2006年02月

2006年02月27日

ごあいさつ

例年にない大雪もようやく落ち着き、春の兆しが微かに感じられる頃となりました。
平素から格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。
この度私は父から家業を引き継ぎ、小松クラフトスペースの代表に就任いたしました。
思えば学生時代、大学で考古学を学ぶかたわら父と共にアジアの国々をまわり、そこで染織などの手仕事、民族の文化が生み出した美術工芸に深く魅了されたのが家業に携わる最初のきっかけでした。
こうした世界の工芸品の収集に没頭する中で、これまで何気なく目にしていた着物や、日本の職人が生み出す手工芸の素晴らしさを次第に再認識させられるようになりました。
以来、紆余曲折を経ながらも今日に至ることができたのは、ひとえに日頃から小松をご理解、ご支援、そして育てていただいた皆様のお陰です。
近年、手工芸の生産における効率主義、量産化は日本のみならず世界各地においても多く目にするようになりました。こうした中で手仕事の技を伝え、優れた担い手を育てていくことは、作家や職人の方々だけでなく、私どもにも掛かる責務のように感じます。
今後も目を磨き、足をフル稼働させて、様々な作り手の技と心が結晶した美術工芸を皆様にご紹介していくことに努めていきます。
一層のご支援、ご指導を賜りますよう、お願い申し上げます。

平成十八年 二月 吉日
小松クラフトスペース代表・小松和彦 拝

追記;昨日の『私のコレクション展』初日にいらしていただいた多くのお客様から励ましや応援のお言葉を頂き、またお電話やお手紙でも同様のメッセージをいただき、本当に感謝しております。皆様のご期待にそえるよう、今後も頑張りますのでよろしくお願いいたします。

「隠居仕事入門」
激動の荒波かき分け三十余年、どうにか今あるのも皆様のお引き立てと感謝。
手工芸の宝庫モンスーン・アジアを巡って十余年。
各地で究極の手工芸に出会うこと数々。
ミャンマーの蓮糸織り、タイ・ゴールデントライアングルの麻などなど。
貧しいアジアのボランティアと古代布保存を最後の仕事と定め隠居することに決意。
ゆっくり焦らずアジアで隠居仕事を覚悟。
幸いにして息子が三代目として家業継続。
私同様、三代目へ皆様方のご指導ご鞭撻のほど節にお願い賜りたくお願い申し上げます。

前店主・小松正雄 拝

kazukuti at 12:30|Permalink イベント | 

2006年02月13日

私のコレクション展

b68ed0e1.jpg以前にも少し触れましたが次回催事は、私の代表就任後初となる会です(タイトルを少々変更いたしました)。この企画を思いついたのは父で、当初恥ずかしいけれど催事の題材に使えるんだったらいいかなと思い軽く受諾しましたが、いざDMなどを作る段階になると、なんだか履歴書の自己アピールを書いているような感じで、だんだんとむず痒くなってきました。普段の催事では、作家さんや作品をどうやってうまく伝えられるかということを考えますが、いざ自分こととなるとこれが結構頭を悩ますもので・・。
まずは「今後ともよろしくお願いします」という意味を込めて開催いたします。ぜひ足を運んでいただけたら幸いです。
HPには美術骨董品の写真を中心に載せましたが、やはり当店の専門は布なのでテキスタイルも出品いたします。昨年ミャンマー、ラオスで収集した生地を使った巻きスカート(写真)や日本の紬など。詳しくは後日またUPいたします。
今月の裏ページ表紙は先日ロンボク島で撮った写真から。夕暮れの頃、手漕ぎボートで沖に出て行く漁師さんたち。なんとなく私自身の出発の意味も込めまして表紙に使いました。
先月ほぼ同時に「GREE」と「MIXI」のお誘いを受けたので、一応どちらにも籍をおきプロフィール等は書いてみたものの、後はそれっきり。ここの更新もやっとでは、そちらはしばらくお預けになりそうです。二兎を追う者はなんとやら・・。
どうもネットを繋いでしまうと意味もなく延々と時間を食いつぶすタチなので、仕事以外の時はPCから離れて読書やDVDを観るなどの時間を増やしたいと思っているところです。

kazukuti at 15:27|PermalinkComments(1) 店主の日常 | イベント

2006年02月09日

最近気になること

ecbd8a2f.jpg最近のニュースでドキッとしたことが一つ。それは例の「ムハンマドの風刺画」が巻き起こしている暴動の件です。奇しくも前回のブログでムスリム(イスラム教徒)の風習やコーランのことなどに触れましたが、今後はイスラム教に関することであればちょっとした記述でもかなり気を使わなければと恐々としております。しかし問題はこの一件で「ムスリムは怖い」という印象を強く定着させてしまったことです。
仕事柄海外でもムスリムの人たちと会う機会は多く、仲の良い友人もいます。ムスリムの友人たちは何気に義理堅い人たちが多く、尊敬することも多々あります。先日赴いたインドネシアなどは人口でいえば世界最大のムスリム国であり、ヒンドゥーが多いバリ島以外では出会う人々のほとんどがムスリム。しかし最近テレビで映し出されている暴動のような過激さは彼らの中にはほとんど感じられません。
別に怖くてヨイショしているわけではない!”と最初に断っておきますが、私はイスラム文化が残した美術工芸が好きです。完全にデザイン化された装飾、極めて数学的に作ればこうなると言わんばかりの幾何学造形。ヨーロッパが十字軍以降に残した文化は殆どイスラムの模倣かその応用だという記述を読んだ事がありますが、まさにその通りかもしれないと工芸に関していうと感じさせられます。余談ですがマイ・フェイバリットなミュージシャンであるパキスタンの故ヌスラット・ファテ・アリ・ハーンはイスラムの一派スーフィーの音楽家で常日頃聴きまくっております。ヌスラットについてはいづれまた書こうかと。
そんなこんなで、ムスリムの文化に対する憧れがあるだけに、今回の事件は非常に憂慮すべきことだと感じます。ムスリムと非ムスリムの間に一層大きな溝が開いてしまったら、それに余計な政治問題等も絡んで深刻な問題になるのではと(ヨーロッパなどではとっくに険悪なことになっているようですが)。この暴動の背景には差別や貧困などに対する不満の受け皿が原理主義や反アメリカ主義に流れているからだという指摘があります。たしかにアメリカの「自分の言うことを聞かない国は力で屈従させる」という政策はムスリムならずとも納得がいくものではありませんが(日本のように隣にもっと恐ろしい国を控えている国民はそれに従わざるをえない状況なのかも知れませんけれども)。
ネットの掲示板などを見ても、最近は異なる国や文化の人間同士で揶揄しあうことが当たり前みたいになっている気がします。それを政治やメディアが煽っているような風潮もあり、そんなのに踊らされていたら世の中は一体どうなるのだろうと不安になってきます。

kazukuti at 02:06|PermalinkComments(0) 店主の日常 

2006年02月02日

スイートルーム

389c3007.jpg先日のインドネシア出張で見てきたことなど何回かにわたって書きたいと思います。
今回は生まれて初めて「スイートルーム」に泊まったというお話。

ジャワ北岸のプカロンガンはバティック(ジャワ更紗)の生産で有名な街。ここでは安いプリント製から色鮮やかな手描きの高級品までさまざまなバティックが作られていますが、『バティック屋はなぜ潰れないのか』という本が書けそうなくらい、たくさんの工房やお店が街のいたる所にあります。
ここは「ムスリムシティー」と呼ばれるほどイスラム教の影響が非常に強い街なので、酒類を置く街のレストランはほぼ皆無。唯一郊外にある一軒のホテルだけがビールを置いているので、旅先での晩酌を欠かせない酒飲みは迷わずそこに宿泊を決めました。
プカロンガンに来るのは三度目ですが、そのホテルに泊まるのは今回が初めて。フロントで「とりあえずホットシャワーがある部屋を」と言ったら「それではスイートルームがいいです」とのこと。このホテル、全部で5クラスの部屋があって、勿論その最高がスイート。料金を聞いてみたら日本円で3000円ちょっとだというので、その値段でスイートに泊まれるのならと喜んでOKしたのですが、部屋に入って見た時の印象「これでスイートかい?」。日本のスイートルームのイメージとはだいぶ違うなぁ・・。まあその値段ですからしょうがないですね。
実はこの時初めて、スイートルームの「スイート」の綴りはSweetじゃなくてSuiteであることを知りました。お恥ずかしい(--:)。
こんな街なので夜は娯楽もなくひっそり。スイートルームでもすることがないのでフロントでマッサージを頼んだら、盲目の按摩さんが登場。それがとても素晴らしく、プロフェッショナルな手さばきには唸らされました。

今回この街で驚いたことが一つ。プカロンガンに行く前日、以前から取引のある工房の社長に電話を入れて行くことを伝えたら、「ちょっと忙しいので会えないかもしれない」とのこと。で、行ってみたらやはり不在。そこにいた従業員の女性2人に社長はどこにいるのかと聞いたら「息子さんのパーティーです」。「え、何のパーティー?」と訊ねると二人とも気まずそうな顔をしてなかなか答えず、ややすると一人が股のあたりを指差して「カット」。パーティーというのは社長の息子の「割礼儀式」のことでした。今時アフリカや中近東でしかそんな風習はないものだと思っていましたが、インドネシアにもまだあるなんてビックリでした。
ムスリムシティーといっても特に問題は無いのですが、早朝目覚まし時計のように鳴り響くコーランの詠唱には、頼むからボリュームを下げてくれと何度思ったことか・・。

kazukuti at 13:51|PermalinkComments(2)  | 店主の日常