昨日、田原総一郎氏のコラムの中にでてくる経産省のレポートのドラフトに関してツイッターで言及したら、すぐさまフォロワーの方がレポートを見つけてくれた
このレポートは非常によくできていたので、瞬く間にツイッターの世界で広がっていった。

日本の産業を巡る現状と課題、経済産業省、平成22年2月

詳細は各自読んでいただきたいのだが、僕はこのレポートは日本の現状を非常に的確に分析していると思う。
経産省の調査能力に大いに感心した。

しかしこういった的確な現状認識に基づく提言が、あまりにも残念なので考え込んでしまった。
結局のところ経産省主導の産業政策のプロパガンダであり、そういった発想では日本の閉塞感を打ち破れないのはあまりにも明白だからだ。

とはいえ高級官僚のキャリアを考えると、こういう結論になるのもいたしかたない気がしてくる。
彼らの現役時代の給料は非常に安い。
年収1000万円いかない程度だ。
残業代などを含めてようやく年収1000万円超えるぐらい。
外資系金融機関の新卒の2年目の給料より安いぐらいだ。
そして彼らの安い給料の辻褄を合わせるために天下り、渡りがあるのである。
だとするならば、彼ら高級官僚はとにかく天下り先をたくさん作り、そこにたくさんお金を入れることを正当化するための政策を作るということが仕事の目的になってしまう。
誰だって自分が一番かわいい。
当たり前だが、サラリーマンは会社のために働いているわけではない。
自分のために働いているのだ。
官僚だって国家のために働いているのではない。
自分のために働いている。
このことはなんら問題ではない。
問題なのは個人のインセンティブが組織、官僚だったら国家の利益と同じベクトルを向くようにうまく制度設計ができていないことだ。

多国籍企業の重要な意思決定に関わる戦略コンサルタントの年収は数千万円から億を超える。
国境を越える大きなM&Aなどを取り仕切る優秀なバンカーの年収も億単位だ。
マッキンゼー大前研一氏など公演をするだけで1時間500万円だとよく自慢している。
シンガポールの首相の年収はだいたい3億円弱。

ところで話は変わるが大前研一が東京都知事に立候補した時に、何の迷いもなく意地悪ばあさんを選んだのは東京都民だが、その間、シンガポール政府などは彼を高額の報酬で参謀として雇い、必死に国家戦略を練っていた。
その結果、いつの間にか一人当たりのGDPも抜かれたわけだ。

まあ、ざっくりといってこれが世界標準の報酬だ。
ここではくわしくは触れないがアメリカのこういった人材の報酬はゼロの数がさらにちがうとだけいっておこう。

そんな世界ではたして年収1千万円のわが国のポリシーメーカーは戦えるのだろうか。
僕は大いに疑問だ。

現在、ポピュリズムの民主党は人気取りのために官僚叩きをして、天下りを禁止しようとしている。
そして何を実現しようとしているかというと、出世コースから外れた官僚を天下りさせずにそのまま終身雇用で定年まで飼い殺すことを目的とした法律を作ろうとしている。
あー、本当に貧乏くさい発想だ。

正直いって、こんな安い給料で定年まで霞ヶ関の汚いビルに毎日通わなければいけないなんて刑務所に入っているようなものではないか。
というかその程度の報酬を「安定した生活」なんてありがたがって官僚になるようなレベルの人間に、国家戦略の重要な意思決定をして欲しくないと僕は切に思う。

むろん今の制度疲労を起こしている構造を残したまま給料だけを上げるなんて問題外だが、がんばった政策立案者は少なくとも数千万円から億単位の年収を貰えるようにするべきだろう。
民間企業のトップマネジメントや世界的な大学教授が政府の政策担当者となったり、逆に政策担当者が民間企業や大学に移籍するようなことをどんどんやるべきだ。
外国人を重要なポストで雇ってもいい。

ところで、どうやって評価するかだが、たとえば国民一人当たりのGDP成長率が世界平均と比べて0.1%アウトパフォームするごとにボーナス1000万円なんてどうだろうか?
しかしこれだと安易な財政出動を誘う危険があるので、そのボーナスは満期までの保有が義務付けられている10年国債などで支払う。

やっぱり結果次第で億単位のボーナスが貰える方が官僚もがんばるとおもうんだよね。
たとえば100人に1億円のボーナスを払ったところで、今の日本の国家予算からしてみればチリひとつぐらいにもならないのだから、それで経済がよくなるなら日本国民は大いに報われるだろう。