2010年12月18日

6bde0531.jpg 開催中の『冬を楽しむ-俺のシルクロード展』も残すところあと一週間になりました。まだ出品している工芸品について触れてませんでしたので、会期が終わらないうちにいろいろご紹介いたしたします。まずは中央アジアの刺繍布「スザニ」からスタート。

 スザニはウズベキスタン語で「刺繍」を意味する言葉。ウズベキスタンのサマルカンド、ブハラを中心に、タジキスタン、キルギス、タジキスタンの一部までの女性に継承されております。


suzani4 本来儀式や祭礼の時に使う幕や衣装に使用されており、婚礼の時は花嫁花婿の親類によって家庭で作られました。現在でも女の子が生まれると母親はその子の結婚に備えて刺し、嫁入りの贈り物としていました。
 

 

suzani3 アンティークのスザニはまさに母親から子へと伝えられた部族の芸術。文様は大胆な花や太陽、木などのモチーフが多く、作られた地域や民族によって違いがあります。こうした文様はゾロアスター教を初めとする古来の宗教にルーツがあるといわれています。小さな刺繍布は「オイナハウタ」と呼ばれる鏡に掛けるためのもの。夜中に鏡をのぞくと悪魔に憑かれるという言い伝えがある事から生まれた魔よけの布です。



suzani2 新しいスザニは工芸品として専門の職人さんにより制作されているものが多いです(スザニの工房についてはこちら)。刺繍の完成度は高く、タペストリーの他にクッションカバーやテーブルセンターなど作品の種類も豊富。ウズベキスタンの古都・ブハラ近郊で作られたこれらのスザニは、デザインや色が優しく人気です。




suzani スザニを買っていただいた谷口真理子さんからご自宅にディスプレイされているお写真が届きました。アジアとヨーロッパを結ぶシルクロードのデザイン。モダンなお部屋にも素敵に溶け込んでおります。

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