2025年04月29日



 2016年、遊廓研究家の渡辺豪さんと一緒に発表した「秋田県の遊廓跡を歩く」がこの度「追補版」として再版されました。この本は私にとって郷土史研究家としての活動を始めることになった一冊です。この取材によって地元に関する知識を深められただけでなく、後に川反芸者の若勇さんや宮原葉月さんと知り合うきっかけにもなりました。

 本書のはしがきにも書いてありますが、私が最初に調べたいと思っていたのは建物。当時、私が影響を受けていたのが木村聡さんの「赤線跡を歩く」シリーズだったので、県内に残る元妓楼をつぶさに見て周るのが大きな目的でした。しかし、リサーチの中で、建物の中に住んでいらっしゃる方、かつてそこで生活していた方たちの話を聞いているうちに、今書き残さなければいけないのはこれだ!と感じました。その後、人形道祖神をはじめ民俗行事を調べるようになってからも、遊廓のリサーチの経験が活かされました。

 遊廓というコンテンツは歴史、文化、ジェンダーなど様々な角度から論じられますが、その一つが経済史です。遊廓が置かれる絶対条件が「人が集まりお金が落ちる」場所であること。ところが現在、そこへ行くとビックリするくらい人がいなくなっているケースがあります。そこで遊廓を周るうちに、必然的に「秋田県の人口減少問題」が本書の大きなテーマになりました。

 この取材から約10年が経ち、昨年秋、再び渡辺さんと秋田県内を周りました。以前、聞き取りさせていただいた方々の多くが鬼籍に入られ、元妓楼の建物もかなりの数が無くなっていました。そんな中、素晴らしい方々との出会いがありました。その取材の成果は、この度刊行した「追補版」に掲載しております。

sp7 現在、小松クラフトスペースでは本の刊行を記念して、特設コーナーを設置。「川反芸者・若勇」や「美人の秋田」といった関連書籍や八橋人形の花魁などと共に販売しております。「追補版」ご購入のお客様には特典も!是非お手に取ってご覧下さい。




 2Fギャラリーでは「東北の刺し子展」好評開催中(5月6日まで)。展示の模様は先日、秋田経済新聞に掲載されました(こちら)昨日も刺し子のランチョンマットなどが追加出品されました。GW期間中も休まず営業しておりますので、どうぞ足をお運びください。
(※5月3〜6日の営業時間は11:00〜16:00 となります)

 小松クラフトスペース

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