2006年04月

2006年04月27日

遊牧に生きる人々

d32951bc.jpg映画『アレキサンダー』をDVDで観ました。ロードショーは秋田にも来ていたんだけど評判がイマイチだったのでパス。でもイランに行ったら俄然興味が沸いて、帰国したら必ず借りてこねば、と思った次第。残念ながらペルセポリスは出てこなかったけど個人的は満足(星4つ位)の一本でした。
オリバー・ストーン監督はかなりの歴史マニアなんでしょう、ストーリーは一応史実(ということになっている)のエピソードをほぼ踏襲してます。しかしそこから一歩進んで娯楽映画に昇華できていない部分がオリバー・ストーンらしいというか、スピルバーグ監督の『ミュンヘン』なんかに比べたらそんな感じがします。まあつまらない素人の映画評はこれくらいにしておきましょう。(ちなみにこの映画は立花隆さんの映画評を読んでおくと数倍楽しめると思います)

今回イランでは更紗の布やアクセサリー、敷物、古道具などを買い付けしてきました。このうち敷物は当初父も私もあまり買うのは乗り気ではありませんでした。というのも、イランを代表する手工芸といえばなんと言っても「ペルシャ絨毯」ですが、これがどうも好みでないというのが一つ。あと、キリムは以前も何度か扱ってきましたが、キリムを広げてお見せする時に"バホッ”と舞い上がる毛や埃がたまらないというのがあって、しばらくの間うちの店では敬遠していたのです。しかし遊牧民の作る織物や布には興味があったので渡航前から勉強していたのですが、実際現地で探してみると想像以上に素晴らしいものが多く、あれよあれよという間に荷が膨らんで、結局二人合わせて総重量100キロ以上の荷物を運んで帰ってくることに。体格と体力にはそれなりに自身がありますが、さすがに帰りはキツかった。。。今年中にこれらを出品する催しを企画しておりますので、工芸品の詳細はその時に書きたいと思います。
こうした手工芸品の多くは各街のバザールに集まっておりますが、それではなんだか飽き足らないので車をチャーターして遊牧民「カシュガイ族」のキャンプや村々に足を伸ばしました。地平線を見渡す大地で羊や山羊を追いながら人々が暮らしている光景は、かつてNHKの『シルクロード』で放映された時と変わらずに在りました。ラクダや羊の毛で織ったキリムやフェルトは彼らが暮らす生活空間には今でも欠かせないものです。簡素なテントの中で鮮やかな彩りの敷物は美しく映え、草原の中でシンプルな生成の敷物は素朴でかつ力強い存在感を示しておりました。
イザートハーストというオアシス都市の遺跡が残る村で、村長みたいな方からご馳走になったヨーグルトとチーズの美味しさはおそらく一生忘れないでしょう。この旅の中でペルセポリスやエスファハンなどの名所旧跡よりもはるかに印象深いのはこの遊牧民の生活に触れたことでした。やはり過去で静止したものよりも、自分とは異なる文化を持つ民族が、伝統的な生活を守りながら今生きていることの方に惹かれます。

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2006年04月25日

世界三大遺跡風景

88699f1a.jpg先週の金曜日から3日間、東京日本橋にて開催されました『第三回・友、優、遊』、無事盛会にて終了いたしました。私は秋田で留守番でしたが今回も各方面から多くのお客様にご来場いただいたと聞き、大変感謝いたしております。
HPにも書きましたが、今週末からのゴールデンウィーク期間中、お店のほうは休まず営業いたします。営業時間は午前11時から午後5時までと、普段より前後一時間づつ短縮しますが、お電話をいただいたり、お客様がいらっしゃる場合は夕方遅くまでも開けますので、連休に秋田へお出でになったることがありましたら是非お寄りください。現在2Fギャラリーでは世界各地の美術工芸品や雑貨を中心に展示しております。

だいぶイランの「ボケ」の方は冷めてきましたが、「熱」は冷めておりません。今でも写真を眺めたり本を読んだりして、訪ねて歩いた場所や人々のことを思い返しております。

6年ほど前に、アンコールワットとほぼ同時代でタイとカンボジアの国境線上の断崖上に建つクメール寺院遺跡「カオ・プラ・ビハーン」に行ったことがありました。その時一緒に行った人の中に、30年前インドから中近東、アフリカ、ヨーロッパを車で周って旅したことのある大先輩のMさんがいて、遺跡から見えるカンボジアの熱帯雨林を見ながら「ここの遺跡の景色はインドのダウラタバードとイランのペルセポリスに匹敵するかもな」と言い、いつの間にかその3つ合わせて「世界三大遺跡風景」というなにやら仰々しい名称を創作しておいででした。
聞くと、ダウラタバードはエローラ石窟近くの山城で、そこから見えるデカン高原は兎角雄大であるとのこと。一方のペルセポリスは「行く前に『遺跡の上から立小便をすると最高に気持ちがいい』と書かれた本を読んでいて、自分も現地で実行したらやっぱり気持ち良かった」という、なんだかロマンチックなのかどうか微妙なお話でしたが、それを聞いた時は無性に感動して「俺もそこで立小便してみたい」と思った気がします。
それから数年たって、インドのエローラ石窟を見に行った際にダウラタバードに登頂。その時も例の「世界三大遺跡風景」がやはり頭にあり、「これで残り一つになったな」と感じたものです。
そんなこともあり、夢にまで見たペルセポリス。直前にはナグシェ・ロスタムというアケメネス朝の王墓のスケールに圧倒され気分は最高潮。イラン到着直後からの痛風で歩行困難になったご隠居は、当初は車の中から見るだけでいいと言いながらも、「這ってでも見といたほうがいい」という私の進言に従い共に見学することに。暑い日差しの中、ゆっくり時間をかけて遺跡の隅々まで見ることが出来ました。
ペルセポリスについての詳しい云々は私の駄文で説明するのも恐れ多いので省きますが、高くそびえ立つ石柱や、見事な基壇のレリーフなどを、ここが紀元前の一時期、世界史のメインストリームだった場所なんだと感じながら遺跡に浸りました。
Mさんが恐らくここで立小便したのではないかと思った場所が、遺跡背後にある山に穿かれた王墓のあたり。ここからは壮大な遺跡の全景が見渡せます。ここからペルセポリスの宮殿遺跡に向けて噴射するのはどんな気分だろうとチャックに手が伸びそうでしたが、さすがに勇気がありませんでした(周りに観光客がたくさんいたので)。
もしかしたらそこで立小便するとアレキサンダー大王がこの都を陥落させた時の達成感をほんの少しだけ味わえるかもしれません。大ペルシャ帝国を滅ぼして「どうだ、ざま見ろ。」と言った言わないかわからないが、そんな気分に近いものを・・。だからと言って良識ある皆さんは決して真似されないようにお願いします(苦笑)。

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2006年04月20日

イランシンドローム

71109121.jpg月曜日に無事イランから帰国いたしました。今回の日程は2週間ほど。ご隠居(父)と二人で、テヘラン、エスファハン、シラーズ、カーシャーン、ヤズドといった都市、沙漠の遊牧民のキャンプや村々、そしてペルセポリスやパサルガダエなどの古代遺跡を周るという、かなりの強行軍でした。結構時差もあるので未だに「イランぼけ」から開放されていません。
これまでに初めてインドを旅した時やサハラ砂漠に行った時と同じような、もしかしたらそれ以上の衝撃的な印象を受けた旅でした。今まで訪ね歩いた国々のとはどこにも似つかない雰囲気、文化や風習などへの驚きの連続、そして感動。
旅をしていて心が揺らいでしまう時は、今まで常だと感じていたことが、そこでは遥かに想像の枠を超えて全く逆だったりすることです。そんなことが今回は多々ありました。「紀元前の遺跡なのにこんなの作ってていいのか」とか「こんな美しい風景があるのか」、「こんなに手の込んだ建造物があるのか(大概モスク)」と言った感動編から、まるで国民総自殺志願者とさえ思うハードコアな交通マナー、レストランやお店での「マイペースにも程があるんじゃないか」と思って仕方が無い優雅な仕事っぷり、一日何十回も耳に入る「ムハンマド」等々。。
特に「宗教」という精神の鎧を纏っていない私のような典型的日本人には、絶対的ムスリムの世界はやはり「別世界」でした(今までモロッコやインドネシアなどのムスリムが多い国には行っていますが、イランに比べるとだいぶユルい感じです)。早速帰国直後からイスラム教に関する本を買って現在熟読中。結構目から鱗の話が多くて面白いです(特にユダヤ教、キリスト教との関連など)。
最近はアジアを中心に何度も同じ国に足を運ぶ機会が多いので、そんな所ではリラックスする一方新鮮味が薄れ、感動や衝撃を受けることも無くなってきているのですが、今回は「別世界に行った」という感覚が強く、楽しい旅でした。仕事の面でもいいモノを仕入れてこれたなと思います。これから何回かに渡ってイランで見たこと、感じたことなどをブログで書いていく予定です(そう言って今まで続いたことは無いような気も・・)。
写真はイランの喫茶店「チャイハネ」で水煙草を一服する私とご隠居(怪しいクサを吸っているのではありません)。そう、イランでは無事二週間禁酒してきました。帰ってきてからお酒が美味しくてしょうがありません(当初禁酒禁煙をセットで実行しようかとおもいましたが、やはり同時に二つは無理でした)。
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前回HPを更新したのが出発直前だったためここで触れられませんでしたが、今月の裏ページの表紙は、切絵作家を目指す高校生、鎌田沙織さんから戴いた作品を使わせてもらいました。中学の頃から催事に足を運んでいただいている鎌田さんですが、豊かな才能を持つ「アーティストの卵」としていつも期待しております。
おそらく3年以上は無更新だった「小松クラフトスペースのあゆみ」を久々に更新しました。何しろ「店主の紹介」がまだ父のことだったので、新たに私の自己紹介と赤文字で書いた部分を付け足しました。私の写真のアホっぽさは正に体を表すといった感じですが、他にPCに入っているのも酔っ払っているものなどしかなくて・・自分でも呆れてしまいます(冷汗)。

kazukuti at 02:21|Permalink  | 店主の日常