TOPIX: 2015.45, +4.5% (1w), +13.3% (YTD)
Nikkei225: 29128.11, +5.4% (1w), +9.3% (YTD)
S&P500: 4535.43, +0.6% (1w), +22.5% (YTD)
USD/JPY: 109.74, -0.1% (1w), +6.2% (YTD)
EUR/JPY: 130.32, +0.6% (1w), +3.3% (YTD)
Oil(WTI Futures): 69.29, +0.8% (1w), +43.1% (YTD)

 GoToトラベル決行、緊急事態宣言前倒し解除、オリンピック開催強行など、菅首相の国民の命をチップにした大胆な賭けは失敗に終わった。菅首相の思惑を嘲り笑うかのようにデルタ株が感染爆発して日本を医療崩壊が襲った。内閣支持率は低迷を続け、衆議院選挙を控えるボーダーライン上の議員たちは、派閥の長老たちに菅さんが党の顔では落選してしまう、と泣きついた。
 こうしたボーダーライン上の議員たちの票を集めて総裁選に勝てると踏んだ岸田氏が、さっそく二階・菅に反旗を翻し、狼煙を上げる。菅首相は総裁選でこれを受けて立てば負けることが濃厚だと悟ると、麻生派の河野太郎氏や国民的人気のある小泉進次郎氏を要職に就ける人事を発表し9月解散に踏み切り、総裁選をやらずに衆議院選挙に向かう奇襲を仕掛ける作戦に出る。しかし、この奇襲の計画が外部に漏れてしまい、党内からは心中するつもりか、といっそう菅離れが進んでしまった。河野氏の親分である麻生氏に最後は三くだり半をつきつけられ、菅首相は万事休す。

★菅首相のギャンブルは失敗した。

●「お前と一緒に沈められねえだろ」退陣表明前夜、“2A”から首相に三くだり半
https://www.nishinippon.co.jp/item/n/795598/

●週刊金融日記 第486号 人間の動作の信頼尺度で読み解く菅首相が不人気の理由
http://blog.livedoor.jp/kazu_fujisawa/archives/52192986.html

 さて、誰が総裁選挙に勝ち次期首相になるのだろうか。岸田文雄前政調会長、河野太郎行革相、高市早苗前総務相、石破茂元幹事長の4人の誰かになるわけだが、石破茂元幹事長は安倍前首相に嫌われており、政策もコロナはただの風邪派であり、ほぼ可能性はない。すると他の3人の中で誰かということになる。

★派閥の論理から言っても勝つ可能性はほぼゼロだが、石破茂元幹事長は典型的なコロナはただの風邪派でもあり、これではコロナ選挙はとうてい戦えない。

 自民党の党内政治は3人の長老たちの派閥のパワーバランスで決まることになる。すなわち、二階、安倍、麻生の3人の長老であり、彼らの利害を読み解けば、自ずと誰が総理になるのかは見えてくる。筆者はずばり高市早苗が次期首相になると予想する。日本初の女性宰相となるわけだ。

●自民党の人物相関図
自民党人物相関図
出所: https://www.sponichi.co.jp/society/news/2021/09/04/kiji/20210904s00042000051000c.html

 まず誰が総理になれば内閣支持率が最も上がるのか、という点では国民的人気がある河野太郎首相で間違いない。次の衆議院選挙で生き死にがかかっている当落線上の議員たちは、河野氏が総裁選に立候補すれば彼に投票するだろう。総裁選は無記名投票なので、派閥の長老の意向を気にする必要はない。しかし、筆者は河野氏は総裁選挙に出ない、と予想する。それは長老のひとりである麻生太郎は80歳であり、ここで河野太郎が総理になって活躍してしまっては、派閥の中での世代交代が一気に進み、自分の立場がなくなってしまう恐れがあるためだ。さりとて、河野太郎はいずれは麻生派を背負って立つ人物であり、コロナ禍中の短命内閣になり、ここで捨て石にしてしまうのも困るのである。河野内閣が上手くいってもダメ、ポシャってもダメで、このタイミングで麻生派のエースを投入するわけにはいかないのだ。麻生氏は河野氏に立候補するのを辞めるよう進言することになる。
 岸田は勢い余って、森友問題で安倍前総理を批判する発言をしてしまい安倍に嫌われている。また、安倍晋三はコロナ禍が落ち着いたタイミングで、また首相に返り咲くことも狙っており、菅内閣がそうであったように、それまでは中継ぎ程度の軽い内閣が好ましい。長老の安倍氏の利害から見ても、岸田と河野はないのである。また、岸田は、二階外しにも動いたわけで、二階にも嫌われている。
 このように考えると、長老たちにとって、落選を心配するボーダーライン上の議員たちを安心させるぐらい適度に人気が出るが、コロナ禍に飲まれて捨て石となってしまっても問題ない人物としては、もはや女宰相として話題にことかかない高市早苗しか残らないわけである。

 なお、高市早苗氏は立候補が報道されると、Twitterのネトウヨ界隈が沸き立った。つまり、中国や韓国のことになると妙にいきり立つそっち系の人たちに人気の人物である。さらに、経済政策は財政拡張派で、これもネットのMMT(=現代貨幣理論、簡単に言うと先進国はどれだけお金を刷ってもいいというおめでたい仮説)界隈の人たちが高市推しで沸き立っている。
 筆者は多様性を尊重し世界の繁栄を願うグローバルシティズンであり、偏狭な国家主義など時代錯誤も甚だしい最も忌み嫌うものである。また、MMTなど議論にも値しない下らない妄想である。しかし、それでも総理になるのは高市早苗であると予想する。
 そして、高市内閣もまた菅内閣と同様にコロナ医療崩壊により短命に終わることになろう。幸いなことに、短命ゆえに、安倍ガールズのひとりである彼女の政治信条や経済政策はほとんど何ら実現されないだろう。

●自民・岸田氏、森友問題「さらなる説明を」TBSのBS番組で
https://www.asahi.com/articles/ASP927R6ZP92UTFK03V.html

●安倍前首相、高市氏を支援の意向 自民総裁選
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA040UN0U1A900C2000000/

●自民党総裁選、9月17日告示・29日投開票 党員投票も実施へ
https://jp.reuters.com/article/ldp26aug-idJPKBN2FR07G

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日本株
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移
直近1年の日経平均株価とインプライド・ボラティリティの推移
出所: 日経新聞社

サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス(2021/08/27-2021/09/03)
サイズ/スタイル/セクター別の週間パフォーマンス
出所: 東証、日経新聞社、セクター指数はTOPIX17業種

個別銘柄の週間パフォーマンス(2021/08/27-2021/09/03)
個別銘柄の週間パフォーマンス
出所: 会社四季報、Yahoo!ファイナンス

直近1年のドル円とユーロ円の推移
直近1年のドル円とユーロ円の推移
出所: セントラル短資

イールドカーブ(2021/09/03)
イールドカーブ
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主要通貨の週間パフォーマンス(2021/08/27-2021/09/03)
主要通貨の週間パフォーマンス
出所: セントラル短資

外国株とコモディティ
外国株とコモディティ
出所: Yahoo!ファイナンス、Bloomberg.com

地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD](2021/08/27-2021/09/03)
地域別株価指数とコモディティの週間パフォーマンス[USD]
出所: iShares: MSCI Japan (EWJ), MSCI Kokusai (TOK)、MSCI Core Europe (IEUR), MSCI All Country Asia Pacific ex Japan (AAXJ), MSCI Emerging Markets (EEM), GLOBAL REIT ETF (REET). Bloomberg.com: Oil WTI Futures (CL1), Gold Futures (GC1)

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