世の中には独立・起業本が溢れかえっているし、起業した人たちの成功ストーリーはたくさんある。しかし、ぶっちゃけた話、いい会社のサラリーマンの方が、95%以上の独立・起業した人たちより経済的に豊かだ。それで起業してそこそこうまくいった人も、ある意味で従業員の生活を背負い、そのプレッシャーはなかなか大変だし、サラリーマンなら担当部署に丸投げして終わるようなあらゆるトラブルが自分に降り掛かってくるのである。

それで、僕がオススメするのが副業だ。就業規則に副業禁止と書かれていることがほとんどだろうが、会社の業務に支障が出たり、勤務時間中にせっせと副業に励んでいたり、機密情報を漏らしたりしないかぎりは、副業が解雇理由として日本の裁判所で認められることはない。就業時間後や休暇に何をしようと本人の勝手だ。そもそも論でいえば、副業禁止と堂々と言っていいのは完全に終身雇用を保証している場合だけで、ボーナスを減らしたり、リストラしたりする民間企業が社員に副業禁止を要求するのは全くもって馬鹿げた話だ。確かに副業というのは、どっちつかずで男らしくないし、副業が世界を変えたというような話はとんと聞いたことがない。しかし、多くの人は世界を変えるために生きているわけでも、社会に貢献するために働いているわけでもない。多くの人は、もっといい暮らしをするため、あるいは貯蓄したり、収入源を増やしたりして将来の安心を少しでも得るために働いているのである。

余暇に何をしようが本人の勝手ではあるが、副業の選び方は、やっぱり本業とシナジーがある方が断然いい。僕の場合、金融や経済の本を書いているが、これはまさに休暇に関連分野を幅広く勉強しているということであり、本業への影響も非常にポジティブだ。副業で得られる知識が本業で役立つ、というのはいい副業の第一条件だ。

それでは、今日は副業や、将来の独立のために役立つ本を3冊だけ上げておこう。

1.フリーエージェント社会の到来―「雇われない生き方」は何を変えるか、ダニエル・ピンク(著)、池村千秋(訳)

フリーランスになったり、小規模な会社を作ったりして自由に働くためのバイブル的な本だ。日本ではそれほど売れなかったようだが、実は日本で大量に出版された、会社を辞めて独立しようぜ的な本のほとんどがこの本のパクリだ。まだ読んでいない人はぜひ読もう。

以前の書評

2.フリーランスを代表して 申告と節税について教わってきました。きたみりゅうじ

副業収入があると、確定申告して別に税金を納める必要がある。この本は非常にわかりやすい税金の入門の入門書である。経費がどこまで認められるかとか、税務調査ってどんなものかとか、いろいろぶっちゃけた話が面白い。

3.起業のファイナンス―ベンチャーにとって一番大切なこと、磯崎哲也

この本は、ベンチャーキャピタルから資金を調達したり、将来の上場を目指すための本格的な資本政策に関する本である。だから、ずっとフリーランスや小規模なホーム・オフィスでいい、というなら読む必要がないかもしれないが、将来、会社を大きくしたいというなら読んでおいた方がいいだろう。初期の株主構成や定款などは、後からは取り返しのつかない大きな問題を引き起こす可能性があるからだ。

以前の書評

ひとつ大事なことをいい忘れた。副業する場合、会社の上司や人事に報告して、彼らの安穏としたサラリーマン生活の邪魔をするな。会社組織では、何かを聞いてしまうとなんらかの責任が生じるのだ。だから、副業は黙ってやりなさい。諸君の健闘を祈る。