TOPIX: 1808.78, -2.6% (1w), +1.7% (YTD)
Nikkei225: 27663.39, -3.4% (1w), +3.8% (YTD)
S&P500: 3714.24, -3.3% (1w), +0.3% (YTD)
USD/JPY: 104.72, +0.9% (1w), +1.4% (YTD)
EUR/JPY: 127.06, +0.6% (1w), +0.7% (YTD)
Oil(WTI Futures): 52.2, -0.1% (1w), +7.8% (YTD)

 さて、ゲームストップ株である。昨年、わずか4ドルほどで取引されていたこのゲーム小売店の株価は瞬間最大的に500ドルを突破した。すでに、ことの経緯はいろいろな媒体に記事が書かれているので、それらを参照されたい。当然だが、ここまでの過程で、個人投資家から数多くの億万長者が生まれ、いくつかのヘッジファンドが数千億円単位の損失を出している。残念ながら、筆者がこの「祭り」に注目しはじめたのは、株価が上方に「ワープ」し、市場参加者がザワザワしはじめてからであり、億万長者になるチケットを買えたわけではない。

●ロビンフッダーがヘッジファンドを締め上げた!?
https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/20210127-00359491-zaifxf-fx

●ゲームストップ暴騰は株価操作か、SECの判断は?
https://jp.wsj.com/articles/SB12491042563126453483504587249851597365954

●米株市場にも分断の影 個人SNSで共闘、ファンドを標的 規制論再燃も
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO68694660R30C21A1MM8000/

 正直、最初にこのゲームストップ株のニュースを見たとき、あまりいい印象を持たなかった。よくある、ネットのインフルエンサーが自分のファンを食い物にするいつものやつだと思ったからだ。女の人の顔に塗りたくる原価がほぼゼロの変なクリームをインスタグラマーがファンに買わせて広告収入を得るみたいに、投資系のインフルエンサーがクソ株やクソ仮想通貨を買ってからネットで買い煽ってファンに高値でつかませる。そんな下品な話だと思ったのだ。しかし、詳細に調べていくうちに、印象が変わることになる。これは単なるネット民による買い煽りではなく、はるかにスケールの大きい事件であり、それがいまも進行中なのである……。

 ことの発端は、昨年、メルビンキャピタルという大手ヘッジファンドが、ゲームストップ株を大量にショートしているという情報が流れたことだ。ゲームストップは、日本でいうゲオみたいな会社で、アメリカでゲームを売る小売店である。コロナ禍をもろに喰らい、業績はボロボロ。ネットフリックス社が、全米に展開していたレンタルビデオ店のブロックバスターを駆逐してしまったように、ゲームもオンラインでのダウンロードが販路の中心になり、ゲームストップもいずれなくなっていく業態だろう、と予想されていた。いくつかのヘッジファンドがショートを仕掛け、また、理路整然とこの会社の先行きは暗いと隠すこともなくポジショントークをしたのだった。そして、これが、とんでもない損失に結びついていくことになる……。

●ゲームストップ急騰劇、脅迫や中傷渦巻く市場の闇
https://jp.wsj.com/articles/SB12491042563126453483504587247842431309120

 信じられないほどの金を持っているウォール街の連中が街のゲーム屋さんの株の空売りで儲けようとしている。これは、子供時代に、ゲームストップで買ってきたゲームを何よりも楽しみにしていたネットのゲーム民たちの反感を買った。そして、彼らはディスコードと呼ばれる、ゲーマー向けのチャットアプリに集結し、虎視眈々とこうしたヘッジファンドを倒すための秘密の作戦会議を重ねていたのだ。
 空売りポジションは、いずれ必ず買い戻さないといけない。そして、株を買うだけなら、損失は最大でもその株の株価がゼロになることだが、空売りの損失は理論上は無限大になる。つまり、ネットに集まってきたデイトレーダーたちが、みんなで買って、買って、買いまくり、株価を上げれば、空売りしているヘッジファンドの損失は、どこまでも大きくなる。そして、彼らには、ロビンフッドと呼ばれる取引アプリで、オプションなどのさらにレバレッジをかけられる武器に即座にアクセスできたのだ。

●週刊金融日記 第283号 ショート戦略を理解する、他
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52118110.html

●週刊金融日記 第436号 続・コロナバブルに乗れなかった人たちの反省会 ロビンフッドに熱狂する米国個人投資家たち、他
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52177853.html

 ほどなくして、ゲームファンの弱小投資家たちが集まり、団結し、お互いに裏切ることなくゲームストップ株を買い支え続けるための作戦司令部は、レディットと呼ばれる、アメリカの2チャンネルのような掲示板のウォールストリートベットと呼ばれるスレッドに設置された。このスレッドは、いまやネットの住民だけでなく、永久に凍結されてしまい歴史に葬りさられたかつてのトランプのツイッターアカウントのように、世界中の市場参加者が注目するスレッドとなる。
 筆者はウォールストリートベットのログを見ていたのだが、まさに熱狂に包まれていた。初期から、ゲームストップ株やそのオプションを買い続け、一度も売らなかったリーダー格の人たちは、すでに数十億円単位の金をわずかな期間でつかんでおり、さながら、彼らは悪のヘッジファンドを倒すための勇敢な戦士たちのように崇められている。

 彼らレディット民たちの勇敢な買い煽りで、数千億円規模の損失を出したいくつかのヘッジファンドは降伏宣言を出すことになる。もうすでにショートポジションを手仕舞った、と。そして、破綻寸前だった冒頭のメルビンキャピタルには、世界最高峰のヘッジファンドのひとつであるシタデル(Citadel)のケネス・グリフィンなどが3000億円規模の緊急資金提供をして、破綻を免れている。
 そして、このシタデルこそが、ロビンフッドのアプリで、オプションのマーケットメイクをしているのだ。つまり、個人投資家が買っているゲームストップ株のコールオプションを売っているのは、背後にいるシタデルなどのヘッジファンドなのである。ケネス・グリフィンは、天文学的な金持ちであり、まるで子供がゲームストップでテレビゲームを買うように、100億円単位の美術品をポンポン買うことで知られている人物だ。
 しかし、ちょっと考えると、本当にショートポジションを閉じたのだろうか、と疑問に思えてくる。本当に閉じたとしたら、わざわざそんなことを発表するだろうか。実際には、まだ、ショートポジションを抱えているのではないか、とレディットに集うトレーダーたちは確信していて、ショートスクイーズの本番はこれからだと仲間たちに結束を呼びかけている。ゲームストップ株戦争を仕掛けた反乱軍は、あとからやってきた人たちにはめ込んで逃げるのではなく、巨大ヘッジファンドをショートスクイーズで破綻させ、そこに最高値で買い取らせることでこの戦争に勝利しようとしているのだ。彼らには彼らの正義と大義名分があるのだ。

★さまざまなデータが、まだ巨大なショートポジションが残っていることを示唆しているようだ。

★28日木曜に、ロビンフッドが突然のゲームストップ株の新規買い注文を停止させるという前代未聞なことが起き、株価は500ドルから一気に120ドルまで下落するが、このようなアンフェア(彼らの言い分)なことでも、最後まで戦おう、と結束を呼びかけるレディット民。そして、再び株価は120ドルから400ドルまで切り返すのだった……。巨大ヘッジファンドは再び数千億円単位の金を失うことに。

 今週のメルマガではこのゲームストップ株戦争の詳細を解説し、その市場への影響などを考えることにする。

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日本株
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移
出所: 日経新聞社

サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス(2021/1/22-2021/1/29)
サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス
出所: 東証、日経新聞社、セクター指数はTOPIX17業種

個別銘柄の週間パフォーマンス(2021/1/22-2021/1/29)
サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス
出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス

FX
直近1年のドル円とユーロ円の推移
直近1年のドル円とユーロ円の推移
出所: セントラル短資

イールドカーブ(2021/1/29)
イールドカーブ
出所: Bloomberg.com

主要通貨の週間パフォーマンス(2021/1/22-2021/1/29)
主要通貨の週間パフォーマンス
出所: セントラル短資

外国株とコモディティ
直近1年のS&P500と原油価格(WTI原油先物)の推移[USD]
直近1年のS&P500と原油価格(WTI原油先物)の推移[USD]
出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com

地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD](2021/1/22-2021/1/29)
地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]
出所: iShares: MSCI Japan (EWJ), MSCI Kokusai (TOK)、MSCI Core Europe (IEUR), MSCI All Country Asia Pacific ex Japan (AAXJ), MSCI Emerging Markets (EEM), GLOBAL REIT ETF (REET). Bloomberg.com: Oil WTI Futures (CL1), Gold Futures (GC1)

今週のマーケット・イベント
2月1日(月)
米12月建設支出
米1月ISM製造業景気指数
ユーロ圏1月製造業PMI
中国1月製造業PMI
決算:任天堂、みずほ、京セラ、塩野義、小野薬、ローム、小林製薬、大ガス、JAL、あおぞら、他

2月2日(火)
日1月マネタリーベース
ユーロ圏10-12月GDP(速報)
決算:デンソー、三井住友、三菱電、パナソニック、米Amazon、米Alphabet、米Pfizer、米Exxonmobil、他

2月3日(水)
米1月ADP全米雇用リポート
米1月ISM非製造業指数
ユーロ圏1月非製造業PMI
ユーロ圏1月HICP
決算:ソニー、三菱商、花王、三井物、ZHD、野村、丸紅、住友電、三菱ケミ、日清食、スクエニ、ブラザー、ハウス食、カゴメ、双日、松屋、他

2月4日(木)
米12月製造業受注
決算:中外薬、三菱UFJ、ソフトバンク、武田、伊藤忠、JT、NTTデータ、住友商、協和キリン、ヤマハ、三菱重、コナミ、他

2月5日(金)
日12月家計調査
日12月景気動向指数
米1月雇用統計
米12月貿易収支
決算:NTT、スズキ、セコム、三井不、SUBARU、日本製鉄、島津製、日産化、阪急阪神、三浦工、LIXIL、ゼンショー、他

2月6日(土)

2月7日(日)

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