性欲の科学―なぜ男は「素人」に興奮し、女は「男同士」に萌えるのか、オギ・オーガス、サイ・ガダム、坂東智子(翻訳)
(A Billion Wicked Thoughts: What the Internet Tells Us About Sexual Relationships, Ogi Ogas and Sai Gaddam)

本書は、脳科学者と機会学習の専門家が、主にインターネット上のオンラインポルノの検索ワードや人気のコンテンツ、また女性用のロマンス小説などの膨大なデータを分析して、男女の性欲の違いを解明しようという野心的な科学書である。小さな字で400ページもあり、アメリカの一般向けの専門書にありがちな、冗長な文章で、ややまとまりに欠くが、情報量が膨大で、なかなか面白い本である。

僕にとって、男女の性欲に関しては、実はそれほど新しい知見は得られなかった。ごくありきたりの結論だ。つまり、男は、オツムがイマイチで、いつもボスに怒られてばかりのウェイトレスが、なぜか若くて美人で、セックスのことで頭がいっぱいで、そんな可愛い女子があなたと突然のようにセックスをする、というような有り得ないシチュエーションに興奮するのである。そして、女は、ハンサムでお金持ちで、女も金持ちなら、その相手はなおいっそう金持ちで、支配的なポジションについていて、他の人には酷いことをするのに、なぜかあなたには優しくて、いろいろな精神的な駆け引きがあったりするものの、最終的に「一目見た時から君のことを愛していた」と言って、あなただけを一生愛する、というようなシチュエーションが大好きなのである。

この本で、僕が面白かったのは、実はゲイとレズビアンの性欲に関する分析だ。ゲイは男なのに女の心を持ってしまった人間だと思われているが、実は違うのだ。ゲイは男の性欲がむしろ純化しているのだ。つまり、ほとんどの男は、女に対してしか性欲が起こらないのだけれど、それと同じ性欲が男に対して、あるいは男に対してだけ起こる、と考えた方がより正確なのだ。

男が、アダルトビデオのような世界を実現しようと思えば、それはそれは大変な力が必要だけど、ゲイ同士は、アダルトビデオの世界が毎日実現しているのだ。だから、ゲイ専用のSNSなどを使って、ゲイの人は毎日毎日違う相手とセックスをしている。

逆に、レズビアンの方も、女の性欲が純化している。だから、同じ相手と愛し合いながら末永く暮らしていたりする。そして養子などをもらい、子どもを育てていることも多い。

それにしても、人間というのは、男、女、ゲイ、レズビアン、に関わらず、良くも悪くも性欲に突き動かされているのだ。僕のメルマガでは、これからも科学的に恋愛を語って行きたいと思う。