最近よく思うのだが、本当にインターネットがゲームのルールを変えてしまった。今までは、いい学校を出て、いい会社や官庁に入り、人望があり、優れたリーダーシップのある人が偉くなり、社会の中で報われたと思う。

しかし、最近では、こうしたリーダーの権威はどんどん落ちていると思う。民主党の鳩山元首相も、菅元首相も、マスコミで散々叩かれ、国民に馬鹿にされ、辞めて行った。今でも、まったく尊敬されていない。

2006年に小泉元首相が辞めてからというもの、日本では首相が7回変わった。これは何も、日本にはしっかりとしたリーダーがいないから、というわけではなく、世界的にリーダーなんていないのだ。世界の銀行の経営者は、マスコミに叩かれ、世間から嫌われ、全く尊敬されていない。世界の政治家も、企業の経営者も、ちょっとしたことでマスコミにボロ糞に叩かれて、すぐに辞めていく。

そこまで偉い人たちではなくても、身近なリーダーたちも浮かばれていないように思える。企業では、アホな上司と、自分勝手な部下の板挟みになり、安い給料で、毎日サービス残業である。リーダーシップを発揮して合コンを開けば、ただ来ただけの人たちに、今日の子はイマイチだったとか、レストランが美味しくなかっただのと、文句を言われるのだ。

それで、最近、若くして金持ちになるような人たちというのは、こういう見るからに優秀な人たちとは全く違う人種だ。金融の世界だと、20代で億単位の金を貰うような人たちは、変なオタクが多い。数学オリンピックに優勝したとかで、全く社交性がないのだが、金融の知識も全くないまま、スカウトされ、投資銀行やヘッジファンドに入社して、朝から晩までパソコンの前でプログラムを書いていたりする。それでたまたま儲かるシステムを開発すると、途端に、それを嗅ぎつけたヘッジファンドから億単位のオファーが来るので、会社も転職させないために億単位の金を払ったりする。

シリコンバレーの華やかしいベンチャーも、大体が社交性のないオタクな若者が、ひとり部屋に篭って作っていたシステムがたまたま当たって、それでそれに目をつけた大人のベンチャー・キャピタルなんかが投資して、当のオタクは、いやいや周りに流されて、いやいや会社としての形を整えて、世界的な経営者になってしまったりする。

日本でも、アフィリエイトなどのネット収入だけで、何千万円も稼げるようになってしまった人はちらほらいるし、就職もできなかったけど、PCの前に毎日座って、トレーディングで億単位の金を稼いでいる、オタクの個人トレーダーはいくらでもいる。

そういえば、この前、25%も寺銭を取る日本の競馬で、コンスタントに儲け続けるシステムを独自開発して、数億円を儲けて脱税で起訴されてしまってしまった人(競馬の儲けの税の解釈について裁判で係争中)も、見た目はものすごく地味で内向的なふつうのサラリーマンだったそうだ

ポーカーというのは日本では流行っていないが、世界で最もポピュラーなギャンブルなのだけれど、日本人ではじめて世界の大会で優勝して5000万円貰ったという人も、東大の数学科地球物理学科を途中でドロップ・アウト10年かけて卒業して、日本では麻雀で生活していたという(*)、いかにも社会不適合のオタクだ

もうゲームのやり方が変わったのだ。金も情報もインターネットの中を行き交う時代は、何らかの特殊能力がたまたま秀でた人たちが、PCの前に座っていて、ある日突然金持ちになるのだよ。一方で、昔ながらの優秀な人たちは、会社でも官庁でも、合コンでも、浮かばれない役割を演じているわけなんだ。

良くも悪くも、これが新しい世界のゲームのルールで、今まで世間から虐げられていたオタクは、ネットの中では、アメフト部のキャプテンみたいな人たちを圧倒的な力でボコボコにしてしまうわけだ。個人がネットに直接つながり、組織をまとめるリーダーなんて必要なくなったのだ。必要なところもあるけど、そういうところで生産されるものはコモディティばかりで、価格競争が大変で全く浮かばれない。

そしてネットは世界そのものなのだ。

(*)本エントリーをアップした後、本人から指摘があり修正。また、麻雀をしていたのが大学卒業に10年かかった主な理由だが、塾講師で生活していたとのこと。