2010年08月28日

選挙の科学についての面白い本3冊

また選挙です。
次の民主党の代表選挙で、また日本の首相が変わるかもしれません。
今のところ現首相の菅直人と、キングメーカーこと小沢一郎の一騎打ちとなるようです。

ところで、僕は最近この多数決という極めて簡単な選挙の仕組みが、どうしてここまでカオスに振る舞い、予測不可能なのかということについてとても驚かされています。
(政権交代から1年もたたないうちに鳩山さんが辞め、菅さんが首相になり、そして小沢さんがこのような形で代表選挙にでてくるなんていったい誰が予想できたのでしょうか?)

つい最近は、ほんの少ない議席しか持っていなかった国民新党と社民党が、民主党と連立することにより、極めて大きな影響力を行使しました。
今回の民主党の代表選挙でも、菅直人も小沢一郎も必ずしも国民から支持されている人物ではないようです。
それにもかかわらず日本のトップになるわけです。
多数決の選挙でも、このように実際に影響力を握るのは人気がある政党でもなく、また人気がある人物でもないようです。

このへんの選挙の数理科学的な研究は大変興味深いですね。
いかにして単純明快な多数決という仕組みがここまでカオスになるのかというのは研究するととても面白いと思います。

そこで今日は、ちょっとアカデミックな選挙に関する本をいろいろ紹介したいと思います。

1. 選挙の経済学 投票者はなぜ愚策を選ぶのか、ブライアン・カプラン、奥井克美(翻訳)、長峯純一(翻訳)
(The Myth of the Rational Voter: Why Democracies Choose Bad Policies, Bryan Caplan)

日本の消費税の議論や、派遣村がかわいそうだから派遣は禁止しようという最近のまことにおかしな議論を聞いていると、多くの国民がいかに非合理的なのかということを思い知らされます。
自分で自分の首を締めるような政策を国民はよく選択しようとするのです。
この本はアメリカの事例ですけど、そういうおかしなバイアスや、その分析がいろいろ書いてあり面白かったです。

また、逆に国民の多くが無知でも、多数決で意外と正しい選択ができるという例も紹介されています。
たとえば50万人が二択の投票をするとして、どちらの政策がより国民の利益になるか正しく評価できる人がたったの1%、つまり5千人しかいないとします。
残りの99%の人はランダムにコインを投げて投票するとします。
おどろくことに、このときこの集団が間違った政策を選ぶ確率はほぼゼロになります。
(計算してみてください)

2. 選挙のパラドクス―なぜあの人が選ばれるのか? ウィリアム・パウンドストーン、篠儀直子(翻訳)
(Gaming the Vote: Why Elections Aren't Fair (And What We Can Do About It) William Poundstone)

著者は物理学を勉強した後、情報理論やゲーム理論を研究して、物書きになった人です。
選挙の不可思議な振る舞いについて、とても面白い話がたくさん書いてあります。
たとえば、ある選挙区でひとりの議員を選ぶ場合、一番人気の候補者が当選するでしょうか?
話はそう単純ではありません。
3番目に人気の候補者を支持している人々が、一番人気の候補者とは反対の政策を支持していたとしたら、なんとしても一番人気の候補者の当選を阻止しようとするでしょう。
しかし、3番人気の候補者に投票しても当選する確率はほとんどありません。
だとしたら好きでも嫌いでもない2番人気に投票して、一番人気の候補者を落とそうと考えます。
結果的に・・・などということが起こります。
選挙結果の予測も非常に複雑ですが、当選者がいったい何を支持されたのかを解釈するのはさらに複雑でむずかしいことなのです。

たとえば前回の衆院選で民主党は圧勝しましたが、民主党に投票した多くの人は民主党のマニュフェストなんてほとんど読んでいませんでした。
あれは自民党への反対票だったのです。
だから民主党の政治家が「マニュフェストで国民に約束したことを・・・」なんていっているのを聞くと、僕は思わず吹き出してしまいます。

3. 世論の曲解 なぜ自民党は大敗したのか、菅原琢

自民党は去年の衆院選で大敗を喫するわけですが、「小泉・竹中の構造改革で格差が広がり世論はそれに反発した」というマスコミの言説がどれほど間違っているのかを、さまざまな統計データから証明します。
実際のところ2005年以降、国民は小泉・竹中の構造改革を首尾一貫して支持してきたのです。
この本の分析は、前回の参院選でバラマキ政党の民主党が大敗し、郵政民営化を巻き戻そうとした国民新党が一議席も取れず、小泉・竹中の構造改革を引き継いだみんなの党が躍進したことから、さらにその正しさが証明されました。
日本の政治を理解するためにはぜひとも読んでおきたい一冊です。

以上。

kazu_fujisawa at 01:39│Comments(27)TrackBack(0)この記事をクリップ!読書&映画感想文 | ファイナンス原論

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この記事へのコメント

1. Posted by fuckabees   2010年08月28日 02:14
みんなの党の躍進は、小泉・竹中の構造改革を引き継いだからではなく、消費税率アップに反対だったの1点支持だと思います。
2. Posted by カオスだよ!カオス!   2010年08月28日 02:37
新聞止めたけどこの前大量に日経の雑誌もらって読んでやっぱり面白かった!!
日本は首相が変わりすぎて世界から信頼されてないってあったよー!ゲーム理論実はわりと知ってるんだーw経済学面白い!元々数字は嫌いじゃなかった記憶がよみがえってきた!wヨーロッパは80%以上投票率があるのに、日本の投票率の低さはなんだ!!橋本も小沢怖がっていたしなー!ハトも小沢の手下らしぃな?
カオスだカオス!!大体小沢なんて高校生クイズ王選手権の高校せいーよりつかえねぇー!つまりカズよりずっとバカだ!!ということだ!日本の政界は狂ってる!!(これ問題発言多いので匿名だ!!)
3. Posted by 金髪豚野郎   2010年08月28日 02:40
今さ、AKBのラジオ聞いてんだよな。
オールナイトニッポンってやつな。
で、メンバーの私物プレゼントとかやってんだけど、当選者がみんな中高生なんだよな。

おっさんヲタ惨めだよな。

選挙では何十万も使った奴もいるだろうに。

まあオレは今日発売のやまぐちりこがAKB初支出だから問題ねーけどな。

でも、まだ届いてないんだよな。



パンツ脱いで待ってます!

パンツ脱いで待ってます!

パンツ脱いで待ってます!
4. Posted by 村上春樹   2010年08月28日 02:46
 村上春樹です。僕のデビュー作は『風の歌を聴け』ですが、僕はその作品を殆ど英語で書き上げ、寸前で日本語に書き改め群像新人賞を受賞したのでした。英語と日本語の塀の上を歩きながら、最後に落ちたのは日本語の世界だったということになるわけで、今思い起こせば不思議な因縁と言えるかも知れません。ところで、同作を書き上げた千駄ヶ谷では、「Peter Cat」というジャズ喫茶を経営していました。マスターの私を御存知の方、Twitterでご一報下さい。
5. Posted by やまだ   2010年08月28日 02:54
金融日記を読んでいていつも思うのですが、カズさんはどうやって投資銀行の激務をこなしながら大量の本を読み、ブログを書いているんですか?
こなせる仕事の量がハンパないですよね。
どうやっているのかいつも疑問に思います。

以前ツイッターでマルチタスク云々の話をされていたような気がします。
今度ブログの記事にしていただけると嬉しいっす。
6. Posted by うん!   2010年08月28日 03:01
よくやる!!好きでも嫌いでもない人に3番目を好きだから〜投票する!!わたしって!!
7. Posted by おはよ   2010年08月28日 06:16

>実際のところ2005年以降、国民は小泉・竹中の構造改革を首尾一貫して支持してきたのです。(キリッ)


 「小泉さんが、内輪の集会などで蒲谷陣営の応援に力を入れれば入れるほど、陣営の求心力が低下し、人が離れていった。小泉さんは票を失わせる疫病神」と、ある市民は証言します。「小泉純一郎」といえば「人気者」の代名詞だったころがウソのようです。(抜粋)
http://www.news.janjan.jp/government/0906/0906295997/1.php





8. Posted by 上石   2010年08月28日 08:49
「多くの国民がいかに非合理なのか」というよりは、ひじょうに操作的に動かされている、ということです。
組織票にしても、芸能界からの転身にしても、厳しくはなったとは言え、未だにそんな影響で投票している人はいます。
選挙前のマスコミの報道、特に世論調査(内容がどんなに矛盾していても報道してしまう)なども問題です。
衆院選での小沢戦術は「格差社会の是正」でしたが、あれほど人の嫉妬心を利用した政治家はいない。まさに悪徳。
オレオレ詐欺が未だになくならないように、多くが騙されやすいのです。

多数決が間違うのは同調の心理からです。
多数が正しいという考えは、多数論証で否定されてます。少数が不利だ、というのが脅迫的なんです。
重要なのは、冷静さと議論の質です。
9. Posted by 上石   2010年08月28日 09:05
URLを間違えました。
10. Posted by 2   2010年08月28日 11:56
2のケースでは、ちょっと違いますが神戸空港建設の是非の神戸市長選挙ですね。
空港反対票が2つに割れて、結局、賛成の市長が当選した。
そして、新神戸空港、伊丹空港、関西国際空港のカオスが。。。
11. Posted by 桜   2010年08月28日 12:08
>>7

そりゃ日本に日本全国に数千万人いるであろう「逃げ切り世代」や、「自分は逃げ切れると思い込みたい若者」にしてみれば、小泉さんの存在そのものが都合が悪いからね。

彼らにしてみたら、小泉さんは「どんなに邪悪な手を使ってでも滅ぼすべき存在」なんだろうし。

だからあらゆる方向から、たった一人の人間めがけてスクラム組んで襲い掛かってくる。もう憎悪剥き出しに。
12. Posted by だだだひろや   2010年08月28日 14:27
早稲田社学卒として将来衆議院に立候補したいと思います!
13. Posted by もの   2010年08月28日 15:26
国のトップは直接選挙で選べるようにしてほしい。鳩山VS岡田の時だって国民側は岡田に支持が扱ったが、結局党内力学で鳩山になった。結局、国民の支持より党内力学が優先されるから、国民世論ですぐ支持率が落ちてくるんだ。日本が毎年のように首相が変わっている理由なんて簡単なものだ。国民が厚く支持している人が、党内力学に阻まれて首相になれんからだ。小泉さんのときは珍しく国民の支持が集まった人が首相となった。だからあれだけ長くやってられたんだよ。それだけのことだ。こう考えれば、民主党は誰に首相を続けさせたほうが安定するかは書かなくてもわかるだろう。
14. Posted by 山田OB   2010年08月28日 15:45
あいつブログで社学こそ早稲田の看板学部とほざいていたが、頭大丈夫か?
15. Posted by 康弘   2010年08月28日 20:12
20歳以上のすべての男女による選挙を「普通選挙」と呼んでいる時点で、おかしくないですか。思考力や判断力がない連中は投票に行くべきではない、と私は考えます。藤沢さんは選挙制度についてどういう考えをお持ちですか。
16. Posted by     2010年08月28日 21:25
やば、金髪豚野郎に笑ってしまった
17. Posted by jaklejkra   2010年08月29日 00:12
単に世襲者しか選べない仕組みになっているからではないのですか
思考回路はみんな一緒な気がします
GSで20年飯食ってましたみたいなツワモノ出てこないかな〜
18. Posted by 村上ハルキ   2010年08月29日 00:13
>たとえば50万人が二択の投票をするとして、どちらの政策がより国民の利益になるか正しく評価できる人がたったの1%、つまり5千人しかいないとします。
残りの99%の人はランダムにコインを投げて投票するとします。
おどろくことに、このときこの集団が間違った政策を選ぶ確率はほぼゼロになります。
(計算してみてください)


残り99%は半々の投票をして,のこりの賢明な奴らが正しい政策政党に投票するんだから,計算しなくてもわかるんでないの?どこがおどろきなの?

そもそも99%のひとは賢明な判断ができない人たちなんだから,マスコミやら新聞なんかの扇動を受けやすく,ランダムに投票することはないはず.
そもそも命題が矛盾している気が.

ちゃんと本を読めばきちんとした説明があるんだろうけど.
19. Posted by pureharmony   2010年08月29日 08:44
1番、残り99%がランダムって仮定は無理じゃないでしょうか。
20. Posted by tip   2010年08月29日 09:15
99%の無知は、メディアを使って洗脳だ!○○するだけで、日本は立ち直る!すべては、××のせいだ!って
21. Posted by ken   2010年08月29日 10:41
最近、おっぱいが好きさんのコメないですよねー。

毎回コメ欄を盛り上げていた1人だったのに…。
22. Posted by jgb   2010年08月29日 12:09
あんな相場でさぞもうかったんでしょうなぁ。14毛アマとか。。。
23. Posted by いつも読んでいます   2010年08月29日 16:20
ケネス・アローですかね。
24. Posted by はなき   2010年08月29日 18:53
村上ハルキさんの意見に同意。で、99%の人に何もバイアスが掛かっていなければ、50対50になるかもしれないけど、日本の場合、マスコミバイアスに影響を受け易い世代が、そうでない世代より多いので、マスコミが支持した党や人が選ばれることになりがちだと思う。日本は、人口ピラミッドが普通の三角形でなく、団塊世代と団塊世代ジュニアが、膨らんだ形になっているから、どうしても、この世代の投票行動に選挙結果が左右され易くなっているんじゃないかな?特に、テレビのワイドショーの影響を受け易く、人口が多く、選挙に行く割合も多い、団塊世代婦人の影響は大きい。韓流大好きな鳩山幸さんは、その世代の代表的なご婦人。
25. Posted by フレキシブル竹中   2010年08月30日 00:12
竹中さん、高橋是清を絶賛
http://grandpalais1975.blog104.fc2.com/blog-entry-338.html
26. Posted by jy   2010年08月31日 08:58
>たとえば50万人が二択の投票をするとして・・・

もし、正しい判断をする人が1人もいなければ、結果は50:50。100回の選挙があれば、50回はAが、50回はBが選択される。

では、正しい判断をする人が1人いれば?恐らく結果に影響は無いでしょう。
2人なら?3人なら?・・・

では5千人では?
計算上は、たった1%の人が正しい判断をすることで、"何度やっても"結果は変わらない。
選挙民が1億人だと、"何度やっても"結果は変わらないために必要な
正しい判断を出来る人の割合は、もっと少なくていい。

ただしこれは、「残りの99%の人はランダムにコインを投げて投票するとします。」という、現実にはありえない仮定に基づく話。実際には、他の人が指摘しているように、コインは歪んでいる。
そうなると逆に、何度やっても結果は"歪み"に支配されて、正しい意見は通らなくなるんだよなぁ。
27. Posted by SODクリエイト   2010年08月31日 20:11
ねぇ、ねぇ!そろそろ、オナニーの時間帯だよ。

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