最近、また理系と文系でどっちが生涯賃金が高いのかということで話題になっていた。
どうも日本社会では理系と文系では、文系の方が生涯賃金が高いというのが常識だったらしくて、最近の新しい調査がそれをくつがえすものだったようで、いろいろと話題になったようだ。

そこで人事コンサルティング会社を経営する城繁幸氏は、さっそくこの結果、つまり理系の方が文系よりも実は賃金が高いということを支持している
また、僕の経験からいうと、少なくともここ10年とか15年ぐらいの状況から見ると、理系と文系だったら、圧倒的に理系の方が有利だと思う。

まず最初に就職の段階で非常に大きな差がある。
最近のきびしい就職環境だと、東大や早稲田や慶応のような日本の一流大学でも、文系学生は非常に苦労している。
まず文系学生の多くが営業担当として採用されるので、正直いって大学で何を勉強したかなんてほとんど誰も気にしていない。
なんとなく感じがよさそうで、人と話を合わせるのがうまいかどうかとかが、面接官のフィーリングで見られているだけである。
だから明治や立教のような偏差値の低い大学でも、好感度が高い学生は大企業から内定をゲットできる一方で、東大生でも文系学部は、初対面の人とくだらないことで適当に話を合わせるという軽薄な技術―これがコミュニケーション能力とよばれるものらしい―がない者は相当に就職活動で苦労している。

また、サラリーマンでも非常に高給な職業、たとえば外資系証券のトレーダーや戦略コンサルタントなどでは、新卒でオファーをもらえる学生の多くが理系院生である。
たとえば外資系証券会社のトレーディング職では9割以上が理系院生だし、戦略コンサルティング・ファームでも6、7割は理系院生だ。
しかしこれらの職種を受ける学生のうちで、理系院生はもともとかなりの少数派なので、いかに理系院生の方が確率が高いか、逆に一流大学の文系学部でもほぼ絶望的な確率なのかがわかろう。

そこそこの有名大学の理系学部で、商社などの営業職に応募しても、だいたいわりと歓迎してくれて、内定も取りやすい。
製薬会社の営業職なども理系の学生を優先してくれる。

もちろん理系学生はメーカーに就職するというのが主流で、大学の研究室と大手メーカーはつながっているので、それが本人にとっていいことか悪いことかは別にして、レールの上に乗って教授の勧めに従うだけで、少なくとも簡単にメーカーのエンジニア職からは内定がもらえる。
また、そういうことがなくても、SEのようなシステム屋という大きな受け皿があり、そこそこの大学の理系学部なら就職に苦労するということはまずない。

僕もたまに新卒の面接をするのだが、僕は一時、経済学部の学生をなんとか採用しようと思っていたことがあった。
というのも僕は経済を大学で勉強していないし、僕の周りにもなぜか経済学をしっかり勉強した人がいなかったからだ。
僕なんて仕事の合間とか、暇なときに経済学の教科書をひとりで読んでいただけだ。
ビジネスマンはなかなか勉強する時間なんて作れないので、すき間時間にいろいろ勉強しないといけないのだ。
だから脳みそが非常に柔らかい時の4年間を、経済学というひとつの学問の勉強にフルタイムで費やせるということは、どれほど深く研究することができるのかと思い、経済学部の学生との面接を大変楽しみにしていた。

しかし、いろいろ面接した結果、東大や慶応のような一流大学でも、経済学部の学生というのは、どういうわけか極めて高い確率で馬鹿だということがわかった。

「大学で経済勉強したんだ。とりあえずマネタリーベースとマネーストックの関係を説明して」
「たしかー、マネー・ストックって、貨幣供給量? あー、すいません。思い出せません」
「・・・」

「じゃ、ちょっとブラック・ショールズ・モデル説明してよ」
「あー、そういうのはうちの学部では勉強しないんですよ(だからわかりません)」

こういう学生ばっかりでした。
僕はぜんぜん金融とは関係ないことを大学でやっていたが、それでも金融機関の面接の前にブラック・ショールズ・モデルぐらいは勉強したものだ
週末にがんばって勉強すればいいだけの話なのだ。
なんていうか、みんな危機感がないというか、このままいくとあんたの未来暗いよと、一流大学の学生を面接していていつも思うのだが、確かに暗そうだと生まれてはじめて気がつくのが、大企業の面接に次から次に落とされた時なのだろう。

というわけで、理系と文系だったら、とりあえず就職する段階では、理系の方が圧倒的に有利なのは事実だ。
もちろん文系にも優秀なひとはたくさんいるだろうけど。