2007年03月

2007年03月30日

『春を告ぐ』前期始まりました

89202430.jpg今日からスタートした催事『春を告ぐ』。4月9日までは前期『寄神宗美・千恵子 器展』が開催されます。京都在住の陶芸作家・寄神さんご夫妻の二人展で、日常使える器各種を中心に茶道具、オブジェなど多彩な陶芸作品が揃いました。
アート、クラフトの双方を併せ持つ寄神さんご夫妻の活動は茶碗や酒器といった小さな器から前衛的なオブジェにまで及びます。それはデザイン、彫刻、陶芸の垣根を越えた創作世界。今日オープンした東京ミッドシティ「リッツ・カールトンホテル東京」のロビーには、宗美さんが製作した2メートルを越すオブジェの大作が設置されております。
今回出品されている作品には3000円前後の手頃な器が多く、どれをとってもユニークなデザインなので初日からとても人気があります。また、会場ではアフリカのマスクや木扉、南米やアジアの古布なども共に飾り付けしました。寄神さんご夫妻のセラミックアートと世界のプリミティヴアートとのコラボレーションも是非お楽しみください。

kazukuti at 18:28|Permalink イベント 

2007年03月19日

東京、秋田の風景

232cd7b5.jpg近頃日中PCに向かう仕事が多いせいか夜は極力PCから離れたくなり、気がつけば2週間近くもブログを更新せず。久々に見てみたら先月からイエメンのことばかり書いてるし(しかも来月はイエメン展があるからまたイエメンネタ・・)そろそろ雰囲気変えないと思ったのが丁度今です。
先週は東京へ1泊2日の出張。今回は時間も少しゆとりがあったので、知り合いのギャラリーや前から気になっていたお店、美術館などいろいろと足を伸ばしてきました。東京は何もかも移り変わるのが変わるの早い、というのが実感。学生の頃行っていた店が結構もう無くなっていたり、表参道なんて当時の面影あるのかというくらい(秋田もある意味当時の面影があるのかといえばそうではないが)。自分の中ではまだ出来て間もないはずの表参道ヒルズがもう閑散としていたりして。その一方で昔から知っている小さなギャラリーや飲食店などが細々ながらまだ元気にやっているのを見たら嬉しくなりました。
写真上は森美術館の展望台から見た夜景。実は今回が初六本木ヒルズで完全にオノボリさん状態で撮った東京タワーです(苦笑)。
先週から春の陽気から一変、冬に舞い戻ったかのような秋田の天気。昨日店をお休みして遊びに行った県南では、久々に豪雪という光景を目のあたりにしました。写真は雄勝の院内にある神社にて、雪を被ってしまった狛犬さんです。
寒いのと雪は嫌だ嫌だと言っても冬の秋田の美しさは格別。温泉につかりながら眺めた雪の田園、雪山から顔をのぞかせる古い庚申塔の碑群、雪が道を遮り行く手を阻む山道、この冬の見納めに心に残った風景です。

kazukuti at 22:56|Permalink 店主の日常 

2007年03月07日

イエメンの印象として

da0d9a2d.jpg5回にわたり掲載しましたご隠居の『たそがれ・イエメン編』、いかがだったでしょうか。父は前のウズベキスタン編が予想に反して(?)評判が悪くなかったので、今回は旅行中から日々ネタを書き留めるという用意周到ぶり(それが吉と出たか凶と出たかの判断は皆様にお任せします)。実際興味深い事柄は旅の中で尽きず、その場に居合わせない限りうまく説明がつかないのが残念ですが、ここで私からも少しご紹介しましょう。

1、イエメン初日から雇った運転手のおじさん(55歳)は父曰く「ウズベキスタンの時の運転手と性格が瓜二つ」なんだそう。車は30年前のベンツでしたが、首都サナアからの遠出直後に故障し、急遽代車を用意したらもっとボロのベンツが来たという塩梅。狡猾なんだかお調子者なんだか良くわからない性格で、運転中も常にカート(たそがれ・其の四参照)、タバコを絶やさず、突然大声でイエメン歌謡を熱唱するというこまったちゃんでしたが、どこか憎めないところも。しかし遠出してから3日後、立ち寄るはずの町を一つパスしてその日の最終目的地まで勝手に行ってしまい、我々は大激怒。さらに予定の変更に追加料金を要求してきたところで父と大喧嘩になり、一時はどうなるかと思いましたが、そこは「インシャーラー」(神の心のままにというアラビア語ですが、まあいいやというニュアンスも)で決着。その後はなんとか事無く運び、最後は固く握手して別れました。

2、旅の中程、ある町でベリーダンスのショーがあるというレストランに行ってみました。ベリーダンスなんてアラブの国ではどこでもやっていると思っていたのが大間違い。ただでさえ目だけしか見せられないイエメン女性が、顔出し&へそ出しの格好で踊るというのは、日本人には想像つかないほどスゴイ事らしいのです。場所もなんとなくイリーガルな空気を漂わせ、入り口では持ち物チェック、ボディチェック、さらに「絶対写真は撮るな」と固く言い渡される。ショーが始まったのは10時も過ぎた頃。アラブ歌謡風のボブ・マーリーを奏でる生バンドの演奏からスタート。私だけ興奮の坩堝と化したところで徐々に若い女の子がステージに出てきて踊り始めるのですが、その下手なこと・・。期待はずれもいいところでもう帰るかと思ったその時、ステージ際の特別席(相撲で言うところの砂被り席)にいた数人のサウジ人が、札束をステージに向かって次々と投げ入れ始めました。もちろんオキニの女の子の前は常にお札のライスシャワー状態。オイルマネー恐るべし!その数人のサウジおじさん達がステージで女の子とチークダンスみたいなのを踊っていた光景は抱腹絶倒で、あまりに強烈過ぎて脳裏から離れません。いい物を観させていただきました。

イエメンは仕事としても面白く、出会った多くの人々が親切でとても好感を持った国でした。何より自国の歴史と文化に逆らわずに生きていることが土地や人々の中から感じられ、そうした風情が心をくすぐるのはいうまでもありません。
それと対照的なのが行き帰りに立ち寄ったUAEのドバイ、アブダビで、全く人間の匂いがしない都市というのをそこで私は初めて見ました。ドバイに降り立った時、例えばトレパンとサンダルでも履いてオペラを観に来てしまったような妙な居心地の悪さを感じましたが、そこからアブダビまで車で向かいながら、建設途中の高層ビル群や、お台場にあるのを超豪華にしたようなモールとか、砂漠の中にある屋内スキー場などを眺めていて、どこからかこんな声が聞こえてきたような気がしました。「ここはお金が有り余って暇してる人のための国です。あなたのようなワーキングクラスが来るところではありません。」。
アブダビで計画が進められていたルーブル美術館分館の建設がついに決定したというニュースを今ネットで読みました。石油資源枯渇を見据えた重要な観光資源としての誘致だと聞いておりました。21世紀の現代都市の中でルーブルの美術品がどんな姿形となって映るのか一定の注目はされることと思いますが、個人的にはそんな金満美術館なんかより、生きている博物館のイエメンがはるかに興味をそそられます。
今回収集した工芸品は4月10日から開催する『イエメン展』にて出品します。是非ご期待ください。

kazukuti at 01:57|Permalink  | 店主の日常

2007年03月04日

たそがれ見聞録"イエメン編"其の五

799941c6.jpgファッション

「目は口ほどに物を言う」との喩えがあるが、イエメンの町で見る成人女性の衣装は黒のロングドレスに黒のマスク、黒のスカーフの3点セットで、目元だけが空けている。見るなと言われると見たくなるもの。ガイドブックには女性の写真を撮っては駄目、話しかけては駄目、目を覗きこんでも駄目との注意書きがされている。相手も変な外人と観察しているので、ついつい目と目が合ってしまう。よく見ると丁寧に目の周辺を化粧している。
元々鼻高く二重で大きな目だ。化粧を施した目は潤んで魅力的に見えるのは当然だ。他を露出しないので目だけ念入りに化粧をしているのだろうか。我が家のカミさんも目が大きいので似合うと思って黒3点セットを買ってあげようかとメールしたら、「仮装行列はしません」と断られた。
黒のロングドレスやスカーフにも素材は様々、絹から化繊まである。同色の黒糸で刺繍をいろいろな箇所で施したり工夫しているのを数多く見受けられる。
テレビを見ていたら、隣国エチオピアの大統領が国賓として訪れていた。閣僚が挨拶していた中に女性が2名いた。顔を全面出し1人は水色、1人はグレーで統一したロングドレスとスカーフの組み合わせだった。家の中ではどんなファッションをしているのか興味を感じ、婦人服の店を覗いてみた。東南アジアあたりの安キャバレーにありがちなド派手なドレスがたくさん並んでいた。内と外との見事な使い分けだ。イスラム教徒の女性は家事労働と子どもを生み育てることを望まれ、男の庇護の元に暮らすこと求められるのだ(どこかの国の大臣もイスラム教の影響を受けたのかも知れない)。部族同士の絶え間ない戦いが続いた社会では、男も女も生きる知恵として伝わった風習なのか。
仕事で親しくなった男に黒ずくめ姿の女性の写真を撮りたいのだが、と頼んだら簡単に了解し、結婚前の彼女をモデルにしてくれた。時代の変化なのか、彼女も喜んでモデルになり写させてくれた。イエメン人の古い掟や文化がこれからどう変化して行くのか注目して行きたい。

物質的な豊かさはなくとも、独自の文化や風習を色濃く残しているイエメンは刺激的で魅力溢れる国でした。
無骨で怖そうな姿をした男どもも実は皆親切で、人情味溢れる楽しい旅でした。
最後に珊瑚をはじめ各種アクセアサリー、工芸品を各地で収集してきましたが、目的の「謎の珊瑚」がどこから来たのかは多くのイエメン人から聞き取り調査した結果を踏まえ、社長が目下文献を調べ近々結論を出す予定ですのでどうぞご期待下さい。

From "Retirement"小松正雄

kazukuti at 11:57|Permalink ご隠居コーナー 

2007年03月02日

たそがれ見聞録"イエメン編"其の四

87e1be65.jpg旧市街とアザーン

「アッラーフ・アクバル」(神は偉大なり)とけたたましい轟音で目を覚ます毎日だ。
夜明けの礼拝時間だぞ、と言っているそうだが、毎朝4時15分頃モスクのスピーカーの音量を最大にして鳴り出されるので必ず起される。寝起きの早いお爺さんが朗読するのか途中で咳き込んだりしている。5時頃には礼拝の朗読だろうか、今度は朗々ときれいな歌が流れる。
「黒糸と白糸が区別のつく時刻」の早朝礼拝だが、外はまだ真っ暗だ。
サナアの旧市街は南北約1・5キロでスーク(市場)と住宅地とモスクで構成される、約2000年前に造られたという「人類の住み続けている最古の町」だ。2000年前と言うと卑弥呼の時代より前だ。そのスークが今も毎日、賑やかに繁盛している事に驚嘆する。通路の石はつるつるに磨り減り、その歴史を感じさせてくれる。
スークは業種ごとに集まり日常必要なものは何でも揃う。銀スークは外人客が多く訪れるようで、子供が英語で話しかけて来る。「Where are you from?」この程度なら良いのだが「My name is .....」次が「What's your name?」とたいてい来る。インドのように子供がどこにもたくさんいるので、だんだん面倒になってくる 。時には「Japanese」と答えると「ありがとう、こんにちは、さようなら」などと覚えたての日本語を並べる子供もいる。日本人旅行者から習ったのだろうか?子供は覚えが早く羨ましい。
銀スークを覗きこんでいると老人や子供の物乞いに出会う機会も多々ある。背中を突っつき食べる金をくれと要求されるが、それほどしつこくなく「No」と言うと諦めて退散してくれる。しかし子供の中には知能犯もいて「My father die」とか「School no money」、「Pencil money」とかと言って要求するのもいる。1人にあげると寄って集り収拾がつかないので薄情にも誰にもあげなかった。
スークの店の営業時間は午前9時から午後12時半、午後4時から午後7時くらいの前半後半が普通で、その間は昼休みだ。昼休みになると男どもはカートと言う榊のような早朝取り立ての葉を噛んで楽しんでいる。葉を噛んで小さくして葉のエキスを絞り出し水と一緒にエキスを飲みこむそうだ。その時、葉を捨てず口の中にいつまでも溜め込むので、こぶとり爺さんのようなほっぺをしている。
カートは軽い覚醒剤的要素があるらしく一塊になって話をしながら枝を捨てては葉を噛んでくつろいでいる。禁酒の国の酒替わりの物なのだろうか。
試してみたが苦いだけで不味かった。酒の方が良い。

From "Retirement"小松正雄

kazukuti at 13:27|Permalink ご隠居コーナー 

2007年03月01日

たそがれ見聞録"イエメン編"其の参

f49a038e.jpgアラブ人商法

「いらっしゃいませ」と言う言葉はアラビア語には存在しないのか?
スーク(市場)の店は皆狭い。間口1間、奥行き2間程度、そんな店が数百件並んでいる。
我々の目指す店も一角に同業者が5,60軒店を連ねている。初めて店に入ってもほとんど誰も「いらっしゃいませ」や「Welcome」、「Hello」を言わない。座っている者は座ったまま、つっ立っている者はつっ立ったままで客を無視する。気に入った物が無い場合はこちらが「Thank you」と店を出て無言でお別れだ。しかし客が質問すると猛然とサービス精神を発揮し始める。アラブ人は話することが好きで能弁だ。商品の説明には何かと別人の如く燃えてくるのが不思議だ。
最近日本では挨拶がマニアル化され、店員の気の無い挨拶が多く話しの途中でウンザリする事に多々出会うが、アラブ人は商魂逞しい。ただエンジンの掛かりが遅いのだ。
英語はイエメンでも商人として共通語になっている。若い商人は英語が堪能だ。
2度目に出会ったときには「Hello,My friend」、「MR」と声を掛け握手を求めてくる。
懇切丁寧に客に接するが、価格交渉の時になると難解に成る。
アラブ商人はしぶといのです。そして商品には値札が付いていない。
慣れるにつれ価格交渉に段階が有ることに気付いた。
1.「First Price」相手の懐を探る程度の法外な吹っかけ値段を言う。
2.「Friend Price」観光客価格を言っている。
3.「Business Price」これで商談成立はどうか?
4.「Final Price」もう値引は出来ない。これで引いては相手の思う壺。
ここで中学英語程度の俺は交渉参加が出来ないので荷物をまとめてワンフレーズ「Expensive.No!」と言って1人玄関を出る。すると相手が本気に成る。
5.「Last Price」今日は特別だと言うがこれからが講釈を付けて最後の勝負だ。
6.「OK.OK.Give up!」 決定!
以上の段取りを踏んではじめて価格交渉が成立する。
2人で組んで価格交渉、俺はいつも帰るフリをする役だけだが、しぶといアラブ商人はまだまだ余裕があるのだろう。交渉成立後は和やかに握手を交わし、より親しくなり再会を誓い合う。
価格交渉すると廻りに人が集まり出す。他人の交渉が楽しいらしく決着するまで成り行きを真剣に見守っているイエメンのアラブ人たちです。


From "Retirement"小松正雄

kazukuti at 09:59|Permalink ご隠居コーナー