うちの会社の経理をクラウド化している。クラウド化というと、何やら大げさだが、要するに、最近流行りはじめた「クラウド会計」を導入しているということだ。

個人事業と小さな会社の経理と節税はこの4冊だけで大丈夫、金融日記、2015年10月26日
週刊金融日記 第185号 クラウド会計システムを使った経理自動化 その1、他

自分のPCのハードディスクにプログラムをインストールしてデータをセーブしていくのではなく、インターネット上のサーバーにあるプログラムをブラウザで操作し、やはりインターネット上に存在するサーバーにデータが蓄積されていく。こうしたインターネット上のふわふわしたものにアクセスするので、クラウドと呼ばれている。Gmailやネットバンキングは、クラウドの代表的なものなので、いまさら何も新しいものではないだろう。

ブラウズで操作するクラウドよりも、当然だが、インストールして使うプログラムのほうが速いし、ブラウザの制約がないのでいろいろなことができる。しかし、クラウドは、次のように素晴らしい特徴を持っている。

1.インストール作業が不要
2.バージョンアップを自分でやる必要がない
3.ブラウザの動く環境ならどこからでも使える
(1〜3は、システムベンダーにとってはサポートの負担が大幅に減ることになる)
4.複数のユーザーでデータの共有が簡単にできる
5.データが高いセキュリティで半永久的に守られる
(家のハードディスクにあるデータは故障や誤操作で頻繁に消える)

これらのクラウドの特徴は、経営者、経理担当者、税理士(会計士)などでの共同作業が必要な、中小企業の経理業務にとっては極めて有用だ。

現在、クラウド会計の分野は、シェアがトップのfreeeマネーフォワードが運営するMFクラウド会計がしのぎを削っている。

導入に関してはメルマガを読んでもらいたいのだが、クラウド会計で、経理がどれほど変わるのか簡単に紹介しよう。

クレジットカードで買い物すると、カード会社のウェブに情報が上がり、それをクラウド会計システムが読み込む。この読み込みは、驚くほど正確だ。こうした情報を、ブラウザで仕訳していくだけなのだ。法人用の銀行口座も登録しておいて、クレジットカード会社への支払いや、振り込まれる売上も、同様にブラウザでポチポチ仕訳するだけだ。

MFクラウド自動仕訳

そして、一度仕訳してしまえば、あとはクラウドが同じ取引なら同じように処理してくれる。モバイルSuicaのデータも読み取れるので、クレジットカードとSuicaで支払いを済ませば、記帳業務がほぼ全自動になる。仕訳も、一度やってしまえば、機械がやり方を覚えるので、ほとんどがボタンを押すだけだ。

こうした有料のクラウド会計システムを使わなくても、[クレジットカードでの支払い]→[クラウドにデータが載る]→[仕訳]の作業がいかにサクサクできるかは、無料のクラウド家計簿であるマネーフォワードでも体験できる。

 マネーフォワード


今週号のメルマガでは、クラウド会計の導入について解説する予定だ。こうした経理の自動化に、僕はかなり可能性を感じている。というのも、自動化で難しいところは、仕訳の部分だが、これはクラウドに蓄積されたビッグデータを使って、標準的な機械学習のプログラムを回せば、将来的には、非常に正確になることが容易に想像できるからだ。人工知能によって、税理士顔負けにクラウド会計が賢くなるのは、そう遠い将来ではないかもしれない。

会計分野で、何やら破壊的イノベーションが起こりそうな予感がしている。こうしたクラウド会計がビッグデータに鍛えられ、より洗練されたものになれば、企業は、経理スタッフを削減でき、税理士や会計士に支払う報酬を大幅に下げることが可能になるかもしれない。そして、税理士や会計士は、単調な記帳業務から開放され、より高度な財務戦略に集中することが可能となる。それは、とても素晴らしいことではないか。