このまま日本の政府債務が膨張していくと、政府は(1)国債をデフォルトさせる、(2)日銀に国債を直接買わせる、(3)重税を課して債務の発散を食い止めるというみっつの選択肢しかなくなります。

日本国債はほとんどが日本人が持っているので、(1)と(2)だったら、(1)のデフォルト、つまり政府が借金を返しませんと宣言するよりも、政治的にも外交的にもはるかにやりやすい(2)の日銀によるファイナンスが行われる可能性が高いと思われます。
その場合は通貨価値が激しく変動しながら信用が崩壊していくインフレが起こるでしょう。

(3)の増税の可能性はどうでしょうか?
僕はこの可能性はかなり高いと思っています。
ロシアやアルゼンチンのような財政破綻した国をみると、公教育を担う教師や政府の公務員に支払う給料がストップしたりしています。
また、財政が破綻してしまえば、年金生活者などは一番困るでしょう。
公務員や日教組は民主党の支持基盤ですし、年金生活者は今後、日本で最も強い政治力を持つ集団になるので、これらのグループの利益を大きなリスクにさらすような(2)の日銀の国債直接引き受けが行われる可能性は非常に低いと思います。
ましてや自国の通貨の信用が揺らげば、自国通貨で給料を受け取る政治家や官僚が大きな被害を受けるのです。
ということは、次の参院選の後あたりから、本格的な増税が行われる可能性が高いと考えるのが自然ではないでしょうか?

そこで増税というと、富裕層への課税をもっと増やせという意見があります。
実際に、当ブログにもそのような意見が多数寄せられています。
しかし、結論からいうと、今後は消費税が大幅に上がり、所得が低い人から平均程度の人の所得税率が上がることになると思われます。

皆さんはテレビや2chなんかを見すぎているせいで、世の中は高額所得者であふれかえっているような印象があるかもしれませんが、実際には高額所得者というのは極めて少数なのです。
厚生労働省の平成20年の調査によれば2千万円以上の世帯収入があるのは平成20年のデータで約1%です。
金融危機以降は高額所得者の年収がドスンと下がっているので、おそらく現在は1%をかなり割り込むでしょう。

そして世論を反映してか、日本で何千万円も所得があると所得税40%と住民税10%で、計50%という懲罰的な重税が課されます。
民主主義とは多数派が少数派を搾取する仕組みなので、このように少数派である高額所得者は、無残にも無慈悲な人民によって本来受け取るべき正当な富を暴力的に収奪されているのです。

さて、所得税の累進性をさらにスティープにせよという、とどまることを知らない強欲な世論に対する反論として、そんなことをしたら富裕層が海外に移住してしまうという意見があります。
僕もその通りだと思いますが、ここではそのことを議論しません。
別の観点から累進性を論じたいと思います。

ぶっちゃけた話、たった1%もいない世帯の税率を50%からちょっとばかり上げたところで、まったく税収には貢献しないのですよ。
だから累進性をさらに強めるというのは、政治的には大変すばらしい見世物にはなると思いますし、僕もそのことに対して異論はないのですが、今後来る財政破綻を避けるためになりふりかまわずやらなければいけない増税という観点からは、まったく意味をなしえないのです。

国際的にみると日本は年収500万円とかそれ以下の人たちの負担が極めて軽いのです。
そして人数の上でも圧倒的に多いのがこれらの人たちです。
高額所得者に対する課税は、日本は国際的に見てもかなり高い部類に入っています。

給与収入階級別の個人所得課税負担額の国際比較、財務省
個人所得課税の実効税率の国際比較、財務省

天然記念物のような高額所得者にさらに増税するよりも、石を投げれば当たるこういう普通の大量の人たちに増税した方がはるかに税収があがるのは当然です。
しかし、このようにマジョリティに不利なことをするのは、当然、政治的には大変大きなリスクがともないます。
政治的には自殺行為といってもいい。
ところが財政破綻が目前に迫ってきて、その財政破綻で一番困る人たちが支持基盤の民主党政権では、必ずそういう増税に踏み切ってくると考えるべきです。

法人税は40%とすでに世界最高税率なので、いくらなんでもこれから下げざるを得ません。
高額所得者の税率もすでに世界最高水準です。
それに企業や高額所得者は、そうでない普通の人たちよりも、海外に活動拠点を移すことが容易です。
繰り返しますが、法人税率を上げたり、累進性を急にするのは、政治ショーとしてはすばらしいので票は増えるかもしれませんが、税収を増やすという本来の目的にはむしろ逆に働く可能性が極めて高いのです。

日本人は、大企業や高額所得者が税をもっと負担してくれるという淡い期待をそろそろ捨てるべきでしょう。
今度はあなたの番ですよ。


PS 読者の方がこんなのを作ってくれた。

金融日記 2月1日号

PS2 このロゴもなかなか・・・