金曜日の米雇用統計が下振れしたために、FRB(アメリカの中央銀行、FEDともいう)がQE3に踏み切るのかどうかに、市場関係者の注目が集まっています。ところで、ゼロ金利政策とか量的緩和とか、ニュースなどでよく聞きますが、社会人や経済系の学生など、知らないと恥ずかしい、いまさら人に聞けない言葉ですね。ということで、今日は、ゼロ金利政策と量的緩和というのを簡単に説明しましょう。

まずは、ゼロ金利政策から。
中央銀行は、景気が悪くなる(世の中のカネの回り方が悪くなる)と、金利を引き下げます。金利を引き下げると、人々が金を借りやすくなって、借金して家を買ったり、新規事業をはじめたりする(ことになっている)ので、金回りが良くなって景気が改善するからです。

ちなみに中央銀行は、金融市場の中で一プレイヤーとして、現金を含む金融商品を買ったり、売ったり、貸したり、借りたりして、金利を誘導します。このときに直接的に市場に介入して誘導するのは、ふつうは大手金融機関同士が無担保で一日だけの金の貸し借りをする金融市場だけです。なぜなら、いろいろな金融商品のさまざまな満期の金利は、市場原理の中で様々な経済のファンダメンタルズを織り込みながら自由に決まっていくのがいいので、中央銀行が操作するのは大本の部分だけにしたいからです。
(くわしくは拙著『日本人がグローバル資本主義を生き抜くための経済学入門』をお読みください。)

それでゼロ金利政策というのは、こうやって金利を引き下げていって、景気が上向けばいいのですが、一向に景気が下げ止まらないと、金利はとうとうほとんどゼロになってしまいます。つまり弾を使い果たして、お手上げ状態です。お手上げ状態というと、とてもカッコ悪いので、これを「ゼロ金利政策」ということにしたわけです。

日本は土地バブルがはじけてから、失われた10年、そして20年を経験して、ゼロ金利政策をやっていました。こうした日本の状況を見て、欧米の偉い経済学者があーでもない、こーでもない、と偉そうに講釈を垂れていたのですが、リーマン・ショックで世界中がゼロ金利政策に突入していったわけです。ざまぁw

各国の政策金利の推移
(『外資系金融の終わり』P.20より抜粋)

それでお手上げ、と言っていると、また偉そうな学者とか、景気が悪いのを誰かのせいにしたい政治家がうるさいので、中央銀行がはじめたのが量的緩和というやつです。中央銀行は、経済の状況に合わせて、金利を上げたり、下げたりするのが仕事ですが、今度はとにかく民間の金融機関からさまざまな金融商品を買ったり、担保を取って金を貸し出したりして、金融システムにとにかく無理やり現金を注入していこうとしたわけです。中央銀行が金を刷って、その金でいろいろな金融商品を買ったりするのです。今度は中央銀行のバランスシートを拡大することにより景気をよくしようというわけです。

量的緩和ですが、これも効くのか効かないのか、どんな副作用があるのかで、学者や政策担当者の間で喧々諤々の議論があるわけです。現在、FRBのバランスシートは膨張を続けて、3兆ドル近くにふくれあがっています。とはいえ、GDP比で見ると、実は日銀のバランスシートのほうが大きいのですけどね。

FRBのバランスシートの拡張
(『外資系金融の終わり』P.21より抜粋)

さて、今週号のメルマガ『週刊金融日記』では、FRBのQE3について説明しましょう。

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