜在的に大きな需要があるのに、それがグローバリゼーションやIT革命についていけない規制によって、抑えられていることがたくさんあります。
また、そういった抑えられた需要にサービスを供給するのは、ブラック・マーケットやオフショア業者で、顧客は安心してサービスを受けられないし、国の税収にもならないのです。

つまり、需要サイドの成長戦略とは、ひとことでいえば戦略的な規制緩和なのです。
規制緩和をして、新たな需要をつくり出すのです。
規制をうまく取り除けば、需要がすぐに生まれる分野に、「医療」、「教育」、「介護」などがあります。
こういった分野は、政府の規制によってがんじがらめに縛られているため、ちょっと規制を緩和するだけで、大きな成長が期待できるでしょう。

ところが、規制によって守られている既得権益層の政治活動はかなり熾烈なものになるので、実際に意味のある規制緩和を実行するのはなかなかむずかしいのです。
しかし、今の民主党は小沢さんがOKといえばなんでもできるので、自民党政権ではできなかった戦略的な規制緩和をどんどん進めて、民主党が真の「需要サイドの成長戦略」を実行することを期待したいですね。


参考資料
世界の下半身経済が儲かる理由―セックス産業から見える世界経済のカラクリ、門倉貴史